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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

版図ランプ:ボイラービルジ、4点ダメージの地獄!(スタンダード)

岩SHOW
 

 『ダスクモーン:戦慄の館』は無限とも思えるような部屋が繋がる館が舞台。館と一口に言っても、本来の物理法則を無視した部屋で構成されている空間だ。その中にはそれぞれ個性が異なる部屋が存在し、それぞれに名前が付けられている。ミストムーア、ホーントウッドといった具合に。

 個人的に5つのエリアの中でも好きな響きなのはボイラービルジ。濁音が多くて気持ち良い!このエリアは赤いカードを中心に表現されている。熱気が満ちたこの炉室には、そこかしこにパイプが張り巡らされ、炎が吹き荒れている。屑鉄やがらくたで埋め尽くされた部屋には死を招くトラップや災害が多発し、館の中でも最も命の危険がある空間になっている。ホラー映画でも薄暗いボイラー室は定番のスポットだ。ビルジとは、船の底に設けられた空間やそこに貯まるオイルなどの廃液の類を指す。蒸気と廃液で満ちた地獄から、生きて出られるのか?

 

 このボイラービルジに巣くう大怪物が《ボイラービルジの大主》。人工物で構成された肉体には、火炎放射器を始めかぎづめ、丸のこなど攻撃性を色濃く打ち出した武器が創部されている。出会ったら最後、あらゆる方法でこちらの命を奪おうとしてくることだろう。この大主、戦場に出るか攻撃すれば対象に4点ダメージを与える。イラストの攻撃性がそのままゲームにも持ち込まれている。クリーチャーを除去し、対戦相手のライフを焼く邪悪過ぎるフィニッシャーとして機能してくれるだろう。このボイラービルジを使ったデッキ……色々と使い方は思いつくが、最もやんちゃな組み合わせを用いるリストを紹介しておこう!

neb12r - 「版図ランプ」
Magic Online Standard League 5-0 / スタンダード (2024年10月16日)[MO] [ARENA]
3 《魂の洞窟
2 《商業地区
4 《草萌ゆる玄関
1 《優雅な談話室
2 《迷路庭園
4 《ハッシュウッドの境界
1 《噴水港
3 《平地
1 《
2 《
4 《
-土地(27)-

4 《ホーントウッドの大主
4 《ボイラービルジの大主
2 《ミストムーアの大主
-クリーチャー(10)-
4 《失せろ
4 《太陽降下
4 《力線の束縛
1 《脚当ての陣形
4 《豆の木をのぼれ
4 《洞窟探検
2 《ドッペルギャング
-呪文(23)-
4 《エルズペスの強打
2 《悪魔祓い
3 《温厚な襞背
2 《除霊用掃除機
4 《否認
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 このデッキはスタンダードのランプデッキ。ランプとは土地を何らかの手段で戦場に多く並べるなどして使えるマナを増やし、対戦相手よりも高いマナ総量の呪文で勝負する、じっくりどっしりといったデッキのことである。《ボイラービルジの大主》も兆候能力で軽めのコストで使えるとはいえ、6マナとそれなりにマナを食うクリーチャーだ。これをマナ加速により本来よりも1・2ターン早く戦場に出せれば、それだけでも対戦相手にとっては厄介なことだ。

 このデッキのランプ要素、マナ加速は……まずは《洞窟探検》。これはカードを1枚引き、手札から土地を1枚出せる。その上でタップ状態で戦場に出る土地はすべてアンタップになる。《商業地区》のような諜報土地をたっぷり採用しても、これなら安心。そして土地・トークンを提供する《ホーントウッドの大主》。これの生成する《遍在地》は1枚で基本土地タイプを参照する版図能力を最大値まで引き上げてくれるので、《力線の束縛》でのコントロールが容易になる。他にも《太陽降下》などを用いて、ランプデッキの典型的なスタイル「マナを伸ばして除去してコントロール、そしてこうマナ域のフィニッシャー」という動きを実行するリストに仕上げられている。

 

 さて、ではマナが伸びてからのフィニッシュについて……《ドッペルギャング》!これはパーマネントX個をX回コピーする。夢に溢れるビックリドッキリなソーサリーで、一部のファンの心を鷲掴みにしている。そしてこの《ドッペルギャング》でボイラービルジを大量コピーする、というのがこのデッキの必殺技だ。戦場に出て4点ダメージ、この能力をX回誘発させて対戦相手のライフを一気に焼き切るというのがこのデッキの狙うドリームコンボだ。X=4以上で唱えられれば、概ね勝利は掴めるだろう。

 ボイラービルジは兆候で先に出しておくことで、より軽くスタンバイできてかつ、クリーチャー除去でコンボが妨害されるのを防ぐ。ついでに《ミストムーアの大主》や《ホーントウッドの大主》をコピーしてクリーチャーをミチミチに並べたり、《力線の束縛》をコピーして除去、《豆の木をのぼれ》《洞窟探検》をコピーすればドロー……その時に狙える最大限のバリューを獲得しにいきたいところだ。《ドッペルギャング》は《クレオソートの荒野》などの砂漠をコピーして対戦相手にダメージを与えるコンボでも人気だった。ボイラービルジと砂漠をコピーし、対戦相手のライフが30点以上あろうとも一気に削り尽くすデッキを目指してみても面白そうだね。

 《ボイラービルジの大主》の破壊力はなんとも魅力的なもの。これをマナ加速から叩きつけたり《ドッペルギャング》でコピーするなど、そのポテンシャルを最大限に引き出す構築を施して、不快な蒸気と狭い視界の地獄に対戦相手を引きずり込んでやろう。現実的な運用法と夢見る要素を併せ持ったデッキを目指すことを推奨しておこう!

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