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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:アスモフード~名前が長すぎる料理人と太陽の執事~(モダン)
マジックという最高にクールなゲームを味わうために、クールさを最大の基準としてマジックのデッキを紹介するこのコーナー「今週のCool Deck」。2,000回を越え、2,001歩目がこのクールデックの回だったのは曜日の関係でたまたまの偶然だったが、なんだか嬉しいね。これもまたクールな出来事、ということで今週は幸先が良い。では今回のキーカードを紹介するとしよう。
アスモラノマルディカダイスティナカルダカール……マジックでもぶっちぎりのロングネームを誇るキャラクターだ。いや、誰やねん!となった方。彼女の初登場は実はめちゃくちゃ古く、歴史あるキャラクターなのだ。
マジック最初の基本セットに収録された《Granite Gargoyle》。このカードのフレイバーテキストには「地獄料理書」と物々しい著作名と共に、悪ふざけのように長い著者名としてアスモラノマルディカダイスティナカルダカールの名が書かれていた……マジックの背景世界がこのカードで1枚一気に広がったわけである。以降も様々なカードのフレイバーにてクリーチャーの美味しさや調理法について解説しており、マジックを題材にした小説短編集では実際にどのような料理を手掛けたのか、その活躍を拝むことができる。
そんなクールなキャラクターが《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》(以下アスモー)としてカード化。よくもまあこのフルネームをカード名欄にぶちこんだものだ。そして彼女の著書《地獄料理書》もセットでカード化。アスモーはマナコストを持たず、自分のターン中に手札を捨てたという条件を満たしていれば定められたコストで唱えられるという変則的なクリーチャーだ。戦場に出れば《地獄料理書》を手札に加えられる。この料理書は手札を捨てることで食物を生成するため、アスモーを唱えることを助ける……と、これら2枚はセットでどちらからでももう片方に繋げられるというクールなデザインが施されている。
これら以外にも手札を捨てることとシナジー(相互作用)を形成するカードをまとめたデッキがモダンで一部の愛好家の支持を集めているのだが……「アスモフード」と呼ばれるそのアーキタイプに、今新しいクールな風が吹いている!
3《血染めのぬかるみ》 3《乾燥台地》 1《血の墓所》 1《踏み鳴らされる地》 1《血に染まりし城砦、真火》 1《反逆のるつぼ、霜剣山》 4《ウルザの物語》 4《山》 -土地(18)- 4《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》 4《ドラゴンの怒りの媒介者》 4《敏捷なこそ泥、ラガバン》 4《太陽の執事長、インティ》 4《楕円競走の無謀者》 4《通りの悪霊》 -クリーチャー(24)- |
4《稲妻》 4《感電破》 4《ミシュラのガラクタ》 1《影槍》 1《バネ葉の太鼓》 4《地獄料理書》 -呪文(18)- |
2《高山の月》 3《機能不全ダニ》 2《真髄の針》 2《黄鉄の呪文爆弾》 3《邪悪な熱気》 2《未認可霊柩車》 1《魂標ランタン》 -サイドボード(15)- |
今回のクールデックは……モダンの「赤単アスモフード」!見た目の時点でもうクールではないか。ほぼ赤単のデッキではあるが、キーカードの一つは黒の《楕円競走の無謀者》。アーティファクトが戦場に出ると、墓地にあるこれを手札に戻せるというニッチな能力の持ち主。これを《地獄料理書》で捨てて食物を生成し、無謀者をすかさず手札に戻して……と、リソース(資源)を失うことなくむしろ増やしていける。《地獄料理書》が2枚以上並ぶとそれらを連続して起動することが可能で、食物を大量生産してアスモルの能力で6点ダメージをばら撒き、対戦相手のクリーチャーをまとめて腹痛地獄へと引きずり込める!こんな「唱えられることがないのに活躍するカード」が入っているデッキってクールだよな。
そしてこの無謀者の何がクールかって……理想的なゲーム展開であれば戦場に出ることなく勝利に貢献するカードが、グダグダの展開に陥った際には戦場に出てきて戦闘に加わりだす、その瞬間にある!1枚挿しの《血の墓所》だったり《バネ葉の太鼓》や宝物トークンを使って黒マナを加え、唱えられる無謀者……本来の仕事をしようがしまいが、どう転んでもクールなカード、こりゃちょっとズルいぜ。
このアスモフード界隈がこの2023~2024の冬に湧いているのは……《太陽の執事長、インティ》が加わったことによる。《地獄料理書》で手札を捨てまくるこのデッキ、インティがそこに並ぶと……手札を捨てて食物を生成し、そして捨てたことでインティが誘発し、ライブラリートップを追放してそれが唱えられるようになる……こりゃヤバい。先ほど、何のリソースも失わずに動く料理書×無謀者の組み合わせに感嘆していたが、さらにインティまでいけばもう唱えられる呪文もゴリゴリと増えて……こりゃドカ食いしすぎてヤバいぞ、マジック的血糖値がブチ上ってしまう。このデッキにリソース勝負で勝てるデッキはそうそう多くない、クールすぎるほどの手数で胃袋が破裂寸前、あとはもう気絶したように眠りにつくだけだ。料理書以外には《通りの悪霊》を起動したり、そもそもインティ自身能力でクリーチャーが攻撃した際にも手札を捨てられるので、これでモリモリとライブラリーを掘ってアスモルを見つけて料理書まで繋げて……と、数珠つなぎが止まらないッッ。いろんな角度からデッキの本領が発揮できるようになって、本当にデッキとしての完成度が大幅アップしたというわけだな。
食物及び手札を捨てるシナジーとは直接的にかかわらない部分も、モダン定番の強力カードで固められている。濃いシナジーはないとはいえ、《敏捷なこそ泥、ラガバン》で宝物を出して無謀者を回収したり、《ウルザの物語》の生成する構築物を食物でサイズアップさせたり……細かい噛み合いはデッキ内に無数に存在している。プレイしていてワクワクする要素が多く、それでいてしっかりと強い。クールなデッキの条件を完全に満たしている逸品。今が旬というところで、オススメしておこう。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! If you smell what Asmor is cookin'!
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