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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

セレズニア・サバイバー:恐怖の円盤UFO!(スタンダード)

岩SHOW
 

 最近のセットは「これまでのセットと違うな!」と思わせてくれる世界観やビジュアルのものが増えている。西部劇風なポップなタッチの『サンダー・ジャンクションの無法者』、かわいい動物に満ちたファンシー極まる『ブルームバロウ』、そしてこの秋を恐怖に染めるモダンホラーがベースのセット『ダスクモーン:戦慄の館』。当初コンセプトを耳にした時には、どういった形でモダンホラーを表現するのか?気になったものだが……直球だった。映画や漫画、数々の媒体を通じて体感してきた恐怖の象徴たちがそのまんまカード化!幽霊やゾンビ、その他の怪物……チェーンソーや対幽霊のマシーンなどなど、ホラー作品のお馴染みお約束がたっぷり。

 その中でも「これもあるのか」と驚いたのがUFO。未確認飛行物体ってやつだ。《未確認浮遊船》に見られるイラストは……どう見てもUFO、しかもちょっと昔に流行った円盤タイプじゃないか!ピカーっと伸びる光の柱が地上の人間を照らす……何とも懐かしく、幼少期には映画やUFOドキュメンタリーなどで度々目にして恐怖したあのシーンじゃないか。この浮遊船は戦場に出た時にタフネス5以下のクリーチャーを追放する。この浮遊船が戦場を離れるとその追放したクリーチャーは戦場に戻る……と思いきや、いつものそういったカードとは異なり、クリーチャーを返す代わりに戦慄予示を行わせる。UFOにさらわれて帰ってきたと思ったら正体不明の何かになっていた……これは実に面白いデザインだ。というかこの機体、かなり強そうだ。

 

 さて、機体とは普段はアーティファクトであり、特定の条件が満たされた時にクリーチャーとなるパーマネントだ。機体ごとにそれぞれクリーチャー化の条件が決められているが、最も一般的なのは搭乗コストの支払い。指定された数値以上のパワーになるようにクリーチャーをタップすることで、それらのクリーチャーが期待に乗り込んでクリーチャー化することになる。この搭乗という起動型能力は、クリーチャーを意図的にタップさせることができるため、様々なカードとちょっとした相互作用を形成し、過去にはそれを利用するデッキも作られた。

 今回のダスクモーンでは生存という能力がプッシュされている。それは戦闘後のメイン・フェイズの開始時にそのクリーチャーがタップ状態であれば誘発する能力群。戦闘に参加し攻撃してタップ状態に→戦闘で討ち取られることなく生存した、というニュアンスだな。これは攻撃した時、と限定されているわけではないため、機体に搭乗させることでも満たすことができる。そのため戦場に出たばかりでまだ攻撃できないターンでも、機体との組み合わせてでターボ生存を狙っていけるのだ。《尻込みする優等生》《果敢な生存者》など強力な能力を与えられている生存クリーチャー達。これらを《未確認浮遊船》に乗り込ませ……これは楽しいデッキが組める予感!

岩SHOW - 「セレズニア・サバイバー」
スタンダード (2024年9月26日)[MO] [ARENA]
4 《低木林地
4 《剃刀境の茂み
1 《ハッシュウッドの境界
1 《不穏な大草原
7 《平地
6 《
-土地(23)-

4 《シタヌールの重鎮
4 《古参の生存者
4 《尻込みする優等生
2 《群れと話す者、ミリアム
4 《果敢な生存者
3 《気性の荒いタンブルワグ
2 《アティインの英雄、ワイリー・デューク
1 《猛打者、タイヴァー
3 《落とし子狩り、リップ
-クリーチャー(27)-
4 《失せろ
2 《移動式住居
4 《未確認浮遊船
-呪文(10)-
3 《エルズペスの強打
2 《邪悪を打ち砕く
2 《温厚な襞背
2 《鋭い目の管理者
1 《クチルの側衛
2 《救済の波濤
2 《星界の再誕
1 《大天使エルズペス
-サイドボード(15)-

