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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

青単テンポ、ハイドロマンの活躍に期待!(スタンダード)

岩SHOW


 『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』、早速リミテッドをプレイしてきたので、そちらの感想をば。今セットはピック2・ドラフトを意識して作られているとのこと。ピック2・ドラフトとは?詳しくはこちらをチェックだ。

 カードを2枚ずつ取っていく、普段の倍速で行われるピック2・ドラフト。この新フォーマットを想定してデザインされているということは耳にしていたが、実際に互換セットがリリースされたMTGアリーナではプレミア・ドラフトの枠がこのピック2になっており、ちょっとしたサプライズであった。より気軽に遊べるように設定されており、しかもピック自体が超スピーディー!失敗して良い戦果が得られなくても、次だ次!とサクサク進む世界にのめりこみ、気が付けば朝日が……翌日の昼、仕事中に眠いという久しぶりの体験をしたよ。さてそんな『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』のリミテッドにて印象に残ったカードが……

 

 《液状の重罪犯、ハイドロマン》!このエレメンタルの悪人は、これまで見られなかったような非常に面白い挙動を披露してくれる。ハイドロマンは青マナシンボル2つを持つ2マナ2/2、青い呪文を唱えるとターン終了時まで+1/+1修整を受ける。後続クリーチャーを展開したり、ドローやバウンスといった青らしい呪文を唱えることで強化される。青い呪文であればOKという範囲の広さが嬉しい。

 そしてこのハイドロマンは、ターン終了時にアンタップ状態に。さらにこれはクリーチャーではなくなり、次の自分のターンが来るまでの間は《》と同じく青マナを加える土地になる。面白い!土地がクリーチャー化するカードは過去にいくつもあったが、クリーチャーが自身の能力で土地になるパターンは珍しい。中でもハイドロマンは完全にクリーチャーではなくなるという点が非常にユニークで、自分のターンはクリーチャーとしてサイズを上げて攻撃し、相手のターンには土地になってインスタントや瞬速呪文を唱える助けになる、という寄せては返す波のような挙動を披露してくれる。かなり特殊なマナ加速と言えるし、さらに対戦相手のターンの間は土地になるということで《審判の日》や《戦略的裏切り》といったソーサリー除去を受け付けないという除去耐性となっているのも魅力的だ。

 リミテッドでもかなり特殊な動きでこちらを翻弄してきたハイドロマン、構築でもそのトリッキーな動きを見てみたい!

mami - 「青単テンポ」
Magic Online Standard challenge 32 第13位 / スタンダード (2025年9月14日)[MO] [ARENA]
20 《
3 《魂石の聖域
2 《噴水港
-土地(25)-

4 《遠眼鏡のセイレーン
4 《群青の獣縛り
4 《フラッドピットの溺れさせ
3 《ティシャーナの潮縛り
4 《永劫の好奇心
1 《マラング川の執政
-クリーチャー(20)-
4 《星間航路の助言
2 《長川の引き込み
2 《幻影の干渉
2 《洪水の大口へ
3 《声も出せない
2 《一から始める
-呪文(15)-
3 《無効
1 《否認
1 《幽体の干渉
2 《呪文貫き
2 《フェイ花のいたずら
1 《声も出せない
2 《一から始める
1 《マラング川の執政
2 《狡猾な侵入者、魁渡
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 さて、というわけでスタンダードでの《液状の重罪犯、ハイドロマン》デッキを考えるにあたって、まずは前環境の青単のリストをチェックしてみよう。青マナ2つというコストを安定して2ターン目に支払うには、やはり単色デッキが好ましいからね。

 飛行などの回避能力や隙なく展開できる瞬速を持ったクリーチャーらを繰り出し、《幻影の干渉》や《洪水の大口へ》といったインスタントで対戦相手を棒がしながら攻撃して殴り勝つ、テンポと呼ばれる類の戦い方をするリストだ。青単色となるクリーチャーへの対抗手段が少なくて殴り合いが不利に思われるが、スタンダードの青にはなかなか優秀なカードが揃っているので皆が思っているよりもずっと正面からの殴り合いを敢行できる。《声も出せない》《一から始める》といったオーラ、そして《群青の獣縛り》……これらは対戦相手のクリーチャーのサイズを変更し、能力を失わせるという疑似的な除去として機能する。この獣縛りや《フラッドピットの溺れさせ》で相手のクリーチャーに満足な働きをさせず、かわしたり抑え込んだりしながら確実にサクサクとダメージを刻んでいく……《永劫の好奇心》でカードを引き込んで、手数勝負でも負けない。青単色でも2色以上のデッキに引けを取らない、テクニカルでタフ、そしてエキサイティングなデッキが「青単テンポ」だ。

 

 この青単の戦い方とハイドロマンをしっかりと噛み合わせたデッキを組むことはそう難しくはない。理想は2ターン目に繰り出したハイドロマンの恩恵を受け、自分のターンも相手のターンもしっかり動いて手数で勝負。相手のクリーチャーらに完全に対処することはできなくとも、麻痺させたりバウンスしたり能力を失わせたり……インスタントや瞬速でテンポの面で上回りながら戦っていく。この動きの中でハイドロマンは強力な打点と、相手のターンに動くためのマナというテンポデッキが求めるものを提供してくれることだろう。

 また『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』の青いカードを見ると、面白いラインナップが揃っている。《天井に隠れろ》はクリーチャーやアーティファクトをX個追放、それらはオーナーのターン終了時に戻ってくる。対戦相手のクリーチャーを追放し、攻撃を一時的にしのいだりあるいはこちらの攻撃をねじ込むフィニッシュを演出。または対戦相手の除去からクリーチャーを護る打ち消し的な運用も可能と、実に青単らしいアドリブ力が問われる1枚。

 打ち消しといえばインスタント、ソーサリー、そして誘発型能力と打ち消せる範囲が広くて面白い《スパイダーセンス》にも注目。《否認》同様に使える2マナの打ち消しで、タップ状態のクリーチャーがいればそれを戻して1マナでも唱えられるため、こちらも様々な状況でプレイヤーの助けになってくれるだろう。

 

 もちろん、レア以外にも素敵なカードがあるぞ。《秘密の正体》は時に自身のクリーチャーを市民にして呪禁を持たせ、対戦相手の対象を取る呪文や能力から守り……時に基本サイズが3/4の飛行&警戒持ちにして攻撃をねじ込むことを後押し。これをハイドロマンに唱えれば、3/4になった上にハイドロマン自身の能力で強化されて4/5に。他にも呪文を連打して大ダメージが狙いたい。

 《不安定な実験》も面白いインスタントで、トータルでカード2枚を引いて手札を1枚捨てるという、手札の枚数は増えないが減らさずに質を高められるものであり、しかもその捨てたカードが土地以外であればクリーチャーを+1/+1カウンターで強化できる。謀議と呼ばれるアクションはクリーチャーが居なければ行えないが、このデッキのようにタップリの軽量クリーチャーが揃っていれば対象に困ることはないだろうね。

 《液状の重罪犯、ハイドロマン》を用いた、オンリーワンのゲーム体験をもたらすデッキ……色々なリストが作られることだろう。それらを参考にしつつ、細かいチューニングを施して自分だけのMy Deckを組んでみて欲しい。この手のテクニカルなカードは、プレイヤーの思考と集中力を求めるものではあるが、使いこなせた時の「マジックやってる」感は他に類を見ないもの。一度は味わっていただきたいね!

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