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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

レアにも劣らぬコモンたち!ジャンドデッキと新コモンへの期待(パウパー)
『霊気走破』がリリースされたわけだが……皆、神話レアやレアばかりを追いかけてはいないだろうか?レアリティが高いカードはそれだけそのセットのやりたいことを色濃く反映し、派手で強いカードが多い。なので眼を奪われがちなのは当然なのだが……それだけがマジックじゃないぞ。アンコモンやコモンにだって強力だったり魅力的なカードは多数存在する。レアを追うのにひと段落ついたら、低レアリティのカードの実力も見定めてみよう。手に入りやすい上に強かったら、それはレアに勝るとも劣らない最高の存在だ。
そもそも最近のコモンは、僕がマジックを始めたばかりの頃のレアよりもずっと強いものばかり。MTGアリーナにてヒストリック・パウパーというフォーマットのイベントを遊んでいて、改めてそう感じた。アリーナ内の大半のカードが使えるヒストリック環境のコモンのみを使ってデッキを構築する通好みのフォーマットだ。
『モダンホライゾン3』のリミテッドにおいて、異常な強さを誇ることで話題になった《のたうつ蛹》を主役にしたデッキを組んで遊んだ。この蛹はエルドラージ、唱えた時に3体のエルドラージ・落とし子を生成する。このトークンを生け贄に捧げれば無色マナが加えられる。そして蛹自身はこの落とし子の生け贄によって+1/+1カウンターを得てサイズアップ。蛹同士がお互いの落とし子で誘発するのは勿論、他にも落とし子を生成するカードをたっぷり用意して、高いマナ域のクリーチャーを展開しつつ蛹も強化して戦うデッキが強くて楽しい!そこでふと、本家パウパーでは蛹デッキはあるのかなと気になった。Magic Onlineやテーブルトップで遊ばれるパウパーは、マジックの歴史上全てのコモンが一堂に集結し覇を競う。めちゃ強コモンで固められたデッキとはどんなものなのか?
4 《鉱滓造の橋》 4 《熔融林の橋》 2 《囁きの大霊堂》 4 《屈曲地帯》 4 《沼》 1 《山》 2 《森》 -土地(21)- 4 《刷新された使い魔》 4 《のたうつ蛹》 2 《ニクス生まれのハイドラ》 -クリーチャー(10)- |
3 《喪心》 2 《殺し》 3 《強迫》 4 《浄化の野火》 4 《命取りの論争》 2 《腸抜きの洞察》 1 《間に合わせの砲弾》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《血の泉》 4 《胆液の水源》 2 《レンバス》 -呪文(29)- |
2 《復讐する狩人》 3 《ブレス攻撃》 3 《クラーク族のシャーマン》 2 《殺し》 1 《強迫》 4 《嵐の乗り切り》 -サイドボード(15)- |
というわけでパウパーのジャンド(黒赤緑)カラーのデッキをご紹介。《のたうつ蛹》を主力として迎えているが、かといって他にエルドラージや落とし子といった要素はなく、あくまでフィニッシャー兼到達での壁役としての性能を買ってのこと。
他には伝説のクリーチャーがほぼいない環境であるため万能除去となっている《喪心》や、対戦相手の土地を破壊したり自分の破壊不能土地に対して唱えてマナ加速をする《浄化の野火》といった、コモン界の超優秀カードを集めた、グッドスタッフと呼ばれる構築が施されている。黒と赤の呪文でコントロールし、盤面の主導権を握ったら蛹や《ニクス生まれのハイドラ》で攻勢に出る。ハイドラは授与で蛹に貼り付けることでトランプルを与えて、相手がトークンなどのブロックで攻撃を凌ぐことも許さない。さらに蛹が死亡してもハイドラが残るという、かなりやり手のフィニッシャーだ。
このリストはグッドスタッフではあるが、デッキにテーマがないというわけでもない。蛹が生み出すトークンをマナとして用いる以外にも《命取りの論争》の餌にするなど、生け贄からアドバンテージを生み出すことをテーマとして掲げている。論争や《腸抜きの洞察》で落とし子らを手札に変換して除去やさらなるクリーチャーを確保、《間に合わせの砲弾》で生け贄にしてダメージをばら撒いても良い。そしてそれらの生け贄にはトークンだけでなく、各種アーティファクトも用いる。《胆液の水源》のように生け贄に捧げることで美味しい思いができるもの、《血の泉》や《レンバス》などの戦場に出た時点でカード1枚分の役目を果たしているもの、そして余っているアーティファクト・土地……心を痛めずに生贄捧げられるものをこれらのカードに放り込んで、ゲームの優位をガッチリつかみにかかろう。アーティファクトのカウントを稼いで《刷新された使い魔》を低コストで唱えられるのもグッドポイント。
さて、では『霊気走破』のコモンカードから強そうなものをピックアップして終わりとしよう。デッキの流行具合に左右されることはあるだろうが《不気味なガラクタ》は1マナのアーティファクトで小粒のクリーチャー除去に使えて、親和のカウントだったり生け贄にできたりとなかなかいい仕事をしてくれそうに見えるね。今回紹介したリストのようなものだったり、もっと生け贄に特化したデッキでお呼びがかかるのではないかな。
他には今セットで再録された能力、サイクリングをフィーチャーした《溶岩族の砲兵》も面白い。手札を捨てるたび、即ちサイクリングするたびに対戦相手にダメージを与えられる。パウパーには《ドラニスの刺突者》とサイクリング持ちクリーチャーでガンガン回していくコンボ的なデッキも存在するので、そんなデッキにおいて追加の刺突者になれるかも。
他にも楽しげなコモンの姿が見られるので、リミテッドなどで試しつつ可能性を感じるものがあれば、各種フォーマットで使ってみよう。レアリティの高いカードだけでなく「パウパーに参入するコモンがあるかどうか」とか、そういった点からも最新セットを楽しんでもらえると嬉しいぜ。
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