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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!出現リアニメイト、その名前を三度言え(スタンダード)

岩SHOW

ヤバいやつらがやってくる……ッ!

 

 この秋はスタンダードにとって大きな変革がもたらされる。『ダスクモーン:戦慄の館』がリリースされ新環境が始まったと思ったら、もう次なるセットがやってくる……『ファウンデーションズ』だ。

 このセットは平たく言えば基本セットだ。古き時代のスタンダードは、基本セットを軸にして拡張セットがカードの選択の幅をもたらすという形式が用いられていた。基本セットは他のセットよりも使用可能な期間が長く、このセットに2色土地や全体除去といった基礎中の基礎的なカードが収録され、基本セットのカードさえ押さえておけばデッキの土台は組めるという感じだったね。

 今回の『ファウンデーションズ』も少なくとも2029年まではスタンダードで使用可能とのことで、一部のカードとは長い長い付き合いになりそうだ。早速公開された《群れの統率者アジャニ》も過去の基本セットのカードで、そうした再録カードと、現在のカードパワーに合わせてチューニングされた基本セット的な新規カードとが、スタンダードをより重厚なものにするだろう。中にはヤバいカードもあることを期待しちゃうな……。

 しかしまあヤバいといえばダスクモーン、現行最新セットのもたらしたカードはすごいね。スタンダードは勿論、パイオニアも大きく変わって……このセットのカードパワーには唸らされるね。デーモンやエンチャントなどなど、ヤバいやつらがやってきたわけだが……そういえばまだアイツをこのコラムで取り上げていなかったかな?というわけでヤバいやつらの代表格、今回はあの怪物を呼んでみよう!今週もとことん!スタンダードのデッキをアツく語るぜ!

とことん!3回言おう!
 

 ダスクモーンはホラーを題材にしたセットだ。その昔、三度名前を呼ばれると呼んだ人の前に姿を現すキャラクターが主役のホラーコメディがあった。最近続編もやっていたね。そんなホラーキャラを元ネタとして作られたのが《三度呼ばれ、アルタナク》だ。こちらも名前を三度呼ばれると戦場に出てくる能力を持っている。《その名を言え》というソーサリーを墓地から3枚追放することで、手札・墓地・ライブラリーに潜むアルタナクを戦場へ。9/9トランプルというサイズに加えて対戦相手の呪文や能力の対象になれば1枚ドロー、かなりの厄介者だ。

 《その名を言え》自体は切削を行い、墓地のクリーチャーをや土地を手札に加えられる、最近緑にありがちな呪文。切削ということでこれ自身で他の《その名を言え》を落とせる可能性があり、他にも切削要素などを盛り込めば墓地に同名カードを3枚揃えるというハードルは、思っているよりも高いものではなかったりする。

 では、今回はこのアルタナクを取り入れたスタンダードのデッキを紹介しよう!噛まずに3回言えるかな?

Nathaniel Ang - 「出現リアニメイト」
Apac League Season Qualifier @ A3 rent a book 2位 / スタンダード (2024年10月19日)[MO] [ARENA]
2 《ヤヴィマヤの沿岸
2 《花盛りの湿地
1 《植物の聖域
3 《グルームレイクの境界
1 《ハッシュウッドの境界
1 《地底街の下水道
2 《地底の遺体安置所
2 《迷路庭園
2 《不穏な浅瀬
4 《寓話の小道
1 《平地
1 《
2 《
2 《
-土地(26)-

4 《錠前破りのいたずら屋
2 《苦難の収穫者
1 《最深の裏切り、アクロゾズ
1 《森の轟き、ルムラ
3 《偉大なる統一者、アトラクサ
1 《三度呼ばれ、アルタナク
-クリーチャー(12)-
1 《切り崩し
2 《苦々しい勝利
1 《恐怖の潮流
3 《忘れられた者たちの嘆き
4 《その名を言え
4 《もがく出現
4 《第三の道の創設
1 《ギックスの残虐
2 《完成化した精神、ジェイス
-呪文(22)-
3 《強迫
1 《残虐爪の強奪
1 《切り崩し
1 《喉首狙い
1 《一巻の終わり
1 《毒を選べ
1 《羅利骨灰
1 《削弱
1 《除霊用掃除機
1 《グリッサ・サンスレイヤー
1 《好奇心の神童、ケラン
1 《機械の母、エリシュ・ノーン
1 《解剖道具
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 こちらは《もがく出現》を用いるスタンダードのリアニメイト。墓地から高マナ域のクリーチャーなどを釣り上げて、そのカードパワーで制圧するのがリアニメイトの流儀。年々クリーチャーの性能が高まっているのもあって、この戦い方はかつてのスタンダードのそれとは比較にならないほど強力なものになっている。それもこれも全部《偉大なる統一者、アトラクサ》がいるからに違いない。この圧倒的なフィニッシャーについて、今更懐疑的な要素はないだろう。天下に知れ渡るその力を、《もがく出現》を通してたった3マナで得られる……これほど魅力的な提案もそうそうない。

 このリストは先に上げたアルタナク・パッケージを採用したもの。《その名を言え》や《錠前破りのいたずら屋》などで切削し、墓地にアトラクサやアルタナクを落として釣り上げることを狙う。アルタナクは手札から捨てることで墓地の土地を戦場に出すという能力も持っている。《寓話の小道》だったり切削や諜報で落ちた土地をこれで釣り上げてマナ加速、落ちたアルタナクは出現や《その名を言え》でリアニメイト……こう動ければ強い上に楽しく、言うことなし!

 

 さて、リアニメイトは強力であるがゆえに対策を用意されることが多く、また対策法にシンプルで強力なものが揃っているのが原稿のスタンダード。墓地利用を推奨するダスクモーンにも《虚空の力線》と《除霊用掃除機》、強力墓地対策が二段構えで収録されている。これらに対抗するためにも、エンチャント及びアーティファクトへの対抗策は必須だ。《毒を選べ》《羅利骨灰》《削弱》……色的にも出現型のリアニメイトはそれらへの対策には困る色ではない。

 しかしもう一つ、心構えを備えることも重要だ。それは……リアニメイトせずに勝つことを狙う。デッキコンセプトに対して矛盾しているようだが、こういう意識の持ち方一つで勝率は変わってくるものだ。このリストの場合は5マナから7マナに主力が固まっている。5マナなら無理なく唱えられるし、このデッキには《寓話の小道》を《森の轟き、ルムラ》で使いまわすなどマナを増やす要素もいくつか備えているので、7マナのクリーチャーを唱えることもそう厳しいことではない。なのでサイド後、相手が墓地対策を手厚く取っているようなら、しっかりと土地を集めることを意識してそこから素出しの大型クリーチャーで戦う、いたって普通のデッキとして戦うことを心がけながらやってみよう。

 リアニメイトにとってプラスに働く要素もあれば、向かい風を巻き起こすカードも同時にやってきたのがダスクモーン環境。それは他のデッキにも言えることで、スタンダードのデッキそれぞれに色々なヤバいカードを迎え入れ、向き合って戦っている。日々の調整でベストなリストに仕上げる、スタンダードの中期から末期にかけてはこの研いでいく工程が醍醐味。さあ、今日もスタンダー道、一歩ずつ踏みしめて進んでいこうぜ!

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