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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

「街角の料理人、ロッコ」デッキをいざ調理!(スタンダード)

岩SHOW

 自然災害や戦争による被災地にて、人々を支えるものはなんだろう。最近はこういうことを考えさせられる。人々を元気づけるもの、その中でももっともわかりやすいものは食事だ。人間は何かを食べて生きている。エネルギーを摂取してこそ困難に立ち向かえる。温かな食事をとると身も心もじんわりと回復する。人間にとって何よりも大事な食事を被災地の人々に提供するため、世界中の料理人の方々が結成した組織があるという。世界の様々な場所で、人々に美味しい料理を振舞うことでサポートしようというのだ。本当に素晴らしいことだ。彼ら彼女らは今日も世界のどこかで誰かのために、心を込めて調理をしているのだろう。

 マジックの背景世界における料理人に、ロッコというエルフがいる。ニューカペナの街の美食家たちの舌を唸らせる腕前の持ち主で、舞台座一家の社交場にて独創的な料理を提供していた。この街にも新ファイレクシアの魔の手が伸び、侵略戦争で街は崩壊した。人々が復旧に向けて動き出した中、ロッコは料理人として……かつての豪華なクラブではなく、街角で料理を提供することで街が蘇るのをサポートしているようだ。《街角の料理人、ロッコ》にてその姿を見ることができる。

 このロッコはカードとしてもすべての人々に分け隔てなく料理を提供するものとして作られている。ターン終了時に自分と対戦相手がそれぞれにライブラリーの一番上のカードを追放し、それが期限付きで唱えられるようになる。お腹が減ったら敵も味方もない、皆でご飯を食べようという寛大な姿勢だ。素晴らしいね。ただこれだと単に相手を助けるだけのカードになってしまいかねないので、ボーナスも用意されている。いずれかのプレイヤーが追放領域からカードをプレイすると、クリーチャーを1体強化した上に食物・トークンを一つ得られる。対戦相手が得をすれば、こっちも美味しい思いはさせてもらえるのだ。もちろん自分で追放したカードを自分で使って、ただただグルメを満喫しても良い。

 今回はこのロッコを取り上げたスタンダードのデッキを見つけたのでここで紹介させていただこう!

Chris L. Tran - 「ナヤ・ロッコ」
MTGアリーナ ゴールド~ミシック・ランク帯 32-18 / スタンダード (2024年3月10日)[MO] [ARENA]
4《戦場の鍛冶場
2《低木林地
4《銅線の地溝
3《剃刀境の茂み
3《日没の道
1《皇国の地、永岩城
1《反逆のるつぼ、霜剣山
1《耐え抜くもの、母聖樹
2《平地
2《
-土地(23)-

4《ひよっこ捜査員
4《内なる空の管理人
4《探索するドルイド
4《復興の領事、ピア・ナラー
2《堅いクッキー
3《街角の料理人、ロッコ
-クリーチャー(21)-
4《薄暮薔薇の聖遺
2《塔の点火
2《失せろ
1《邪悪を打ち砕く
4《実験統合機
3《忠義の徳目
-呪文(16)-
2《邪悪を打ち砕く
2《痛烈な一撃
3《祭典壊し
2《石術の連射
4《婚礼の発表
2《クイントリウス・カンド
-サイドボード(15)-
X より引用)

 

 ロッコの色に合わせてデッキは自然と白赤緑、ナヤと呼ばれるカラーリング。この色には自然とロッコの調理スタイルと噛み合うカードがある。同じセット出身の《復興の領事、ピア・ナラー》だ。復興とカード名に冠するように、ピアもまたカラデシュを被災から救うことに尽力している様子。街の復興を目指す二人は追放領域から呪文を唱えると能力が誘発するという共通点を持つ。ピアは飛行機械を生成するので、クリーチャーを強化するロッコとの相性も◎。ピアの誘発のために必要な追放領域のカードはロッコが支度してくれて、セットで使えと言わんばかりのデザインだ。

 つまりこのデッキは追放領域がメインテーマとなっている。ライブラリーからカードを追放し、それを期限付きで唱えられるようにするアクション……これは主に赤に見られるものであり、青などの普通にカードを引いて手札を蓄えるドローと呼ばれるアクションよりも衝動的な行いであることから”衝動的ドロー”と呼ばれている。衝動的ドローにはそれぞれに追放したターンの終了時までか、次のターンのそれまでかなど機嫌の違いがある。このデッキのように色々と混在させる時には注意が必要だ。

 《実験統合機》と、《探索するドルイド》の出来事《獣の探索》はそのターンの終了時までと期間が短いが、コストが軽いという利点がある。特に《獣の探索》はインスタントであるため、対戦相手のターン終了ステップに唱えることで、続く自分のターンの終了時までそれらの追放したカードを唱えることができるようになるというテクニックが存在する。これらのカードで途切れないように展開しつつ、ピアやロッコで強い盤面を作って押し切る。それがこのデッキの狙いだ。

 このデッキのサブテーマはアーティファクトだ。ロッコとピアがそれぞれアーティファクトのトークンを生成することに注目し、その特性をより活かすカードチョイスが見られる。《薄暮薔薇の聖遺》は生け贄を要求するため他のデッキではなかなか使いにくいが、このリストであればそれに困ることはないだろう。生け贄という条件さえクリアすれば軽くて優秀な追放除去だ。また生け贄を《実験統合機》にすれば衝動的ドローでさらに美味しい。

 トークンが並ぶのであれば他のデッキでも人気の《内なる空の管理人》も育てやすい。飛行機械の横並び戦術に加えて、管理人や《探索するドルイド》を育てる一点突破の戦い方もできるのがデッキを飽きさせない味のアクセントになっている。《堅いクッキー》もロッコが用意した食物を4/4にして突撃させるため、ただ料理を振舞うだけのデッキと侮っているとむしろ自分が食われる側になるだろう。

 人々のお腹と心を満たすため、ロッコのような料理人たちが今日もどこかで鍋を振るっている。いきなり大きなことは難しいかもしれないが、身近な大事な人のために料理を作って喜んでもらう、日々の疲れを労うというところから初めてみるとか、そういうのが良いかもしれないね。料理だけでなく、デッキを作ってあげるというのも素敵なプレゼントとして人の心に残るだろう。自分だけでなく誰かのためにデッキを作る、機会があればチャレンジしてみよう。きっとすごく喜んでくれるぞ。

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