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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

上陸デッキ、フェッチを活かした秘密兵器!(スタンダード)

岩SHOW
 

 上陸、強いなぁ。土地が戦場に出たことで誘発する能力である上陸。『ゼンディカー』にて初登場、以降のセットで何度かこの能力は再録され続けている。上陸は条件が簡単であり色を選ばず多くのデッキで難なく達成できるもので、複数回連続で誘発させることも工夫次第で可能。プレイヤーからの人気も高く、デザインの幅も広そうなので、再録しやすい能力なのだろう。

 『久遠の終端』リミテッドでも緑のカードを中心にこれを持ったカードがいくつか存在し、いずれも強力。ドラフトでは上陸関係のデッキが組めたら良い成績を残せているので積極的に集めにいって上陸ライフを楽しんでいる。

 

 そんな上陸、スタンダードではアーキタイプを成立させているのは当コラムでも何度も取り上げてきた。《サッズのヒナチョコボ》《ティファ・ロックハート》と軽くて上陸でパワーが上昇するクリーチャーらを筆頭に、《苔生まれのハイドラ》《棘を播く者、逆棘のビル》など上陸持ちで固めた緑のクリーチャー陣。

 それらと組み合わせるのは《寓話の小道》《脱出トンネル》などのライブラリーから基本土地を探して戦場に出す、フェッチランドと呼ばれる類の土地たち。クリーチャーを展開してフェッチを出して起動、シンプルな動きを繰り返して大ダメージを発生させられる、初心者からやりこみ勢まで誰にでもオススメできるアーキタイプが「ワンショット・ティファ」などと呼ばれる緑系のアグロデッキだ。

 何度も取り上げてきた上陸デッキをこのタイミングで紹介するのには理由がある。このアーキタイプが日々進化して形を変えているからだ。前環境で組まれたリストでも十分に強かったデッキが、世界中のプレイヤーによる研究が進められた結果……現在はこんな形に辿り着いている。

Kinoshita Kiyoto - 「グルール上陸(タッチ青)」
平日スタンダード14時の部 3-0 / スタンダード (2025年8月4日)[MO] [ARENA]
4 《寓話の小道
4 《脱出トンネル
2 《広漠なる変幻地
1 《進化する未開地
14 《
1 《
-土地(26)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《サッズのヒナチョコボ
4 《棘を播く者、逆棘のビル
4 《ティファ・ロックハート
4 《苔生まれのハイドラ
4 《旅するチョコボ
2 《氷耕しの探検家
-クリーチャー(26)-
4 《蛇皮のヴェール
4 《世界魂の憤怒
-呪文(8)-
2 《魔道士封じのトカゲ
3 《シードシップの衝突
2 《氷耕しの探検家
1 《
3 《排撃の変異
4 《跨龍兵の突撃
-サイドボード(15)-
晴れる屋 より引用)

 

 

 ほぼ緑単色の構成、フェッチから持ってくるのは概ね《》だが……メインに1枚だけ忍ばせた《》。これがこのデッキのキーカード。フェッチで確保した赤マナから叩きつけられるのは《世界魂の憤怒》!このソーサリーは対象にX点ダメージを与えて、更に手札から土地をX枚戦場に出すというダメージとマナ加速を兼ねた呪文。これにより手札に貯まった土地を一気にダンプ、上陸をドドドッと誘発させることが可能に。ティファやワームのパワーが20を大きく上回るなんてのも夢ではない話だ。《踏み鳴らされる地》のような多色土地を採用せずともこの2色の呪文を運用できるのは、フェッチが11枚という特異な構成ならではこそ。これらの土地で1枚だけの《》をサーチし、極大呪文で勝負を決めろ!

 

 たっぷりのフェッチと組み合わせるのは新カード《氷耕しの探検家》!この昆虫は1ターンにプレイできる土地の枚数を増やしてくれて、さらに墓地から土地をプレイ可能になるというマジックのルールを2つも覆すすごいやつ。特に墓地の土地を再利用できるのは、言わずもがなフェッチたっぷりのこのデッキにとっては嬉しい恩恵。《寓話の小道》などを毎ターングルグル使いまわして確実にマナを増やしつつ上陸を誘発させる動きは強烈だ。

 土地関係のサポート役として採用される《旅するチョコボ》との相性も良い。ライブラリーの一番上を見れるので、それが引きたいカードか否かを確認してからフェッチを起動でき、土地が見えたようなら戦場へ。連続して土地が並んでいても探検家で出せるのでアドバンテージを確保できる。これらのクリーチャーに支えられることでデッキの主役らが爆発的な力を発揮できるのだ。

 

 さて、サイドボードにも目をやると……《》とそして青いカードの姿が。これもまたフェッチ塗れのデッキならではのテクニックで、メインでそんな色は行ってなかったじゃんかというカードで奇襲を仕掛けられる。青を採用することで用いるのが……これまた上陸カード、《跨龍兵の突撃》!盤面全体に3点ダメージをばら撒く除去であり、このエンチャントはそのまま戦場に残り、以後上陸でドラゴン・トークンを生成する。土地を出すだけで4/4飛行が得られるため、何度も誘発させればこれだけでゲームに勝ててしまえるだろう。《氷耕しの探検家》とフェッチで延々とドラゴンを送り出すことができるため、上陸系アグロがあまり得意でない長期戦への耐性が一気に高まる。これぞまさに秘密兵器、こういう見せていない技で戦うのもサイドボードの面白さ。こういう裏技、思いついたら何でも試してみよう。

 上陸デッキ、短期間でグイグイと進化しているなぁ……一体この夏の間にどこまで姿かたちを変えて、プロツアーを迎えるのだろうか。行く末が楽しみ過ぎる!

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