 

 

 そんなわけでスタンダードにて、セレズニア(緑白)カラーの機体&乗騎デッキを組んでみた。機体の搭乗や乗騎への騎乗、あるいは他にタップを要求するもので生存者を寝かせて、攻撃せずとも生存能力を誘発させるのが狙いだ。言うなればこれは「セレズニア・サバイバー」!過酷な戦場をサバイブして、最後まで生き残れ!《未確認浮遊船》以外の機体は《移動式住居》を採用。2マナと軽くて早いターンに出せるので、生存クリーチャーを最速タップさせやすい。運が良ければ土地が増えるのもGOOD。そしてこれら機体はソーサリー除去に強い。《太陽降下》など撃たれても、搭乗していなければクリーチャーではないので巻き込まれない。返ってきたターンでクリーチャーを出して搭乗すれば、全体除去を受けてもタイムラグなく攻撃を仕掛けられる。期待の強さを改めて実感させられたね。

 また乗騎クリーチャーには《気性の荒いタンブルワグ》を採用。生存者らをタップしながらサイズアップも狙える。そしてそれら機体と乗騎をまとめて強化するのが《群れと話す者、ミリアム》だ。彼女がいれば攻撃時にそれらのパーマンとは+1/+1カウンターが乗り、しかも自分のターンの間は呪禁を持つ。ソーサリー除去もインスタント除去も受け付けない機体はそりゃあ強い!浮遊船が撃ち落とされる心配なく、唯一の弱点とも言える素のサイズの大人しさも解決される。

 

 さて、そんな機体と乗騎でタップする生存者……個人がメチャ強くなり、死亡してもカウンターを他に引き継がせる《尻込みする優等生》はその名の通り超優秀!速やかに育てて尻込み不要のタフガイへと成長させたい。《果敢な生存者》の戦慄予示も単にクリーチャーが増えるだけでなく、それが他の生存者になる可能性もあって相手にとってはかなり嫌な動きだ。そんな生存者たちのボスは《落とし子狩り、リップ》。リップは生存すると……そのパワー分のライブラリーを見て、その中のクリーチャーや機体が複数枚手に入る可能性をもたらす。パワーが異なるものが手に入るので、多い時には3枚手に入ったり。爆発的なアドバンテージの獲得っぷりは思わず笑ってしまう程だ。

 リップほど豪快ではないが、《アティインの英雄、ワイリー・デューク》も堅実なアドバンテージをもたらしてくれる。ワイリーは警戒を持っているので自力ではタップできないが、これが寝ると1点のライフと1ドローを獲得。攻撃してから機体に乗る、というような動きも出来るので、ガンガン横にして手札を常に満たした状態でゲームを進めていこう。ワイリーもここにきてスタンダードで輝く時が来たか?

 

 この自作リストは『ダスクモーン:戦慄の館』リリース初日に作成したもの。配信であれこれ意見交換しながら組んで実際にプレイしてみると、最初に組んだものがかなり好感触で一気にお気に入りに。機体でソーサリー全体除去を乗り越えて勝つ動きがとにかく強かった。最後にこのリストのいぶし銀を紹介しておこう。《シタヌールの重鎮》だ。

 クリーチャーやアーティファクトをこれと共にタップすることで、好きな色マナを加えられる。1ターン目シタヌール→2ターン目優等生で一緒にタップして1マナクリーチャーを出しつつ、優等生を3/3に……という動きはクセになる。展開力を高めつつ生存者らの誘発を安全に狙える、デッキに欠かせない潤滑油だ。《ラノワールのエルフ》がスタンダードにやって来た後でも、このリストなら交換せずにシタヌールを使いそうだなとさえ思える、隠れた良クリーチャー、一度お試しあれ!

 さあ、UFOで相手のクリーチャーを浚いまくり、こちらはしぶとく生存するデッキでスタンダードを遊びまくるぞ!

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