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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

無法者たちのデッキ案① セレズニア・カウンター(スタンダード)

岩SHOW

 『サンダー・ジャンクションの無法者』がやってくる。多元宇宙の悪役が集結、ワルの美学を見せつける、アメコミとか好きな人間には刺さる設定だ。彼ら彼女らが悪事を働くのは、新次元サンダー・ジャンクション。かつてのアメリカ西部開拓時代のように、故郷を追われた悪役たちがこの新天地に一攫千金成り上がりの夢を見てワルの道を突き進む……そんな素敵な設定からカードがデザインされている。

 西部劇風ということで、この次元に広がる風景は一面が砂漠だ。砂漠と言っても乾燥した台地がそびえ、サボテンがニョキニョキと茂るアメリカ風であり、これまでの背景世界で見られた砂漠とは大きく異なる。そしてこの地のサボテンはただ砂漠の風物詩として佇んでいるわけではない。人の形をして自己の意志を持ち、西部劇風衣装に身を包んで武器も手にする……非常に危険なサボテン人間、カクタスフォークが生息しているのだ。

 カクタスフォークたちは植物のタイプを持つクリーチャーとして緑や赤に割り振られている。その中でも伝説のクリーチャーは《棘を播く者、逆棘のビル》。再録能力の上陸を持ち、土地を戦場に出せばクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せられる。さらに起動型能力は多くのマナを必要とするが、全クリーチャーのカウンターを倍に!これで一気に巨大な軍団を作り上げてフィニッシュと相成るだろう。除去耐性などは何も持っていないビルだが、2マナと軽くて扱いやすく、うっかり生き延びるととんでもないことになる。侮ってはいけない雰囲気をムンムンに感じるね。

 さらに西部劇と言えば地面を転がるあの根っこの塊みたいなやつ。あれはタンブルウィードと呼ばれる。これは概念であって、特定の植物の種類を意味しているものではない。乾燥地帯に生えるヒユ科のロシアアザミをはじめとする植物は、夏の終わりに枯れて千切れて風に吹かれて転がるうちに……他の枯れ草も巻き込んで、巨大な球状の物体となる。この状態で転がり続け、その先で種をまき散らすことで植物の生息域が拡がることに貢献しているという。アメリカの荒野をモデルとするサンダー・ジャンクションにもタンブルウィードは見られ、これを身にまとったような動物まで確認されている。《気性の荒いタンブルワグ》はビルと同じくカウンターでクリーチャーを強化し、これまた同じくカウンターを倍にする能力を持つ。騎乗という新しい能力も持ち、期待が高まるブラッシュワグの新作だ。

 ビルもブラッシュワグも+1/+1カウンターを取り扱うカード、そしてサンダー・ジャンクシには他にも同カウンターをテーマとしたカードが多数見られる。これを現行スタンダードでフィーチャーしたデッキは……

MTGANonMeta - 「セレズニア・カウンター」
スタンタード (2024年3月日)[MO] [ARENA]
2《低木林地
3《剃刀境の茂み
2《草茂る農地
1《皇国の地、永岩城
1《耐え抜くもの、母聖樹
8《平地
7《
-土地(24)-

4《オリバクの随員
2《有望な信徒
4《植物の喧嘩屋
4《クウィリーオンの獣呼び
3《薄暮軍団の決闘者
3《猿人の似姿
3《天使の拳、トーレンズ
3《君主のオキネク・アハウ
2《曲芸師の一座
-クリーチャー(28)-
2《ティタニアの命令
3《打ち砕かれた尖塔、オゾリス
3《潜伏工作員、アジャニ
-呪文(8)-
AetherHub より引用)

 

 こんな感じ。エースは《植物の喧嘩屋》だ。《クウィリーオンの獣呼び》のようなカウンターを乗せられるクリーチャーとこの喧嘩屋を並べることで、モリモリムキムキと強烈なサイズのクリーチャーが複数体爆誕する。その腕力で圧倒するという、アグレッシブなデッキだ。白と緑にはこのカウンターというテーマを与えられたカードが多く見られ、それらを何も考えずに60枚集めるだけでもデッキとしてそれなりの完成度になる。というわけでマジック初心者にもわかりやすく楽しんでもらえるデッキかなと。

 カウンターを置いたり、置かれた状態で出るクリーチャーたち。これらを《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》でまとめて強化。カウンターを乗せる数が増えることで、喧嘩屋やその他の連中がとんでもないサイズに。《君主のオキネク・アハウ》でさらにカウンターを増やし……と、ちょっとオーバーキルなぐらいがちょうど良い。セレズニア(白緑)のカウンター型のアグロデッキ、これをサンダー・ジャンクションの新カードで強化してみよう!

