- HOME
- >
- READING
- >
- 岩SHOWの「デイリー・デッキ」
- >
- 今週のCool Deck:抹消者と抹殺者(スタンダード&過去のフォーマット)
READING
岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:抹消者と抹殺者(スタンダード&過去のフォーマット)
マジックから感じられるクールさを追い求める人々に捧ぐコラム、今週のCool Deck。今回はのっけからデッキリストをご覧いただこう。
4 《ウェイストウッドの境界》 4 《ラノワールの荒原》 4 《眠らずの小屋》 7 《沼》 4 《花盛りの湿地》 -土地(23)- 1 《苦難の収穫者》 1 《強情なベイロス》 4 《ファイレクシアの抹消者》 2 《分派の説教者》 4 《名もなき都市の歩哨》 4 《苔森の戦慄騎士》 1 《腐食の荒馬》 -クリーチャー(17)- |
1 《ギックスの命令》 3 《大渦の脈動》 3 《強迫》 4 《薮打ち》 3 《喉首狙い》 2 《苦痛ある選定》 4 《切り崩し》 -呪文(20)- |
1 《強情なベイロス》 2 《ドロスの魔神》 1 《温厚な襞背》 1 《ギックスの命令》 1 《締めつける瘴気》 1 《強迫》 2 《羅利骨灰》 2 《石の脳》 4 《不浄な別室 // 祭儀室》 -サイドボード(15)- |
このリストはプロツアー『霊気走破』であるプロプレイヤーが団結したチームのメンバーが共有し同一のものを持ち込んだものだ。《苔森の戦慄騎士》《大渦の脈動》などの優秀なクリーチャーとパーマネント除去で固めたゴルガリ(黒緑)カラーのミッドレンジ(中速デッキ)……よく見るリストだ、と断定するのはちょっと待った!
採用されているクリーチャーをよくご覧いただきたい、燦然と輝く《ファイレクシアの抹消者》×4の表記!抹消者はダメージを与えられた時にその発生源のコントローラーにブチギレ、抹消者の名を体現するがごとくパーマネントの生け贄を要求する。その数は受けたダメージの数だけというのだから、この怪物をちょっとやそっとのことじゃブロックできない。ダメージ除去やクリーチャーでの相討ちを受けづらい5/5トランプルということでなかなか存在感のあるクリーチャー……ではあるが現スタンダード環境に参入して以来、トーナメントで成果を残すという姿を目にすることはほとんどなかった。そんな抹消者がプロツアーに殴り込み!?クール!と我々クールマニアは大はしゃぎ。
このゴルガリでは《薮打ち》を用いることで抹消者のポテンシャルを花開かせる。これはクリーチャー2体を格闘させるソーサリーで、これで抹消者と対戦相手のクリーチャーにデスマッチを行わせることで対戦相手に甚大な被害を与えよう……というブルータルなコンボを狙う。このコンボ自体は広く知られてはいたが、協議の場に持ち込むプレイヤーは前述のように少なかった。マジックを突き詰めたプロたちがプロツアーという舞台にこのリストを持ち込んだということは、勝算があったということに他ならない。
結果のみを見て言うと、このリストは大きな戦果に結びつかなかった。しかし我々が好みそうなファンデッキ的なものを、洗練されたデッキを使うプロプレイヤーも用いることがあるというのは、なんだか嬉しくクールなことではないかな?
これで終わっても良いのだが、せっかく抹消者デッキという強烈にクールなものを目の当たりにしたのだから……そこから想起されるデッキの話も添えておこう。
《ファイレクシアの抹消者》とくれば《ファイレクシアの抹殺者》。この2体をセットで思い浮かべるのは自然なこと。抹消者は対戦相手に生け贄を要求するが、その先祖に当たる抹殺者は……ダメージを受ければ生け贄を捧げなければならない、コントローラー自身が。何によってダメージを与えられようと、被害を受けるのは自分だ。
何故そんなデメリット能力を持っているのかというと簡単なことで、抹消者と比べて抹殺者はコストが軽い。3マナでさらに要求される色マナは黒1つだけ。この軽いコストで5/5トランプルというスペックを得られるのは破格だ。このカードが作られたのは1999年、実に26年前。当時はクリーチャーが今に比べるとずっと、ずーっと弱かった。抹殺者と抹消者、これらの能力を見比べるとクリーチャーの強さが大きく向上したことを実感できて、実にクールだ。
4 《裏切り者の都》 16 《沼》 -土地(20)- 4 《カーノファージ》 4 《ダウスィーの怪物》 4 《ダウスィーの殺害者》 4 《ファイレクシアの抹殺者》 1 《チクタク・ノーム》 1 《マスティコア》 -クリーチャー(18)- |
4 《暗黒の儀式》 3 《吸血の教示者》 3 《呪われた巻物》 1 《撲滅》 4 《肉占い》 3 《よじれた実験》 4 《憎悪》 -呪文(22)- |
1 《次元の狭間》 1 《腐肉クワガタ》 1 《急速な衰微》 1 《呪われた巻物》 1 《マスティコア》 1 《ファイレクシアの疫病王》 3 《非業の死》 1 《夜の戦慄》 3 《仕組まれた疫病》 2 《火薬樽》 -サイドボード(15)- |
《ファイレクシアの抹殺者》はリスクの大きいクリーチャーだが、対戦相手がブロック役のクリーチャーを出してくるよりも先に叩きつければ十分すぎる働きを見せてくれるものでもある。そこで当時のスタンダードには存在していた《暗黒の儀式》を用いる。これで1ターン目に抹殺者というクールな強襲を仕掛けられる!その他に1・2マナのクリーチャーを中心とした今で言うアグロデッキで、その名は「ヘイトレッド」。
キーカードは《憎悪》、ライフを支払いその値分クリーチャーのパワーを上昇させる、ハイリスクハイリターンなインスタントをフル投入。《暗黒の儀式》や《裏切り者の都》などの加速からパワー20のワンパンチを速やかに叩き込む、最速2ターン目!瞬殺劇も狙えるし、《マスティコア》《呪われた巻物》などの長期戦に強いカードも備えているのが、何とも当時のデッキっぽくてクールだ。これらを《吸血の教示者》でサーチし、状況に合わせて瞬殺を狙うか、ちょっとギア緩めでいくかをその都度調節する……いやぁ、最高にカッコよくクールなデッキの一つだ。
《ファイレクシアの抹殺者》から《ファイレクシアの抹消者》というライン、ただ単にカードの進化が見えるだけでなく、それぞれのデッキも思い浮かび様々な感情になれる……今後もこのような過去と現在、そして未来を繋ぐカードやデッキと出会っていきたいものだ。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Fight forever!!
RANKING ランキング
NEWEST 最新の読み物
-
2025.3.14読み物
サイドストーリー ジェスカイ:知られざる道|タルキール:龍嵐録
-
2025.3.14開発秘話
『タルキール覇王譚』デザイン提出文書 その2|Making Magic -マジック開発秘話-
-
2025.3.14戦略記事
今週のCool Deck:抹消者と抹殺者(スタンダード&過去のフォーマット)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2025.3.13読み物
第53回:デッキ紹介《推進力、サムト》|クロタカの統率者図書館
-
2025.3.13戦略記事
とことん!スタンダー道!全知コンボの実態とは(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2025.3.13広報室
気軽に対戦して「巳年プロモ」をゲット!2025年4月からのマジック・リーグ案内|こちらマジック広報室!!
CATEGORY 読み物カテゴリー
戦略記事
コラム
読み物
BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
- プレインズウォーカーレビュー
- メカニズムレビュー
- その他記事