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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:デミゴッド・デザイア(レガシー)

岩SHOW

 マジックのデッキをクールという観点を第一に取り上げていく今週のCool Deck。長く連載を続けていると……何がクールなのか?クールさを見失ってしまうこともある。全部がクールに見えたり、あるいは普通に感じてしまったり……どんなデッキでもクールであり結局は受け手がどう感じるかという話なんだけどもね。

 そんなわけでクールなデッキがないかなと……そういえば《悲嘆》が禁止になるという変化がもたらされたレガシーなんてどうかな、手札破壊連発には耐性がなかったデッキが、ここにきてのびのびと思うがままの動きをしてたりしないかなと。そんな期待を込めてMagic Onlineリーグ戦の全勝リストを眺めていると……そこに衝撃があった。

DemiChicking - 「デミゴッド・デザイア」
Magic Online Legacy League 5-0 / レガシー (2024年9月2日)[MO] [ARENA]
4 《沸騰する小湖
4 《Volcanic Island
1 《轟音の滝
2 《鋭き砂岩
3 《古えの墳墓
1 《
1 《
-土地(16)-

3 《モンスーンの魔道士、ラル
4 《復讐の亜神
-クリーチャー(7)-
4 《水蓮の花びら
4 《煮えたぎる歌
4 《渦まく知識
3 《思案
4 《直観
2 《一つの指輪
1 《朦朧への没入
2 《プリズマリの命令
4 《意志の力
4 《災厄招来
4 《精神の願望
1 《ぶどう弾
-呪文(37)-
2 《記憶への放逐
1 《狼狽の嵐
2 《紅蓮破
1 《赤霊破
2 《兄弟仲の終焉
2 《残響する真実
1 《仕組まれた爆薬
2 《月の大魔術師
2 《沈黙の墓石
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

回転

 

 《精神の願望》デッキ!その英名から「Desire/デザイア」と呼ばれるこのソーサリーを使ったコンボデッキが、ここにきて存在感を主張!《精神の願望》はリリースされた当初、その性能を危険視され2004年のレガシー制定時より永らく禁止カードとなっていた。しかしながら《悲嘆》や《否定の力》など、マナを使わないコンボ妨害呪文が増えたこともあって、伝説に語られるほど危険なカードではないとの判断が下される。2023年、昨年夏にこのカードの禁止は解除された。ついに4枚のデザイアを搭載したデッキが暴れる時が来た……とはいかなかった。なかなかこれといったデッキが開発されなかったのだ。

 そして1年を経た2024年の夏の終わりに、遂に個性が溢れて、そしてクールなデッキがその姿を現した。ストーム能力と相性抜群の《モンスーンの魔道士、ラル》がリリースされたのがその要因だろう。変身して[-8]能力を起動出来れば、それでコンボを決めきることもできるはずだ。

 

 ストームはそのターンに唱えられた呪文一つにつきコピーを生み出すという能力だ。デザイアはライブラリーをシャッフルしてその上からカードを追放してプレイするというランダム性の高い効果。単発では大して何も起こらないが、これがマナ加速やドローの連打からストームを稼いでプレイされた時にはとんでもないことが起こる。特にこのデザイアから2枚目以降のデザイアを捲ったりすると、ガンガンと連鎖反応が起こっていく。それこそライブラリーを全て使い切ってしまう勢いだ。

 このストームに次ぐストームを後通しするために《災厄招来》が採用されているのもクールだ。手札や墓地からマナ総量が6以下になるように呪文を唱えられる……つまりデザイアが放てる。デザイアがグルグルと動き出している時にこれが捲れて、墓地や手札のデザイアに繋げられればもう勝ったも同然。《災厄招来》は赤マナ4つ含む5マナで、《煮えたぎる歌》から唱えられる。2ターン目に2マナ土地と《水蓮の花びら》から歌→将来→デザイアと繋げて後は天に運を任せるというようなぶっ放しプレイから勝てれば……こんなクールなことはないね。ストームのゴールは《ぶどう弾》。これで20点ぶち込むのである。《災厄招来》で墓地の《ぶどう弾》おかわりなど狙えば、このハードルは思っているより低いものになる。

 

 このリストの何がクールかって、《精神の願望》とまた別ベクトルの勝利手段を備えているところ。そしてそのカードがあまりにもクールすぎる……《復讐の亜神》ッッ!これはヤバい、何年ぶりかにその姿を拝んだが、このカードは本当にクールでカッコよすぎるんだよなぁ……ため息が出るレベルだ。5/4飛行・速攻、そしてこれを唱えると墓地から同名のクリーチャーらが戦場に還ってくる。イラストもクール、名前も英名でDemigod/デミゴッドとクールすぎる。この亜神と組み合わせるのが《直観》だ。3枚のカードを探してきて、対戦相手が選んだ1枚が手札に・残り2枚が墓地に置かれる。これでデミゴッド×3と引っ張ってくれば、3体で攻撃を仕掛けるのが確定というわけだ。対戦相手のエンドに《直観》から入って、返しのターンに《煮えたぎる歌》などで加速して唱えて15点パンチ……これはロマンあふれるムーブだ。《精神の願望》で捲ったとしてもとりあえず5点分、墓地にデミゴッドが居ればもっと大きなダメージとして計算できるので、これと《ぶどう弾》の合わせ技で勝つパターンもあるだろう。

 それぞれの時代を彩ったカード達が集結し、思いもしなかったマリアージュを見せるクールなフォーマット。それがレガシー。この「デミゴッド・デザイア」のように、皆もそれぞれに思い入れがあるカードを一つのデッキに同居させて、誰も観たことがないクールなデッキを組んでみないか?

 それじゃ今週はここまで。Stay cool! Free your desires!!

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