 ビルやタンブルワグ以外のカードを確認すると……《金脈のハイドラ》!こいつはすげぇ。速攻とトランプルという攻めのデッキが求めるキーワード、そこに警戒も加わって攻防一体かつ《放浪皇》対策もバッチリ。マナを支払えなければ打点は低いが、オゾリスなどの加護があれば効率よく良い感じのサイズで走らせることができるだろう。

 この新ハイドラと組み合わせて使えと言わんばかりなデザインが《鉄道の喧嘩屋》。このサイは後続のクリーチャーのサイズを倍増させる。パワー分のカウンターを乗せることで、《植物の喧嘩屋》が誘発したりオゾリスでさらに強化されたり……計画という新能力で1ターン挟んで隙なく唱えるという動きも可能だ。4ターン目に喧嘩屋計画、5ターン目に喧嘩屋→ハイドラと動くことで8/8速攻トランプル警戒で攻撃なんて夢も……見て良いんだぜ。

 あとカウンターテーマのデッキを組むなら、今後はこのカードは絶対に見逃しちゃいけない!という1枚が再録された。《蛇皮のヴェール》!スタンダードで使用可能だった頃には、あらゆる緑系のアグロデッキに採用されていたものだ。クリーチャーにカウンターを乗せて強化しつつ、呪禁も与えることで《喉首狙い》などの対象を取る除去をシャットアウト。打ち消しのように機能するダメージ増強呪文……たったの1マナで構えられるのが最高で、これを巡る駆け引きはマジックをしている感があってヒリヒリするものだ。蛇皮、コモンと侮らずに使ってちょうだいね。

岩SHOW - 「セレズニア・カウンター(仮)」
スタンダード (2024年4月4日)[MO] [ARENA]
4《低木林地
3《剃刀境の茂み
2《草茂る農地
2《魂の洞窟
1《皇国の地、永岩城
1《耐え抜くもの、母聖樹
5《平地
5《
-土地(23)-

2《有望な信徒
4《植物の喧嘩屋
4《クウィリーオンの獣呼び
3《棘を播く者、逆棘のビル
3《薄暮軍団の決闘者
2《猿人の似姿
3《気性の荒いタンブルワグ
2《君主のオキネク・アハウ
2《鉄道の喧嘩屋
3《金脈のハイドラ
-クリーチャー(28)-
4《蛇皮のヴェール
3《打ち砕かれた尖塔、オゾリス
1《失われた十手
1《潜伏工作員、アジャニ
-呪文(9)-

 

 というわけで今回紹介した新カードを上記のリストに盛り込んで、新スタンダードの「セレズニア・カウンター」のサンプルリストを作ってみた。これが何かの参考になれば幸いだ。どのカードがどれぐらい強いかはまだ誰も知らない、この環境スタート前にこそデッキをあれこれ考えてみて欲しい。脳が活性化する最高のマジック体験、それはリリース前にこそある!

※原稿を完成させた後に《失われた十手》なる色んな意味で凄いカードが公開されたので、急遽ねじ込んだ形に。カウンターを置けるカードはなんでもウェルカムなところに、まさかのマナ加速やブロック妨害!素晴らしい!

 『サンダー・ジャンクションの無法者』には他にも新しいメカニズム、アメリカ西部のフレイバーをまとったカウンター関連のカードがズラリ。これらも一考に値すると思うので、各々でリストを妄想し、リリースの時が来たら実際にプレイして見て欲しいね。さあ、クリーチャーを強化しよう!

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