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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
マルドゥ・パルヘリオン:移り変わるデッキの常識(パイオニア)
2024年はマジックの常識が色々と塗り替えられた1年だった。まあこれは昨年に限らず、毎年のこと。年月を重ねるたびに進化し、日々常識が移り変わっていく……その流動性こそマジックの魅力、マジックらしさ。今年も新しいものが生まれ、過去と大きく価値観が変動するイベントが起こることだろう。あるいは古臭いと思えたものが再注目されるかも?マジックのデッキだって、ずっと同じなんてことはないのだ。
たとえば……《大牙勢団の総長、脂牙》を用いるパイオニアのデッキ。脂牙は墓地から機体を戦場に戻し、それに速攻を与える。ターン終了時にそれは手札に戻ってしまうが、マナコストを踏み倒して1回攻撃出来れば御の字。この能力で墓地から超巨大な機体《パルヘリオンⅡ》をリアニメイト。脂牙でそのまま搭乗して攻撃することで、対戦相手に大ダメージを与えつつ天使を展開。たった3マナでこれだけでの盤面を作れる強力コンボで、パイオニアでも愛されるデッキだ。
脂牙とパルヘリオン、白と黒2色で構成されるコンボだが、このデッキは白黒2色で組まれたものはほとんど見当たらない。2024年夏までの「パルヘリオン」の定番は……《蓄え放題》《忌まわしい回収》《ウィザーブルームの命令》など緑のカードを用いたアブザンと呼ばれる3色の構成が主流だった。白と黒だけでは墓地にカードを送り込む要素が少し弱いので、緑を足すことでコンボをスムーズに成立させるというわけだ。《エシカの戦車》という緑ならではの機体もあるしね。しかしこの「パルヘリオン」=アブザンという構図は、秋から大きく塗り替わることになった。
2 《神無き祭殿》 3 《聖なる鋳造所》 1 《優雅な談話室》 3 《戦場の鍛冶場》 4 《黒割れの崖》 4 《秘密の中庭》 4 《荒廃踏みの小道》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《沼》 -土地(23)- 4 《税血の収穫者》 4 《逸失への恐怖》 1 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《大牙勢団の総長、脂牙》 3 《ベイルマークの大主》 -クリーチャー(16)- |
4 《思考囲い》 1 《強迫》 4 《致命的な一押し》 2 《苦々しい勝利》 4 《鏡割りの寓話》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 4 《パルヘリオンⅡ》 -呪文(21)- |
3 《耳の痛い静寂》 2 《強迫》 3 《ポータブル・ホール》 3 《消失の詩句》 2 《勢団の銀行破り》 2 《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
『ダスクモーン:戦慄の館』リリース後のパルヘリオンと言えば、緑ではなく赤を加えたマルドゥ!元々脂牙の出初めの頃にはマルドゥも使われていたのだが、アブザンとの生存競争に敗れて数を減らすことになった。そんなマルドゥが復活し、今は逆にアブザンとの立ち位置が入れ替わって主流に。
これを後押ししたのは《逸失への恐怖》だ。カードを1枚引いて捨てる能力でコンボを促しつつ、墓地にカードタイプ4種以上の状況であれば追加の戦闘フェイズも発生させる。パルヘリオンコンボは戦闘開始時に行われるので、コンボチャンスが2回続けて訪れることに。ライフを大きく得ている相手であっても、驚異のパルヘリオン二連撃には粉砕されてしまうことだろう。この《逸失への恐怖》と共に《鏡割りの寓話》も用いて墓地を蓄えてコンボを狙う。あるいは《キキジキの鏡像》に変身すれば、これをタップして《逸失への恐怖》をコピーして攻撃→アンタップして追加の戦闘フェイズ→アンタップした鏡像でまた恐怖をコピーして……とマナがある限り波状攻撃を行える。猛ラッシュを仕掛けるという別の勝ち手段でパルヘリオンが決まらない時も安心だ。
マルドゥが主流となっている現在のパルヘリオンデッキだが、さらにもう一つ残された3色・青を組み込んだエスパーを試すプレイヤーも増えてきているのも興味深い。
1 《マナの合流点》 1 《神聖なる泉》 2 《湿った墓》 2 《神無き祭殿》 3 《金属海の沿岸》 4 《闇滑りの岸》 2 《秘密の中庭》 2 《さびれた浜》 2 《砕かれた聖域》 1 《清水の小道》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《沼》 -土地(23)- 4 《統合の福音者》 4 《大牙勢団の総長、脂牙》 3 《策謀の予見者、ラフィーン》 2 《上げ潮、キオーラ》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(15)- |
4 《致命的な一押し》 2 《苦々しい勝利》 3 《消失の詩句》 4 《思考囲い》 4 《不浄な別室 // 祭儀室》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 4 《パルヘリオンⅡ》 -呪文(22)- |
2 《薄暮の聖人、エレンダ》 1 《ヴィズコーパの血男爵》 1 《切り崩し》 2 《無情な行動》 3 《一時的封鎖》 1 《消失の詩句》 4 《虚空の力線》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
エスパー型もカードを引いて捨てる形でコンボをサポート。その際に用いるのは《策謀の予見者、ラフィーン》の謀議能力、そして《統合の福音者》や《上げ潮、キオーラ》の手札入れ替えだ。このキオーラという選択肢が『ファウンデーションズ』で加わったことで、それまで存在感が皆無だったエスパー型のパルヘリオンを試してみるプレイヤーが増えてきた。2枚の手札を入れ替えられるだけでなく、墓地が7枚以上ある状態で攻撃出来れば、8/8のタコが出現!この圧倒的なサイズで殴り勝つというオマケの勝ちパターンを備えているのがエスパーの魅力。今後より数を増やすことになるか?
マジックの常識は常に新しいものが生まれ、古いものが復権し、今のままということは決してない。2025年もデッキが流動的に変化し続ける1年になることは間違いない。「パルヘリオン」や君のデッキは、1年後の今日一体どんな形になっているだろうか?1年がもたらす変化、今年生まれる定番のデッキたちを皆で楽しもう!
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