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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

風景の変容コンボ!神託者は港で詩人と出会う?(パイオニア)

岩SHOW


 コンボデッキはマジックの華。ガンガン攻めるアグロ、猛攻をしのぎ受け切るコントロール、両者の良いとこどりを狙ったミッドレンジ……これらマジックの基本的なアーキタイプに加えて、コンボデッキが存在する環境は楽しいものだ。そしてこれは完全に個人的な好みではあるが、特定のカードを2枚を揃えたら決まる瞬殺コンボ!というよりはゴールを目指してあの手この手のアクションを続けていく……ちょっと「必死にやってる」感じがするコンボが良いデッキだと感じている。こんな前フリをするということは今回紹介するのはそういったゴールを目指して突き進むコンボデッキである。フォーマットはパイオニアで、キーカードは……

 

 《タッサの神託者》!このマーフォークは戦場に出た際に能力が誘発、自身の青への信心とライブラリーの枚数を比べて、前者が後者以上であればそのままゲームに勝利と相成る。信心とは自身がコントロールしているパーマネントが持つ各色マナシンボルの総数のことである。この神託者で勝利を狙うのであれば、青のマナシンボルが濃いパーマネントを並べて信心を稼ぐ……というアプローチでこのマーフォークを用いるデッキは稀有なものである。つまりはその逆で、ライブラリーを0枚にしてしまえば信心の値がいくらであろうと関係なく勝利できてしまう。神託者をゴールとするデッキのほとんどは自身のライブラリーを切削したりドローや追放などして空っぽにしてからの神託者でフィニッシュするという構成となっている。

 ただそこに至るルートがデッキ毎に異なり、それぞれのフォーマットのカードがもたらす相互作用と、それを使いこなすプレイヤーの腕の見せ所となっている。さて、今回のデッキはどうやって神託者で勝利するのか?その動きは……独創的で痺れるものである。

Bmadman - 「風景の変容コンボ」
Magic Online Pioneer Challenge 32 トップ4 / パイオニア (2025年6月28日)[MO] [ARENA]
4 《寓話の小道
4 《斡旋屋一家の潜伏先
4 《貴顕廊一家の劇場
4 《土建組一家の監督所
3 《舞台座一家の中庭
3 《睡蓮の原野
2 《カーフェルの港
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
4 《
2 《
9 《
-土地(40)-

4 《樹上の草食獣
4 《水蓮のコブラ
4 《事件現場の分析者
3 《異邦の詩人
1 《樹海の幻想家、しげ樹
1 《タッサの神託者
4 《復活した精霊信者、ニッサ
4 《森の轟き、ルムラ
1 《巨大な空亀
-クリーチャー(26)-
2 《海の神のお告げ
4 《記憶の氾濫
4 《洞窟探検
4 《風景の変容
-呪文(14)-
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》(相棒)
2 《耐え抜くもの、母聖樹
2 《致命的な一押し
2 《喉首狙い
1 《ナーセットの逆転
3 《否認
2 《三歩先
1 《乱伐者、ボニー・ポール
1 《産業のタイタン
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 このリストは……《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒に据えた80枚のメインデッキからパイオニアらしさを感じるが、その構成要素はかなり独特の雰囲気を放っている。何せデッキのちょうど半数の40枚が土地なのである。ここまでのリストは珍しく、土地がこのデッキの重要なファクターであることが窺える。

 そしてその土地の大多数を占めるのが《寓話の小道》や《斡旋屋一家の潜伏先》といったその土地を生け贄にしてライブラリーから基本土地をサーチ、戦場に出すという挙動を見せるフェッチランドと呼ばれる土地たちだ。この土地を使えば欲しい色マナを確保できると同時に、ライブラリーを圧縮することができる。そしてキーカードの1つ《風景の変容》!このソーサリーは土地を生け贄に捧げてその数だけの土地をライブラリーから戦場へ。これによりフェッチランド→基本土地→それらを生け贄に《風景の変容》→フェッチランド……とライブラリーを一気に圧縮できる。

 

 上記の方法で土地をグルグルしてもライブラリーを空にするのは難しいため、他のカードも用いてこれをサポートする。その中でも重要なのは《事件現場の分析者》。これは墓地の土地を全て戦場に戻すという強烈な能力の持ち主。これでフェッチや《風景の変容》に捧げた土地をまとめてカムバック!

 そしてこの土地を戻すという動きに絡めることでライブラリーアウトを押し進めるのが《カーフェルの港》!シブい、こんなシブすぎるカードがパイオニアでスポットを浴びるとは。この港はこれまたこれを生け贄に捧げることで能力を起動、ライブラリーを4枚切削しその後墓地からクリーチャーを1枚戦場に戻す。特殊なムーブをかます知る人ぞ知る土地であるわけだ。《風景の変容》などで土地が大量に出入りする中、《水蓮のコブラ》《復活した精霊信者、ニッサ》らからマナが大量に得られる。またタップ状態で戦場に出る土地を《洞窟探検》などでアンタップ状態にすることでマナを得つつ、カーフェルも出してすぐに能力を起動できるようになる。こうして2枚の港でゴリゴリとライブラリーを削り切り、空になるタイミングで墓地から《タッサの神託者》を拾ってフィニッシュ。うーむ、これぞマジックのコンボという美しさを感じるリストだ。

 

 このリストを支えるのが『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』より加わった《異邦の詩人》!この伝説のクリーチャーは同セットの固有のメカニズムである街に関する能力を持っているが……このデッキにとってはそこはコンボと関係がない。このリストが求めているのは土地をアンタップ状態で戦場に出せるようになる常在型能力だ。2マナでこの恩恵を受けられるカードはパイオニア環境において初登場となるため、このタイミングでこのようなコンボデッキが誕生したというわけだ。これでフェッチから持ってきた土地や《カーフェルの港》をフル回転させるのは勿論、《睡蓮の原野》を出して即3マナ加えられるようになるため、コンボの始動速度も大幅アップ。もちろんスタンダードなどで街をテーマにしたデッキを組んでも面白いカードに違いない、カードに5色のマナが描かれているのでファイナルファンタジー限定統率者戦などイベントに持っていくデッキのパーツにするのもオススメだ!

 コンボはマジックの華だ。さあ、君もコンボデッキを手に取ってトーナメントで大輪の華を咲かせよう!特殊なムーブのデッキで勝つ姿、むちゃくちゃカッコよく見えるぜ!

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