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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
力線型赤単果敢:力線、超スゲェ(スタンダード)
『ダスクモーン:戦慄の館』はエンチャントが大きなテーマとなっている。それもあってか力線サイクルが登場。この力線というのは、ゲーム開始時の手札にあった場合にそれを戦場に出しても良い、という共通の能力を持ったエンチャントのこと。単色4マナで各色に用意されてサイクルを形成し、過去合計4回収録されている(特別な1枚として《ギルドパクトの力線》がある)。この力線サイクルの中には同一のものが複数回収録されていることがある。しかし赤と緑の力線に関しては毎度新規の力線が作られており、全4種類ずつ存在している。今回は赤の力線を振り返ってみよう。
初代力線サイクルより《稲妻の力線》は、何か呪文を唱えた際に{1}を追加で支払えば対戦相手に1点ダメージ。《稲妻》と同火力とはいかず、1点しか入らないのは心許ないもの。2代目となる《処罰の力線》はプレイヤーがライフを得られず、ダメージは軽減されないというなかなかにルールをぶち壊す仕様。プロテクションなどを突破してダメージを与えられ、ライフ系のコンボを封じるニッチな1枚だ。3代目《発火の力線》は対戦相手がこちらのパーマネントやプレイヤー自身を呪文や能力で対象に取ってきた場合に誘発し2点ダメージを与える。除去を置く備えたデッキに対して、ゴブリンなどのクリーチャー主体デッキで用いて詰みの状況を作ったり、手札破壊にペナルティを与えたりと良い仕事をする力線だった。
そしてダスクモーンにて4代目となる《残響の力線》が登場。これは自身が自身のクリーチャー1体のみを対象とするインスタントやソーサリーを唱えると、それをコピーするという能力を持っている。2代目、3代目と対戦相手への対抗手段として作られてきたが、ここにきて初代のように自身のアクションにボーナスを付与するデザインになっている。この力線が現在スタンダードにおいて、赤いデッキの地位を大きく引き上げている。
4 《カープルーザンの森》 4 《銅線の地溝》 4 《ソーンスパイアの境界》 8 《山》 -土地(20)- 4 《騒音の悪獣》 4 《心火の英雄》 4 《僧院の速槍》 4 《熾火心の挑戦者》 3 《ピクニック荒らし》 -クリーチャー(19)- |
4 《弱者の力》 4 《巨怪の怒り》 4 《裏の裏まで》 2 《蛇皮のヴェール》 3 《魔女の印》 4 《残響の力線》 -呪文(21)- |
4 《塔の点火》 3 《抹消する稲妻》 2 《歪んだ忠義》 2 《脚当ての陣形》 4 《ウラブラスクの溶鉱炉》 -サイドボード(15)- |
というわけでスタンダードの《残響の力線》入り「赤単果敢」デッキを紹介しよう。赤単と言いつつほんのり緑も入っているが、これはもうお約束というかご愛敬。ほぼほぼ赤色のカードで構成され、そしてメインデッキにおいては力線を除くと1マナ26枚、2マナ14枚と軽量カードばかりで固められたゴリゴリのアグロデッキである。クリーチャーでない呪文を唱えるとサイズが上がる《僧院の速槍》ら果敢クリーチャー、そして各ターン最初に呪文や能力の対象になった時に雄姿が誘発する《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》らハツカネズミ。これを《巨怪の怒り》《弱者の力》などで強化して、アドバンテージを獲得しながら大ダメージを叩き出すというのが「赤単果敢」の戦法だ。
前環境でも爆発力は最強クラスのデッキだったが、ダスクモーン環境では《残響の力線》がこれに加わりさらにパワーアップ!《巨怪の怒り》がコピーされて大ダメージ、《弱者の力》がコピーされて2枚ドロー、1枚の呪文で2体の雄姿を誘発……考えただけでもヤバいし、力線が2枚以上戦場に出ていればそれはもうとんでもないことになる!というわけで今一番ホットで破壊力のあるデッキがこの「赤単果敢」系になっている。
ダスクモーンがもたらしたのは力線だけではない。《裏の裏まで》もまた強力なインスタントとして、赤いデッキの支持を獲得している。クリーチャー1体のパワーを3上昇させ、それがそのターンに死亡すると戦慄予示を行い、クリーチャーを戦場に残せるという…この高性能っぷりにして1マナという軽さ、何気にすごいコモンカードである。これも力線でコピーされれば、打点を高めつつ相手のクリーチャーと相討ちになっても問題なし、むしろクリーチャーが増えるなどという事態も起こり得る。
そしてこの《裏の裏まで》と相性抜群なのが《騒音の害獣》だ。害獣は死亡時にパワー分のダメージを任意の対象に与える。そしてこれは対戦相手に戦闘ダメージを与えることに成功すると、自ら生け贄に捧げることが可能だ。《裏の裏まで》でパワーを高めつつ本体に大ダメージ、クリーチャーを除去したり更なにライフを削って追い詰めたり……そんなことをしつつ戦慄予示でクリーチャーは残る、これぞベストマッチな組み合わせ。力線複数枚キープから最速勝利を叩き出す時にはこの2枚が絡んでいることが多いね。要注目のコンビネーションだ。
《残響の力線》はゲーム開始時の初手に来ればそりゃあ強い。でも途中で引いた時には邪魔にならないか?とデメリットから考えることも大事だ。結論から言うと、4マナある状態であれば力線素出ししつつ果敢を誘発させて攻撃、次のターンに力線からのコピーでフィニッシュという動きもあるので、途中で引くことはそれほど悪ではない。それにこのリストには邪魔な力線の処理方法も用意されている。《魔女の印》で捨てて、別のカードを2枚引けば良いのだ。この印は自身のクリーチャーを対象に取り、それにひねくれ者の役割を与える。つまり、これもまた力線でコピー可能だ。コピーで引いてコピー元で引いてとという形で手札ががっぽり。その上で盤面の打点も上がる……これぞマスターピース。あまり注目されていなかったカードが力線の登場でそのポテンシャルを見直される、なんともスタンダードらしい展開で良いじゃないか。
サイドボードの《歪んだ忠義》も相手のプランを崩壊させる良いカード。これも実は力線でコピーできる。力線が2枚以上あるのであれば、自身のクリーチャー1体のみを対象にして唱えてみよう。すると複数回コピーされ、1枚で相手のクリーチャーを2体以上奪うなんてことも……奇跡の逆転ファイトも演出してくれる、力線スゲェぜ。
《残響の力線》の他にもダスクモーンには4種類の力線が収録されている。お馴染みの《虚空の力線》で墓地対策に始まり、《希望の力線》など新しい戦術を生みだしそうな力線も。それぞれにピンとくるカードがあれば、ぜひデッキを組んでみてね!《変異の力線》など難しそうだけでも、使いこなせたら気持ちよさそうだよな……。
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