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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ボロス・トークン:ボロス隆盛の号令!(スタンダード)
今までもマジックの最新セットが発売されてすぐにイベントが開催されることはあった。かつてのプロツアーは新セット発売の2週間後に開催されていたね。限られた時間で練習を重ね、環境を想定し、デッキやサイドボードを仕上げる……これはとても難しいことだ。『カルロフ邸殺人事件』はこれまでで最も困難なスケジュールをもたらしたセットかもしれない。発売週末にプロツアー予選となるモダンのトーナメントが開催され、それに並行してスタンダードなどその他のフォーマットのサイドイベントも催されたからだ。
日本ではプレイヤーズコンベンション横浜という形で超大型イベントが開催され、そこでは招待制の予選に加えて、スタンダードのオープンイベントが連日行われた。賞金制の大会が新セット発売週末に行われるとは……まだカードも揃っていないプレイヤーも多かったのではないかな。ハードスケジュールながら、「ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』Supported by 楽天ブックス」には全国のスタンダード好きが集結。海外のプレイヤーも合わさって、400名以上のプレイヤーがこのほやほやの新環境を楽しみ、激闘を繰り広げた。今回はこのトーナメントから、新カードを主役としたデッキをご紹介!
4《戦場の鍛冶場》 4《日没の道》 3《眠らずの露営》 4《ミレックス》 1《皇国の地、永岩城》 4《反逆のるつぼ、霜剣山》 4《平地》 2《山》 -土地(26)- 4《ヴォルダーレンの美食家》 4《ひよっこ捜査員》 4《毅然たる援軍》 -クリーチャー(12)- |
2《邪悪を打ち砕く》 4《上機嫌の解体》 2《トーテンタンズの歌》 2《トカシアの歓待》 4《婚礼の発表》 4《戦導者の号令》 4《忠義の徳目》 -呪文(22)- |
4《稲妻のらせん》 3《石術の連射》 3《太陽降下》 1《邪悪を打ち砕く》 4《スクレルヴの巣》 -サイドボード(15)- |
《戦導者の号令》はプレビュー時点での前評判も高く、ボロス(白赤)の復権を予感させてくれた。クリーチャーを全体強化する《栄光の頌歌》に連なる系譜のエンチャント……頌歌の英名からこの手のカードはアンセムと呼ばれる。
スタンダードではアンセム系のカードが活躍しない期間が続いていたが……この号令は他のアンセムと一線を画すものである!と期待されていたのだ。3マナで自身のクリーチャーすべてを+1/+1修整する、オーソドックスなアンセムの働き。これだけだと今のスタンダードではお呼びがかかりにくいところだが、号令はクリーチャーが戦場に出たら対戦相手に1点という、赤の直接ダメージの要素が同梱されている。すでに戦場に居るクリーチャーを強化してダメージを上昇させ、後から出てきたクリーチャーにもさらなるダメージのボーナスが付加される……これはめちゃ強!素のサイズでは小さくとも、とにかくクリーチャーを並べられれば大ダメージに繋がる。このエンチャントで殴り勝つボロスカラーのアグレッシブなデッキがスタンダードで流行する!そう考えた人は大正解。オープンでもこれを用いたデッキが躍進し、最近のスタンダードのトーナメントは雰囲気が少々異なるデッキ模様となったのだった。
今回のリストは予選ラウンド8勝2敗、中道大輔選手の「ボロス・トークン」。このリストの最もインパクト溢れる1枚を決めるなら、《トーテンタンズの歌》かな。ネズミをX体生成するソーサリーで、それらには速攻も与えられる。ネズミはブロックに参加できないため攻撃のためだけのトークンを生成する、クリーチャーを展開するというよりは使い捨てのダメージ呪文的なソーサリーである。この質より量を体現した1枚、号令を置いた状態で唱えると……ネズミの数だけ相手のライフにダメージを飛ばし、2/2速攻が複数体殴りかかる!どんな苦境も跳ね返す一撃必殺となる、おそろしいコンボだ。
デッキ内には他にも《ミレックス》《反逆のるつぼ、霜剣山》を4枚積むなど、トークンを生成することに全力な構成だ。これらのトークンは号令以外のパーツでも強化され、また単なるちっぽけなクリーチャー以上の価値をもたらされる。《忠義の徳目》などで強化されるのは勿論強力だが、《トカシアの歓待》でドローをもたらすのも魅力的だ。瞬速持ちのカードも多めなので、それらを活かして自身のターンと相手のターンでこの歓待を誘発させ、モリモリと手札を溜め込みながらトークンを並べて圧倒したい。
《ひよっこ捜査員》の加入もボロスにとっては追い風だ。パイオニアでは《スレイベンの検査官》が生成する手掛かりを餌に《上機嫌の解体》からゴブリンを3体生成するボロスが定番デッキの一つになっている。このムーブ、スタンダードでも《ヴォルダーレンの美食家》から狙えたが、ひよっこの追加で8枚体制になったことで安定感は段違いに。この動きから別のカードに繋げるデッキもオープンでは多数使用されたが、それの紹介はまた次の機会に。
トークンを強化して大ダメージに繋げる《戦導者の号令》デッキ。今のスタンダード、これらのデッキとの殴り合いを想定してデッキを組まなければ、苦境に立たされてしまうことだろう。しっかりと横並びに強い《危難の道》のようなカードを用意するか、それとも号令をかける側になるか……それは各自の好みに委ねられているッ!
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