READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

魁渡の麻痺忍法が炸裂!ディミーア・ミッドレンジの新たな攻め方(スタンダード)

岩SHOW
 

 《悪夢滅ぼし、魁渡》を使いたい!このカードはそう思わせてくれる、ガツンと来る魅力がある。プレインズウォーカーなのにクリーチャー、忍術でコスト軽減しながら戦場に出せる、忍者デッキを組ませるような能力でありつつも、それ専用ではなくシンプルに諜報2とドローを続けるだけでアドバンテージが稼げて強い……良いこと尽くし!こんなカード、使わない手はないって!というわけで様々なフォーマットでの活躍が見込める『ダスクモーン:戦慄の館』の新カード……スタンダードでこれを使用しているデッキリストを紹介しよう。

 実際にリストを見る前に、まずは青と黒の2色、ディミーアというカラーリングのお話。昔はこのカラーリングといえば……上級者向けだった。その理由は一言で言えば、線が細い。昔は今以上に各色の特異・不得意がハッキリとしていた。青と黒の2色、特に青はクリーチャーが不得意、ストレートに言えば弱かった……青黒2色となると他の色の組み合わせに比べて、クリーチャーの線が細くて、戦場を作って戦うことが困難だった。インスタントを使って相手の動きを捌く、コントロール的なカラーリングの代表という感じで、それ故にクリーチャーで殴り合う、万人にわかりやすく馴染みやすい戦い方は不得意だった。

 

 ところがクリーチャーの質に関する格差は、現在のマジックでは大きく改善された。どの色でもクリーチャーデッキを組んでそれぞれの長所で勝負できるようになったことは今更言うまでもないよね。ディミーアも、サイズで大きく負けるということもなくなり、飛行などの回避能力を持つクリーチャーで確実にダメージを刻んでいくアグロやミッドレンジを組むことができる。スタンダードでも《遠眼鏡のセイレーン》《フェアリーの黒幕》などの軽い飛行クリーチャーで攻撃して《ヨーグモスの法務官、ギックス》でドローして勝負を決める、そんなデッキが活躍している。そしてダスクモーンがリリースされ、そこに魁渡らが新戦力として迎え入れられている。

 ではおまたせ、リストを見ていこう!

Ryota Hagino - 「ディミーア・ミッドレンジ」
ジャパンスタンダードカップ:『ダスクモーン:戦慄の館』 24位 / スタンダード (2024年10月12日)[MO] [ARENA]
4 《地底の大河
4 《闇滑りの岸
4 《グルームレイクの境界
3 《不穏な浅瀬
1 《噴水港
5 《
4 《
-土地(25)-

3 《遠眼鏡のセイレーン
4 《フラッドピットの溺れさせ
3 《フェアリーの黒幕
2 《ティシャーナの潮縛り
1 《ヨーグモスの法務官、ギックス
2 《永劫の好奇心
2 《冷静なスフィンクス
1 《復活したアーテイ
-クリーチャー(18)-
2 《見栄え損ない
1 《切り崩し
3 《喉首狙い
1 《シェオルドレッドの勅令
1 《洪水の大口へ
2 《幻影の干渉
2 《三歩先
2 《謎めいた外套
3 《悪夢滅ぼし、魁渡
-呪文(17)-
3 《魂標ランタン
2 《強迫
2 《鋼と油の夢
1 《切り崩し
1 《シェオルドレッドの勅令
2 《ギックスの命令
1 《ティシャーナの潮縛り
1 《踊る影、魁渡
1 《冷静なスフィンクス
1 《最深の裏切り、アクロゾズ
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 というわけで先日のジャパンスタンダードカップより、ディミーアのリストを一つピックアップ。軽量クリーチャーで攻撃して、魁渡を忍術で出したり、あるいはギックスと組み合わせてドロー。この攻撃を通すと手札が増えるシステムを《永劫の好奇心》も用いて大きく後押しする。好奇心はそれ自身がパワー4とパンチがあり、瞬速で隙なく繰り出せる。相手のターンエンドだったり、ブロッククリーチャー指定後だったり、あるいは相手の攻撃を受け止めて疑似的な除去にしたり……死亡してもエンチャントとして戦場に残るため、ディミーアにしぶとさを付与してくれる。この猫を使わない手はないね。

 これと組み合わせて特に強いのは《謎めいた外套》!裏向きのクリーチャーを用意し、それに装備されてパワー3のブロックされない殴り役になってくれる。確実に攻撃が通り、ドローもできる。除去に強い好奇心と、同じく手札に戻して出し直すことで延々とクリーチャーを生み出す該当の組み合わせは、ゆっくりとしたデッキにとっては地獄のコンビネーションだ。

 

 このリストはディミーアではお馴染みの《大洞窟のコウモリ》は不採用、というのが目を引くポイントだ。これは何故か?おそらくは《悪夢滅ぼし、魁渡》があまり良くないからかな。一度追放したカードを、忍術でコウモリを手札に戻すと返してしまうことになる。手札追放をやり直すというのは状況によってはハマるものではあるが……その代わりに、ミッドレンジ同士などクリーチャーでのぶつかり合いにより強い1枚に置き換えられている。《フラッドピットの溺れさせ》だ。

 このホラー色の強いマーフォークは、瞬速持ち+相手のクリーチャーをタップして麻痺カウンターを与える。これでテンポ良く相手のクリーチャーを寝かせて、攻撃を通して忍術……と動ければ、溺れさせを再利用も出来る。さらに溺れさせは、麻痺が乗っているクリーチャーと自身をライブラリーに戻すという除去能力も持っている。これがまた実にテクニカルで、攻撃→警戒持ちなのでタップせず、ブロック指定後にタップ能力を起動→これを解決する前に忍術を起動、溺れさせを手札に戻す……と動けば、相手のクリーチャーだけがライブラリーに戻され、魁渡が戦場に出てくるという、相手からすると実にイヤらしい動きが可能だ。しかも!魁渡は対戦相手のクリーチャーを!麻痺させられる!この2枚、セットで使えと言わんばかりだ。ここまで言われちゃ遠慮する方が無礼というもの。麻痺させて忍術、これぞディミーアの新戦術だ。

 クリーチャー出の殴り合い、どんとこい!最新のディミーアはテクニックで翻弄し、対戦相手を圧倒する。《悪夢滅ぼし、魁渡》、強くて面白くて、ポテンシャルの引き出し甲斐がある名カードとして、これから長く愛される予感!週末の世界選手権でも、ラスベガスでニンジュツが炸裂することになるか?

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索