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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ヨーリオン・デスタク:80枚に秘めた小技(レガシー)
真夏のマジックイベント「BIG MAGIC Open Vol.13」にスタッフとして参加してきたよ。まずとてつもない台風が接近しているということで新幹線が止まり、大阪から開催地東京への移動手段が限られるところからスタート……他のスタッフらは前々日に新幹線で移動することでこの問題に対処。僕はたまたま飛行機移動にしており、さらにたまたま欠航にならない時間帯での予約だったのでそのままフライト。不安も多少はあったが、それ以上に謎のワクワク感があった。果たして無事に空港に着陸できるのか?場合によってはUターンもあり得るという状況で……寝ていたらあっという間に到着。羽田空港から出て電車に乗った途端に天気が崩れ出し、大雨に。金曜日は雨が降ったりやんだりの繰り返し。そして肝心の土日は……台風の影響もなく、晴れ!というわけでイベントは問題なく開催されたのであった。ホッと一息。
土曜日にはレガシー、日曜日にはチームモダンがそれぞれメインイベントとして設定されており、他にもサイドイベントが開催されていた。建物も新しく、羽田や品川からのアクセスも良い……台風が重ならなければもっと沢山のプレイヤーが揃っていたことだろう。それは残念だけども、それでもレガシーもチームモダンも、それぞれ400名前後のプレイヤーが集ったことは嬉しいことだった。そしてそんなプレイヤー皆が楽しそうにしていたことも心にグッときたね。さて、今回はそんなイベントより……レガシーオープンにて活躍したデッキを紹介しよう!
11 《平地》 1 《薄暗い裏通り》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《トロウケアの敷石》 4 《カラカス》 4 《不毛の大地》 4 《幽霊街》 -土地(29)- 3 《ルーンの母》 1 《ルーンの与え手》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《白蘭の幻影》 3 《溌剌の牧羊犬、フィリア》 1 《獅子の飾緒》 4 《護衛募集員》 3 《スカイクレイブの亡霊》 2 《ちらつき鬼火》 1 《カノプテック・スカラベ・スウォーム》 1 《封じ込める僧侶》 4 《魔女の結界師》 4 《孤独》 -クリーチャー(35)- |
4 《剣を鍬に》 1 《流刑への道》 4 《苛立たしいガラクタ》 4 《霊気の薬瓶》 1 《殴打頭蓋》 1 《カルドラの完成体》 2 《戦前の正装》 -呪文(17)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》(相棒) 1 《流刑への道》 1 《水の辺村の合戦》 2 《空の怒り》 1 《ヴェクの聖別者》 1 《封じ込める僧侶》 1 《獅子の飾緒》 2 《フェアリーの忌み者》 2 《墓掘りの檻》 2 《耳の痛い静寂》 1 《精神壊しの罠》 -サイドボード(15)- |
総枚数80枚オーバー、これは「ヨーリオン・デスタク」。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒に設定するにはデッキ構築における最低枚数+20枚以上のメインデッキが必要となる。通常のデッキよりもタワーのようになったカードの束は中々に存在感がある。このヨーリオンは戦場に出た時に自身の土地以外を追放し、それをターンエンドに戦場に戻す能力を持つ。各種パーマネントの誘発型能力を再利用したり、攻撃したクリーチャーをアンタップで戻して実質的に警戒持ちのように使ったり……かなりゲームに影響を及ぼすものである。そもそも本人が4/5飛行と戦闘面でもイケているので、通常よりも分厚いライブラリーを組んでこれを相棒にすることには大いに価値がある。
そしてアーキタイプ名のデスタクとは「Death & Taxes」のこと。死と税と、逃れられないものであるという意味で、これは白単色かそれに色を足したデッキが分類されるアーキタイプだ。白には相手の呪文のコストを上昇させたり呪文のプレイ回数を制限したり……そういった能力を持ったパーマネントで戦場を固め、対戦相手のパーマネントは白が得意とする追放除去などで対処する。そして《不毛の大地》や《幽霊街》などを用いて対戦相手の土地を攻めるのも特徴だ。相手を低マナ状態に縛りつけ、やりたいことができなくなっているところをクリーチャーで殴り勝つ。素での打点の低さは、《石鍛冶の神秘家》などでカバー。《孤独》などの超強力クリーチャーらを備えつつ、それらのタフネスを2以下で統一することで《護衛募集員》で探してくる……といった、サーチが戦術の基本にある。
80枚構築で60枚デッキよりも引きにくくなっているカードをこれらで探すことで問題を解決。これらのサーチクリーチャーをヨーリオンで使いまわしてアドバンテージ獲得、60枚デッキに収まり切らない1枚挿しも多数組み込める!というわけでヨーリオンとデスタクはがっちり噛み合っており、レガシーにおける白単色デッキの基本形としてすっかり定着している。
今回のフィーチャーマッチにてこのデスタクを観ていて最も驚いたのは、2024年に新たに手に入った小技。元々様々な小技がちりばめられたテクニカルデッキであるデスタク、その新たな引き出しだ。《魔女の結界師》は4マナと重めではあるがエンチャントかアーティファクトを破壊する能力を持つ。ちょっと重めにデザインされているのは、両面カードであるからだ。第2面は土地であり、しかもライフを支払えばアンタップ状態で戦場に出せる。土地の枠を4枚これに置き換えることで、より柔軟に様々なケースに対応できる構築が施されている。
そして、土地として戦場に出したこの結界師をクリーチャーに変換するというテクニックが。《ちらつき鬼火》はヨーリオン同様、自身のパーマネントを追放して出し直したり相手のクリーチャーを一時的にどかす疑似的な除去と鳴ったりするテクニカルカードのお手本のような1枚。これは土地も対象に取れるので、《魔女恵みの草地》を対象に取って追放。こうやって追放されて戻ってくるときには、両面カードは第1面で戻ってくることが決まっている。なので草地が結界師となって戦場へ。パーマネントを除去しつつクリーチャーとしても働いてくれるというわけだ。結界師は《護衛募集員》でサーチできる土地でもあり、とにかく小技が大好きなマニアの心に響く1枚だ。
無事にレガシーの大型トーナメントを開催できて、そして400名近いプレイヤーらが繰り広げる熱戦をフィーチャーマッチで見届けることができて、本当に良かったよ。こちらの準優勝の「ヨーリオン・デスタク」をはじめ、レガシーには魅力的なデッキが沢山あることも確認できた。また、秋の各種イベントが楽しみになってきちゃうな!
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