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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:希望に満ちたセレズニア天使(パイオニア)

岩SHOW

 マジックのデッキをクールという側面から語る、今週のCool Deck。今回は……あるフレイバーテキストをご紹介。

 

「ありがとう。でも、結構よ。希望はもう懲りたわ。」

 おお、クールな一言ではないか。希望はもう懲りた……《冷笑的な一匹狼》がこれまでにどのような経験をしてきたのか、様々な光景が思い浮かぶ。カードに風味を与えるという意味通りのクールなフレイバーテキストだ。かつては希望を抱いていたんだな……。

 『ダスクモーン:戦慄の館』ではこの「希望」というフレーズをフレイバーテキストに含むカードが実に6枚も作られている(英語のHopeだと7つ)。このセットが恐怖に満ちたものであるがゆえに、だからこそそこをさまよう人々は希望を抱き、時にそれを捨て去る。ホラー映画もほんの少しの希望があるからこそ、絶望的な恐怖が際立つというものだ。そんな恐怖の中の希望を象徴する1枚がその名も……

 

 《希望の力線》!ゲーム開始時に手札にあるとそのまま戦場に出せる、力線サイクルの最新作だ。白の《希望の力線》は、コントローラーが得るライフを+1点してくれる。たかが1点だが、されど1点だ。力線の能力でコストを踏み倒して戦場に出し、各種ライフ回復カードを使えば塵も積もれば山となる、カード1枚分くらいのライフは生み出してくれることが期待できる。そしてライフの総量がゲーム開始時よりも7点以上多くなった場合……つまりは27点以上になれば、この力線はクリーチャーに+2/+2修正を与える。この常在型能力はたかがなんて笑えるもんじゃない、ゲームを終わらせるには十分な値だ。

 また力線サイクルはゲーム開始時に手札になくて後から引いてきたらお荷物になりがちであるが、《希望の力線》はこの全体強化のおかげで後からプレイしても4マナに見合う威力を誇っている。初手にあれば希望が湧く、後から引いても希望はついえない。

 このクールな力線を用いたデッキの一例を紹介しよう。それはパイオニアの……

タムラ タカヤ - 「セレズニア天使」
毎日営業スタート記念!デイリーイベント 夕方の部 2-0 / パイオニア (2024年10月22日)[MO] [ARENA]
4 《寺院の庭
4 《低木林地
3 《剃刀境の茂み
2 《草茂る農地
4 《枝重なる小道
1 《魂の洞窟
1 《皇国の地、永岩城
1 《耐え抜くもの、母聖樹
3 《平地
-土地(23)-

3 《ラノワールのエルフ
3 《エルフの神秘家
4 《翼の司教
3 《希望の源、ジアーダ
4 《輝かしい天使
4 《正義の戦乙女
3 《スカイクレイブの亡霊
1 《鼓舞する監視者
-クリーチャー(25)-
4 《集合した中隊
4 《カイラの再建
4 《希望の力線
-呪文(12)-
2 《減衰球
4 《ゴバカーンへの侵攻
2 《形成師の聖域
3 《ポータブル・ホール
4 《安らかなる眠り
-サイドボード(15)-
晴れる屋 より引用)

 

 

 セレズニア(緑白)カラーの天使デッキ!パイオニアでも初期から存在する歴史あるアーキタイプだ。天使は神聖なものに仕え、人々を護る存在だ。それ故に色々な形でライフを回復させてくれるカードが多く、またそのライフを得ることに他のボーナスも付与するカードも見られる。《正義の戦乙女》は天使やクレリックが戦場に出るとそのタフネス分のライフを得る。ライフの総量が27を超えると全体に+2/+2修整……そう、力線はこの天使の能力を引き継いでいる。

 また《輝かしい天使》は1ターン内に得たライフが5点以上だと、4/4の天使トークンを生成する。自身がサイズアップと絆魂を持つことも可能で、自分で自分の能力を誘発させられる。これらの天使や《翼の司教》でライフを得て優位に立つのが「セレズニア天使」の狙いだ。このライフを大事にするデッキに《希望の力線》が合わないわけがない!というわけでクールに全体強化8枚体制をものにしたのがこの最新のリストだ。

 

 さて、天使や力線などの回復及び戦闘要員は白に集中している。では緑の役目とは?これが、デッキの主役ではないがなくてはならない……そんなクールな縁の下の力持ち的ポジションだ。緑のクリーチャーで採用されているのは《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》と1マナのマナエルフたち。上記のキーとなる天使たちは3マナで、これを真面目に展開するとパイオニアの速度の中ではもっさりしたものになりかねない。なのでマナ加速から少しでも早く出そうという魂胆だ。

 もっさり感をもっとも解消してくれるのは《集合した中隊》、3マナ以下のクリーチャーを2体同時展開で一気に盤面を作っていく。4マナのこのインスタントをいち早く唱えるためにも、マナエルフとのセットは外せないというわけだ。中隊から戦場に出たクリーチャーの能力もしっかり誘発する。特に《正義の戦乙女》を2体出せた時には、それぞれにお互いが能力を誘発させるのでいきなり8点ゲイン、ライフが初期値から減っていなければそれぞれの全体強化も働いて+4/+4修整……マナエルフでさえ暴力的な存在に早変わり。

 中隊から繰り出すのは《スカイクレイブの亡霊》も候補で、これで各種パーマネントを追放してコンボなども防ぐことが可能になっている。天使が主役、されど重要なのはマナエルフと中隊。緑は天使と切っても切れないクールな補助色なのだ。

 希望は良いものだ。それがあるだけでゲームを続けられる。どんな状況でも「あれを引けば」という希望があれば、勇気をもってドローをできる。くじけないことで、勝利がもたらされる。苦しいゲーム展開の時ほど希望を捨ててはいけない、《希望の力線》からの逆転を狙って、マリガンしてみるのも良いだろう。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Never give up hope!!

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