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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のDark(Cool) Deck:闇に染まりし不死鳥(パイオニア)

岩SHOW

 今週もやってきました、デッキにはクールさが必要だ!クールこそマジックの最重要項目!そんな姿勢でクールなデッキを紹介している「今週のCool D……

(辺りを闇が覆う……)


 Cool?もっと必要なものがあるだろう?闇だ、ダークだ、Dark Deckだ!今週は闇に見初められ、闇の力に染まった、闇の世界に住まいしダークなデッキを紹介させてもらおう。「今週のDark Deck」のはじまりであるッ!そもそもダークデッキとは?それは本来黒を含まないデッキに、黒を足したものを意味する。暗黒を司る黒の力……他の色がこれを欲するというわけだ。何者も闇の魅力には抗えないということだな、カーッカッカッカ。黒を足すには以下のような理由が考えられる。

  • クリーチャー除去が苦手なデッキが《恐怖》のような黒除去を足す
  • コンボなどと戦うのが苦手なデッキが《強迫》などの手札破壊を足す
  • 暗黒の儀式》のようなマナ加速や《ネクロポーテンス》などのアドバンテージ源などでコンボを強化する
  • 特定のデッキに弱い相手が《非業の死》《闇の戦慄》などの黒いサイドボードを用いる

 フフフ、まったく闇の力を頼らねばならないとは……なんともかわいいものだ。黒は望む者がいるなら拒まない、全て影と闇に飲み込むのが流儀だ。

 ダーク化したデッキの実例を教えて差し上げよう。かつて、20年以上前のスタンダード。そこでは「ファイアーズ」が隆盛を極めていた。《ヤヴィマヤの火》をエンジンとしたデッキで、これでクリーチャーに速攻を与えて激しく攻撃していくアグレッシブ過ぎるデッキだ。《ブラストダーム》のような消費期限が設けられている面々に速攻を与えてやることで、通常より1回多く攻撃できるというのは革命的だったな。

 「ファイアーズ」が流行れば流行るほど、プレイヤー達は同型との対戦において差をつけるための力を求めた。そう、闇の力を……。メインのクリーチャーの一つに《魂売り》を採用。圧倒的サイズと再生により、赤緑の純真無垢なファイアーズでこれを除去するのは至難の業。戦闘を重ねれば重ねるほど強化され、対戦相手の魂を貪る魔獣の誕生だ。サイドボードには緑のクリーチャーを破壊する《殺戮》を備えて狙い撃ち。《雷景学院の戦闘魔道士》により黒特有の手札破壊戦術も導入。そうやって闇に染まったデッキ「ダーク・ファイアーズ」はビジュアルのカリスマ度が上昇、本家「ファイアーズ」よりもこっちの方が好きという闇の支持者も現れたものだ。

 そして今宵も、新たに闇へと堕ちたデッキがひとつ……。

Ha Pham - 「ダーク・フェニックス」
F2F Tour Championship(カナダ地域チャンピオンシップ)優勝 / パイオニア (2023年11月25日)[MO] [ARENA]
4 《湿った墓
2 《蒸気孔
4 《闇滑りの岸
1 《難破船の湿地
3 《清水の小道
1 《天上都市、大田原
1 《ストーム・ジャイアントの聖堂
1 《目玉の暴君の住処
1 《
1 《
-土地(19)-

4 《帳簿裂き
4 《錠前破りのいたずら屋
4 《弧光のフェニックス
2 《黙示録、シェオルドレッド
-クリーチャー(14)-
4 《考慮
3 《選択
3 《手練
4 《宝船の巡航
4 《致命的な一押し
4 《苦々しい勝利
4 《思考囲い
1 《塵へのしがみつき
-呪文(27)-
2 《闇の裏切り
1 《一巻の終わり
1 《煤の儀式
1 《絶滅の契機
2 《軽蔑的な一撃
1 《呪文貫き
1 《方程式の改変
1 《神秘の論争
2 《真っ白
1 《ナーセットの逆転
2 《崇高な工匠、サヒーリ
-サイドボード(15)-
Melee より引用、12月4日付の禁止制限告知前のリストになります)

 

 こちらはパイオニアの《弧光のフェニックス》デッキだ。大抵のフェニックスデッキはイゼット(青赤)2色にまとめられているが、これは赤がフェニックスのみに抑えられ、それまで赤が枠を担っていた部分を黒に置き換えている。闇に飲まれよったな、フハハハ。

 《考慮》などの軽量ドローかつ墓地にカードを送るインスタントやソーサリーを用いて、フェニックスを墓地に落としながら1ターンに3回のインスタントorソーサリーという条件をクリアし、3/2飛行・速攻をマナを払わずに複数体蘇らせてラッシュをかける。アグレッシブなコンボ要素を備えたデッキ。イゼットカラーなら《稲妻の斧》などを使うわけだが……

 「ダーク・フェニックス」は《苦々しい勝利》をメイン除去としている。2マナとマナ総量は斧よりも上がったとはいえ、ダメージ除去ではなく破壊でより確実に仕留める。黒にはぬかりがないからな……そしてプレインズウォーカーも破壊できるということでコントロール系相手にも無駄にはならん。そしてこれは追加コストとしてライフの支払いか手札を捨てることを要求する。問題はない、フェニックスを捨ててやれば良いのだ。重い追加コストのようで、工夫一つで利点になる。闇の勢力のものは悪魔のように知恵を働かせてカードを活かすべし。

 ドロー呪文を多数取っているのであれば《黙示録、シェオルドレッド》を使わない手はない。ライフを回復し、そして失わせる。これぞ闇の力の権化。マジックにおける最も楽しい瞬間、カードを引くというアクションを苦痛で顔が歪む時間に変えてやるのだ……これ以上の愉悦はあるまい。フェニックスに対して墓地対策を用いてくる相手には《帳簿裂き》とシェオルドレッドらで戦うという別の勝ち筋でねじ伏せてやるのだ。このリスト、カナダの地域チャンピオンシップで見事に優勝して世界選手権への切符を獲得している……ダークサイドの住人がワールドの舞台に立つ。ククク……


(闇が晴れ、爽やかな青空が拡がる)

 ……何があったのか、記憶がない。ただデッキはもう十分に紹介したような気がするな。不思議とクールを求める感情は満たされている……こんな回があっても良いだろう。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! And stay in the dark!!

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