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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
エリエット・プリズン:牢獄に庭園を(スタンダード)
週5日更新の当コラムを書くにあたって、毎日世界中のマジックのトーナメント結果をチェックしている。規模の大小にかかわらず、参加者のデッキリストを見ることはとても有意義なことだ。どういう経緯でこのデッキを構築するに至ったのか?色々と背景を想像しながら見ることで、ただぼんやりと流行りのデッキを確認するよりも楽しくなってくるものだ。今回も世界のどこかで開催されたスタンダードの大会結果より、面白そうなリストを見つけたので紹介させていただこう。
4《砕かれた聖域》 2《眠らずの城塞》 2《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 2《廃墟の地》 6《平地》 4《沼》 -土地(20)- 3《まどろむ砦番》 4《魔法の林檎のエリエット》 4《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》 -クリーチャー(11)- |
2《強迫》 2《まだ死んでいない》 4《救済の波濤》 4《望み無き悪夢》 4《骨化》 4《取り籠め》 4《石化》 4《次元の撹乱》 1《ファイレクシアの闘技場》 -呪文(29)- |
1《アクロゾズの放血者》 2《黙示録、シェオルドレッド》 2《災厄の痕跡》 2《静寂の呪い》 2《救いの手》 2《第三の道のロラン》 2《聖別》 2《危難の道》 -サイドボード(15)- |
『エルドレインの森』の重要キャラ《魔法の林檎のエリエット》を主役としたデッキだ。彼女はオーラを付けたクリーチャーの攻撃を防ぐ妨害と、自身がコントロールするオーラの数だけ対戦相手がライフを失い、こちらが同じ分だけライフを得るという攻めの能力とを併せ持っている。つまりはオーラで固めたデッキを組むとその本領を発揮できるカードというわけだ。
このリストにはオーラやそれを生成するカードが計18枚+《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》の恒例を含めれば、かなりの枚数のオーラが搭載されている。それらとエリエットで盤面をコントロールしつつ、対戦相手のライフを減らして勝利する……「エリエット・プリズン」というデッキ名がつけられていたが、まさにピッタリ。プリズンとは牢獄のことで、攻撃や呪文を唱えることを妨害し続けて対戦相手を閉じ込めるような牢獄のようなアーキタイプはこのように形容されている。
この「エリエット・プリズン」を『カルロフ邸殺人事件』の新カードを導入したものに改造してみたいなと思ったので、今回はそれにお付き合いいただきたい。何せカルロフ邸、1枚気になるオーラを見つけたのでね。
《庭園への埋設》は土地に貼り付けるオーラだ。これが戦場に出た時に、自身がコントロールしていないパーマネントを追放することができる。白らしく対象可能な範囲が広い、優秀な追放除去だ。そしてこれが貼り付けられた土地をタップしてマナを加える際には、オマケでもう1つ好きな色マナをプレゼント!緑のオーラらしく、土地を豊かにしてマナの供給量を増やすマナ加速になっている。これらの役割を果たすオーラはそれぞれ過去にカード化されてきて、一種の定番ではあった。しかし白と緑のこのエッセンスを1枚のカードに併せ持っているのは斬新で、どれほどの強さを持っているのか興味が湧いたというわけ。
エリエットならオーラであるという特性も活かせるので、上記のリストに緑をプラスした3色デッキを考えてみよう!
2《薄暗い裏通り》 2《地底の遺体安置所》 2《草萌ゆる玄関》 4《砕かれた聖域》 2《死天狗茸の林間地》 1《草茂る農地》 1《ラノワールの荒原》 1《低木林地》 2《眠らずの城塞》 1《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1《英雄の公有地》 2《平地》 2《沼》 1《森》 -土地(24)- 3《絡み架かりの見張り》 4《魔法の林檎のエリエット》 3《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》 1《新ベナリアの光、ダニサ》 2《赤歯の執政、イェナ》 -クリーチャー(13)- |
1《王のもてなし》 1《まだ死んでいない》 4《死の重み》 1《鷲掴む苦悩》 4《骨化》 4《庭園への埋設》 4《石化》 4《次元の撹乱》 -呪文(23)- |
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というわけで《庭園への埋設》と《魔法の林檎のエリエット》の組み合わせを意識した、白黒緑3色のオーラデッキのサンプルリストだ。埋設によってマナが増えるので、そのマナをしっかり使い切ってカードのポテンシャルを最大限に引き出すため……オーラ関係のアドバンテージを意識してカードを選んでみた。オーラが戦場に出るとドローできる《絡み架かりの見張り》でガンガン手札を回転させ、一気にオーラを展開してエリエットで制圧する……というのが狙いだ。
せっかく緑も採用しているなら、スタンダードで見る機会の少なかった《赤歯の執政、イェナ》も一緒に引っ張り出してあげたいなという思いもあって、彼女も採用。エンチャントをコピーする能力の持ち主で、そのコピーしたエンチャントがオーラであるならばアンタップしてもう一度能力を起動できる。埋設で増やしたマナをこれに注ぎ、埋設コピーで更にマナを増やしつつ戦場を掃除する……こんな動きができたらめちゃ強いんじゃないかなと。オーラで固めつつマナの使い道を用意する、これが埋設を主軸に扱うデッキに求められることなんじゃないか?
また、オーラ関係で目立っていなかったカードから《新ベナリアの光、ダニサ》もデッキに噛み合っていると気付いたので採用!墓地からオーラを唱えられるという能力を持っており、破壊されやすいというエンチャントの弱点をしっかりとカバー。特に序盤を支えるための確定除去として採用した《死の重み》との組み合わせが光るかなと。新しい2色土地の採用もあって、3色デッキ特有のタップイン土地が多めの構成に。2ターン目に使えるのは1マナであることが大半だと思うので、《死の重み》で最序盤のクリーチャーを除去してライフを護る。タフネスを0にして使い捨てとなり墓地に落ちたこの《死の重み》を、マナに余裕のある中盤からはダニサで使いまわし、《絡み架かりの見張り》でドローしたり、大型クリーチャーに貼り付けてエリエットで攻撃を防いだり……夢を繋げるダニサに光を見た形だ。
新セットが到来する時、どうしても新しいレアや神話レアが気になりがちだが、あるいは既存のレアに注目してみるのも良いかもしれない。エリエットやイェナのようにまだスポットライトを浴びていないカード達が、新カードの加入によって輝くタイミングかもしれない。意外なカードが活躍し得る環境最初期、君の気になるカードでデッキを組んで組んで組みまくれ!
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