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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

新環境最速デビュー!グルール消尽(スタンダード)

岩SHOW

 プレイヤーズコンベンション千葉2025が無事に終わり、帰宅しこれを書いている。今回も良いイベントだったなぁ。場内にはマジックプレイヤーが沢山いて、その熱気のおかげで真冬なのにTシャツで過ごせるレベルだった。プレリリース期間に開催されるという異例のリミテッド賞金制トーナメント、日韓の予選を勝ち抜いた競合が集うチャンピオンズカップファイナル。併せて1200名ほどのプレイヤーが競技マジックで火花を散らした。土曜日はこれらのトーナメントで熱戦が繰り広げられた。そして日曜、ジャパンスタンダードカップには477名のプレイヤーがエントリー!『霊気走破』の新カードをいち早く使えるという、プレミア感溢れるこのトーナメント。日本限定のプロモカードももらえるとあって、エントリーしている選手の気合も端から見ていて伝わってきた。

 当コラムとしても最新カードが活躍してくれるとネタとして有難い……そう思っていたが、場内ではスタッフとして別のことをやっていたので、どんなデッキが躍動しているかは知らなかった。帰ってPC起動、さあデッキリストを拝もうとトーナメント結果へ……すると『霊気走破』なしでは組めない、ブンブンバリバリとエンジン音が聞こえてきそうなデッキの雄姿が!

岩渕 大允 - 「グルール消尽」
ジャパンスタンダードカップ:『霊気走破』 発売記念スペシャル 準優勝 / スタンダード(2025年2月9日)[MO] [ARENA]
1 《商業地区
4 《銅線の地溝
4 《
4 《カープルーザンの森
1 《
3 《不穏な尾根
4 《ソーンスパイアの境界
-土地(21)-

4 《継ぎ接ぎのけだもの
2 《脚当ての補充兵
4 《竜航技師
4 《逸失への恐怖
2 《太陽の執事長、インティ
2 《探索するドルイド
4 《アフターバーナーの専門家
-クリーチャー(22)-
4 《塔の点火
4 《希望の種子
2 《抹消する稲妻
1 《焦熱の射撃
4 《浚渫機の洞察
2 《レンと次元壊し
-呪文(17)-
1 《毒を選べ
1 《削剥
3 《紅蓮地獄
1 《焦熱の射撃
1 《鋭い目の管理者
1 《脚当ての陣形
1 《探索するドルイド
2 《アガサの魂の大釜
2 《叫ぶ宿敵
1 《温厚な襞背
1 《免れ得ぬ破滅、ルーカ
-サイドボード(15)-
 

 ジャパンスタンダードカップ準優勝のこのリスト、ベースになっているのは前環境の「グルール(赤緑)昂揚」。《希望の種子》《太陽の執事長、インティ》などのライブラリーや手札から墓地にカードを送る手段で墓地を肥やして、昂揚という能力が機能するために必要なカードタイプ4種類以上が落ちているという状況を作りだす。そうなると《継ぎ接ぎのけだもの》や《逸失への恐怖》らが本領発揮、コストパフォーマンスに優れた打点を発揮するのでそれら昂揚クリーチャーらを中心に、インティなどでゴリゴリと攻めていくアグレッシブなアーキタイプだ。

 

 そんな昂揚デッキに『霊気走破』のグルールカラーのカードが殴り込み!今回のこの2色のテーマは消尽!新キーワードで、いずれも起動型能力だ。この消尽の特徴は1回しか起動できないという点。他の起動型能力のようにコストを払えば何度も使用できるというものではなく、同一パーマネントのそれは1回こっきり使い切り。刹那的なニトロブーストって感じだな。

 このデッキが採用している消尽カードは《竜航技師》《アフターバーナーの専門家》と発売前から注目を集めていたレア2種類。《竜航技師》は2マナ2/2と標準的なスペックながら、2つの消尽能力持ち。1つ目は技師以外のクリーチャーに速攻を付け、技師自身には+1/+1カウンターを1個置くというもの。後続のクリーチャー次第ではかなりのダメージが見込めそうだ。そして2つ目の能力は恐竜・ドラゴン・トークンの生成。このカードは5マナ4/4飛行・速攻のドラゴンを搭載した2マナ2/2と捉えることもできるね。マナが余った後半にも活躍できる可能性がある低マナ域というのは、アグロデッキにとって嬉しいお供だ。

 《アフターバーナーの専門家》は3マナ4/2と前のめり。消尽すると+1/+1カウンター2個を得る。それほどマナ効率は良くないが……このカードの真価は墓地に落ちてこそ。タフネスは高くないので簡単に開いてのクリーチャーと相討ちになったり、除去られたり。そうして落ちたところで、2枚目の専門家や技師のような他のクリーチャーの消尽能力が起動されると、こいつは墓地から戦場に戻ってくる。直接戻るのはなかなかすごいぞ。専門家が2枚あればグルグルとループさせて高打点のゴブリンが戦場に居座らせることができる。あるいは技師の速攻を与える消尽能力を起動→専門家が戻る→能力が解決されて速攻を持って即パンチ、なんてムーブも可能だ。

 この《アフターバーナーの専門家》が墓地から飛び出るギミックを昂揚デッキに盛り込んだ「グルール消尽」、ナイスアプローチだ。インティで捨てたりけだもので切削するなどして専門家を落とし《竜航技師》で釣り上げて突撃する……アフターバーナーとはジェットエンジンの排気にもう一度燃料を吹きつけて燃焼させて、高推力を得る装置のことだそうだ。爆発的な加速を生み出すこのクリーチャーにはまさしくピッタリのネーミングと言えよう。消尽デッキ、プレイしていて面白そうで仕方がない。カードを集めて組んでみようぜ!

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