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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロスからの引き算……白単色の世話人ミッドレンジ(スタンダード)

岩SHOW
 

 《ウラブラスクの溶鉱炉》で毎ターン速攻持ちのファイレクシアンを生成、これでライフを攻めつつ《世話人の才能》レベル1の能力を誘発させる。攻める手段がアドバンテージをもたらし、有利な状況をどんどんと強めていってひっくり返せない盤面を作り上げる……これが現スタンダードで定番となった強力な動きの一つだ。これを中軸にしたデッキについてはこちらを。

 さて、溶鉱炉と世話人を組み合わせたボロス(赤白)と対戦する機会は増えたのだが……このアーキタイプは早くも次のステップに差し掛かっている。それはこういったデッキにおけるお約束というもので、引き算の構築というやつである。引き算……これはカードや色をデッキから取り除くということ。デッキの強さが証明されてくると、今度は「ここまでやらなくても十分に戦えるんじゃないか?」という道を探求するデッキチューナーたちが現れる。無駄やオーバーキルというわけではなくとも、大技要素を減らしてデッキをよりシンプルにすることは、安定感をもたらす。その安定を追求した方が良い結果に繋がりやすいデッキもあったりするのだな。

 上記のボロスの場合は、対戦相手に押されている時には溶鉱炉が活躍しづらい。速度に重きを置いたアグロデッキが相手だと、大多数のプレイヤーは溶鉱炉を抜いてサイドボードに用意された生き残るためのカードと交換するものだ。そんな溶鉱炉を抜くマッチアップが増えるのであれば、最初から採用しないという選択肢が起き上がってくるわけだ。

 そんなわけで今回は溶鉱炉×世話人なボロスから溶鉱炉及び赤という色を引き算したデッキをご紹介。白単色になったことでもたらされた安定感、そちらがより好みだと感じるプレイヤーもいるはずだ。

 

Louis-PD - 「白単ミッドレンジ」
Magic Online Standard League 5-0 / スタンダード (2024年8月25日)[MO] [ARENA]
4 《優雅な談話室
4 《噴水港
2 《解体爆破場
16 《平地
-土地(26)-

4 《血滾りの福音者
4 《跳ねる春、ベーザ
-クリーチャー(8)-
4 《軍備放棄
4 《失せろ
3 《太陽降下
1 《巣ごもりの季節
4 《人参ケーキ
3 《忠義の徳目
4 《世話人の才能
2 《大天使エルズペス
1 《永遠の放浪者
-呪文(26)-
2 《エルズペスの強打
1 《邪悪を打ち砕く
2 《門口の断絶
3 《一時的封鎖
1 《第三の道のロラン
2 《イモデーンの徴募兵
1 《加護をもたらす戦乙女
2 《巣ごもりの季節
1 《トカシアの歓待
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 というわけでスタンダードの白単色の《世話人の才能》デッキだ。才能でアドバンテージを得て、トークンを増やし、そして最後はトークンを強化して殴り勝つために、トークンに関するカードを多数採用。溶鉱炉抜きでも、白だけで十分な数のカードを確保できるためこのリストは赤を引き算して、白単にまとめあげているという形。《人参ケーキ》などマナ効率に優れたトークン生成カードを用いて、盤面をじわじわと築き上げていく。

 溶鉱炉が抜けている枠は《血滾りの福音者》が埋めている。この福音者もトークンを最大2体生成し、しかもこれが呼ぶコウモリは飛行を持っている。クリーチャー除去を受けても損しにくい設計が嬉しく、またうっかり生き残って攻撃できた暁には、喚声能力でトークンをまとめて強化!これで自分より遅いデッキには強気に攻める。早いデッキ相手には《太陽降下》などで捌き、トークンでブロックして耐え続ける。この両方の速度感を持ったデッキがミッドレンジと分類されている。このリストはその典型だ。

 

 《世話人の才能》の登場でスポットを浴びたのが《大天使エルズペス》!いよいよ彼女が活躍する舞台が整った。もともとポテンシャルを感じるカードだったが、前スタンダード環境では同じ色同じマナ域に競合するカードがあったため、どうしても採用率は低かった。世話人でドローし、絆魂を持った兵士を増やして強化できるようになったため、以前よりも需要は高まっている。白の4マナ域の戦力として、今後様々なカードとその席を争っていくのだろう。今のところは筆頭といっても良いくらい、存在感を放っている。《永遠の放浪者》といい、白はプレインズウォーカーが強く、ミッドレンジ構築が肯定される色としてスタンダードで確固たる地位を確立していくだろう。

 

 赤を抜き去って白単色でまとめている……と言いつつ、《優雅な談話室》および各種カードが作る宝物を頼りにサイドボードの《イモデーンの徴募兵》を用いる手法を備えている。イモデーン、アグレッシブに攻めるトークンデッキでお馴染みの1枚だが、こういうミッドレンジで使っても面白い。対戦相手の脳裏にこのカードがちらついていなければ、速攻とパワー強化で一気にライフを詰めてジ・エンドという展開も。またアグロと違ってミッドレンジだと出来事モードの《兵団の訓練》で唱えることも無理なく狙えて、より多くのトークンを並べて徴募兵本体が叩き出すダメージを上昇させられる。自分より遅いデッキを相手にした時にはクリーチャー除去などを減らしてこの徴募兵などと入れ替えて勝負だ。

 引き算の構築が施された白単のトークン型ミッドレンジ。このデッキの単色ならではの安定した動きを経験した上で……さらに《ウラブラスクの溶鉱炉》を搭載したボロスをプレイするとそれはそれで足し算の魅力を感じることだろう。どちらにもそれぞれの良さがあるので、可能であれば両方プレイしてみて好みの形を見つけてみよう!

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