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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ラクドス逆襲の狼煙!新顔クリーチャーで力押し(スタンダード)

岩SHOW

 前回はプレイヤーズコンベンション愛知2023より、スタンダードオープンにて上位に入賞したアゾリウス(白青)カラーのデッキをご紹介。すっかりアゾリウスがスタンダードの顔になったようにも感じたが……他のカラーリングだってこれを黙って見ているわけじゃない。トーナメント参加者の全デッキリストを見れば、惜しくも決勝ラウンド進出は逃したものの新環境のスタンダードで活躍が期待できそうなデッキ達がズラリ。たとえば……2023年のスタンダードを象徴するカラーリング、ラクドス。

回転

 クリーチャー除去と手札破壊に長けた黒。同じくダメージによる除去と手札の入れ替えや宝物生成などのスムーズな展開のサポートの赤。この2色がタッグを組んだラクドスカラーは、まさしくスタンダードの王者として君臨していた。この2色にパワーカードが集中していたのも大きい。カード云々ではなくマジックそのものと相性が良いとまで評された《鏡割りの寓話》、そして対戦相手のパーマネントを根絶やしにする《絶望招来》。これらが使えた頃はラクドスの天下だった。

 この2大巨塔がスタンダードで使用できなくなってからは、ラクドスというカラーリングは減少傾向に。依然として《黙示録、シェオルドレッド》や《ヴェールのリリアナ》を擁する黒を軸に、赤ではなく青や緑と組ませたデッキがスタンダードの主流となった。しかしこれでラクドスが終わったなどということはなく、『イクサラン:失われし洞窟』にて得たカードで、新たなラクドスが復活の狼煙を上げている!

TKY - 「ラクドス・ミッドレンジ」
スタンダードオープン Supported by 楽天ブックス 21位 / スタンダード (2023年11月25日)[MO] [ARENA]
4 《黒割れの崖
4 《憑依された峰
4 《硫黄泉
3 《不穏な火道
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
4 《
4 《
-土地(25)-

4 《大洞窟のコウモリ
4 《税血の収穫者
1 《しつこい負け犬
4 《分派の説教者
4 《地質鑑定士
2 《ヨーグモスの法務官、ギックス
3 《黙示録、シェオルドレッド
2 《骨集めのドラコサウルス
-クリーチャー(24)-
4 《喉首狙い
2 《切り崩し
1 《冥府の掌握
1 《執念の徳目
3 《ヴェールのリリアナ
-呪文(11)-
3 《強迫
2 《切り崩し
2 《苦痛ある選定
1 《冥府の掌握
2 《兄弟仲の終焉
2 《未認可霊柩車
1 《ファイレクシアの闘技場
1 《最深の裏切り、アクロゾズ
1 《不笑のソリン
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 というわけでスタンダードオープン21位の「ラクドス・ミッドレンジ」を紹介させていただこう。ミッドレンジ、即ち中速デッキ。速いデッキ相手には除去でさばいてコントロールのように受け切り、遅いデッキ相手には自分からクリーチャーでラッシュをかけて攻め落とす。ゲームプランが柔軟なのがミッドレンジの強みだ。クリーチャー陣を見れば2マナから5マナまで様々なものが採用されており、多角的な戦い方ができることが伝わってくる。4マナ域の《黙示録、シェオルドレッド》のライフ喪失&回復がハマった時の強さはイクサラン環境でも相も変わらず。

 そして5マナ域には《骨集めのドラコサウルス》、これまたアップキープを迎えるたびにとんでもないものを提供してくれる激ヤバなフィニッシャーだ。5/5飛行・先制攻撃というハイスペックぶりに、3/1の恐竜を生成したり2枚分のアドバンテージをもたらしたり……シェオルドレッドとドラコサウルスに共通するのは除去耐性のなさ。《喉首狙い》や《邪悪を打ち砕く》などで簡単に落ちてしまう。それはそれで弱点ではあるのだが……そうも毎回必ず除去が飛んでくるわけじゃない。他のクリーチャーに除去を使わせた後に出てくれば、うっかり生き残ってゲームエンドとなることもザラだ。実際にプレイしてみると、ドラコサウルスが案外対処されないことも実感できるはず。

 4マナ以上のクリーチャーを活躍させるには何が重要か?それはそれら以前に展開される3マナ以下のクリーチャーも強いものであるということ。それらに除去や打ち消しを使わせてこそ、後続が生きて輝くというもの。その点《分派の説教者》はうってつけ。3マナでトークン生成とドローの両方を行える、強力な誘発型能力を持つ。ライフが対戦相手と同じか、相手の方が上回っているなら絆魂持ちのトークンを。対戦相手と同じか、相手の方が下なのであればドローして1点のライフを失う。つまりこれ、対戦相手とライフが同じであれば両方誘発する。これが決まるとかなり美味しい。さながら《婚礼の発表》のように機能させられるわけで……これを対戦相手が放置することはないだろう。接死持ちなので相討ち上等で殴るもよし、立たせてブロックに回すもよしだ。

 除去の的になってくれれば上述の後続が大暴れ、とにかく何かしらで対処できなければ勝負を決めてしまうクリーチャーで固めたデッキは、文句なく強い!これぞシンプルにしてマジックの真理だ。

 説教者のような強い3マナ域がいると《地質鑑定士》の発見も期待値が高くなる。戦場に出れば発見3、この能力から説教者や《ヴェールのリリアナ》《喉首狙い》など盤面に変化を与える呪文を捲る光景は、かつての《血編み髪のエルフ》を思い出させる。サイド後は《兄弟仲の終焉》を捲って大逆転を演出したり、《ファイレクシアの闘技場》を叩きつけて物量勝負に持ち込んだり……このカードには夢があって実に良いね。とりあえず何が公開されても損することはないので、上手くこの鑑定士でひっかきまわしたいところだね。

 オープンのトーナメント結果だけを見ればアゾリウスの時代が始まったように感じるが、他のデッキも指をくわえて眺めているわけではない。虎視眈々とスタンダードの主役の座を狙うデッキ達が、今後続々と登場してくることだろう。環境が終わりを迎える時、どのカラーリングがスタンダードの顔となっているか?その答えはまだまだ誰にもわからない!

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