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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アゾリウス大躍進!イクサラン環境は青いカードで出航だ!(スタンダード)
行ってきたぞ~プレイヤーズコンベンション愛知2023!愛知県常滑市、大阪からは2時間くらいで辿り着ける会場。程よい距離感、ちょいとした旅。復活したマジックの祭典として開催されたプレイヤーズコンベンション。1年前の第1回の会場に、このイベントが帰ってきた。1年ぶりの常滑……寒い!11月末の急な冷え込み、そして空港島ゆえの海からの強風!寒かったなぁ。でも会場は……めちゃくちゃホット!皆の醸し出す熱気で、冬も吹っ飛んだって!とても楽しい瞬間をありがとう、全ての人に感謝を。
今回も僕はスタッフとして会場へ。ステージイベントやアジアレガシー選手権、そしてスタンダードオープンといったトーナメントに関わらせていただいた。今回はそのスタンダードオープンよりデッキを紹介させていただこう。こういうイベントを生で拝見するのは、本当にデッキマニア冥利に尽きる。特に『イクサラン:失われし洞窟』発売から一週間というスパンで開催された競技イベントだ。一体どんなデッキが活躍するのか?かなり注目していたのだ。
肝心のデッキを紹介する前に……今年2023年、スタンダードで活躍していたカラーリングというとどんなイメージがあるだろうか?年始からしばらくの間はラクドス(黒赤)がこのフォーマットをまさしく支配していた。赤にも黒にもパワーカードが多く、特に黒の印象はかなり強い。さらには4色、5色も当たり前の環境だった。各自で「今年の色はこれ!」という意見があることだろう。セットごとの印象で言えば『エルドレインの森』はゴルガリ(黒緑)の躍進というイメージが強く残っている。ではイクサランはどうか?環境最初期、300名を超える大型トーナメントの結果を見ると……アゾリウス(白青)が大躍進!
2 《平地》 2 《島》 4 《ミレックス》 4 《不穏な投錨地》 1 《天上都市、大田原》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《アダーカー荒原》 4 《さびれた浜》 4 《金属海の沿岸》 -土地(26)- 4 《遠眼鏡のセイレーン》 3 《敬虔な新米、デニック》 2 《内なる空の管理人》 4 《ティシャーナの潮縛り》 -クリーチャー(13)- |
4 《かき消し》 4 《地底のスクーナー船》 4 《忠義の徳目》 4 《婚礼の発表》 3 《放浪皇》 2 《邪悪を打ち砕く》 -呪文(21)- |
1 《痛烈な一撃》 2 《ゴバカーンへの侵攻》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 2 《失せろ》 2 《エルズペスの強打》 2 《太陽降下》 2 《トカシアの歓待》 -サイドボード(15)- |
初代イクサランブロックより再録能力である探検。今回は青がこれを扱うカラーになっており、そのテーマを取り入れたスタンダードのデッキがトップ8に3名入賞した。フィーチャーマッチを観ていた身としてもアゾリウスの大会だったなという感想がまず出てくるね。
オンラインでのリリースと同時に評価が高まっていった《地底のスクーナー船》。これが新たなアゾリウスデッキのメインウェポンとなる。機体というアーティファクトは、搭乗能力を起動してクリーチャー化させることではじめて戦闘に参加できる。スクーナー船は攻撃時にこの搭乗しているクリーチャーを探検させられる。探検はライブラリーの上を公開し、土地なら手札に加える・それ以外ならクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せてそのカードをそのままにするか墓地に置くかを選ぶ。一種のドロー操作であり、土地が引けない事故を回避できる素晴らしい能力だ。これを搭乗したクリーチャーが行うということは、手札が増えるかそのクリーチャーが強化されるかのどちらかが起こるということ。搭乗コストは1と軽く、パワー1あれば起動できる=どんなクリーチャーでもこの船に乗り込める。2ターン目にスクーナー船を出せれば、3ターン目には高確率で攻撃できるのだ。
パワー1のクリーチャーと言えば船と共にやってきた《遠眼鏡のセイレーン》はまさしく乗組員に適役で、1マナ1/1飛行という軽さと回避能力を併せ持ったスペックは、探検で強化してやる甲斐がある。地図・トークンも生成して自力で探検したり、あるいはスクーナーを探検したサイズアップということもできる。この青の軽量戦闘員を得たことで、青と白の2色デッキでも十分な打点を弾き出すことが可能となったのだ。
スタンダードの既存の白いエンチャントはスクーナーと相性も◎。《婚礼の発表》は人間・トークン生成で乗組員を絶えず補充。探検でトップを確認し、それを落とすか残すかで発表の能力でドローするカードも調整できる。《忠義の徳目》も騎士・トークンを生成してこれを探検させて育てれば、警戒持ちでスクーナーに乗らずとも戦力としてカウントできる。徳目自身を出せば、搭乗したクリーチャーとスクーナーとをまとめて強化しながらアンタップできるというのも最高だ。フィーチャーでもこれで途轍もないサイズの船と搭乗者が盤面を支配している光景が繰り広げられたものだ。
上記のリストはミッドレンジ、中速デッキと呼べる構成だ。トップ8に残った他のアゾリウスには。より多くの低コストクリーチャーを採用した、テンポ重視のアグレッシブな構成のものも見られた。
6 《島》 5 《平地》 1 《天上都市、大田原》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《金属海の沿岸》 4 《アダーカー荒原》 4 《不穏な投錨地》 -土地(25)- 4 《遠眼鏡のセイレーン》 3 《フェアリーの黒幕》 4 《ティシャーナの潮縛り》 4 《エラントとジアーダ》 3 《人狐のボディガード》 2 《鉱夫の導鳥》 1 《聖戦士の奇襲兵》 -クリーチャー(21)- |
4 《かき消し》 4 《地底のスクーナー船》 4 《放浪皇》 2 《忠義の徳目》 -呪文(14)- |
2 《ゴバカーンへの侵攻》 2 《邪悪を打ち砕く》 3 《エルズペスの強打》 2 《否認》 1 《第三の道のロラン》 1 《聖戦士の奇襲兵》 3 《敬虔な新米、デニック》 1 《人狐のボディガード》 -サイドボード(15)- |
《エラントとジアーダ》を採用し、瞬速を重要視したリストだ。《エラントとジアーダ》でライブラリートップからそれらのカードを唱えるという形でアドバンテージを獲得し、対戦相手を翻弄する。スクーナーで探検することでトップを調整することで《エラントとジアーダ》はその魅力を増すってわけだ。《人狐のボディガード》《放浪皇》と対戦相手のクリーチャーに触れる手段も瞬速持ちでカバーしてあり、相手の構成を受け流しながら自分の戦場を強くしていく……これぞアゾリウスというテクニカルな動きがたまらない。
先のリストもそうだったが、アゾリウスが得た最もテクニカルなカードは何といっても《ティシャーナの潮縛り》!このマーフォークは……すごい。語彙を失う超絶テクニシャンだ。起動型および誘発型の能力を打ち消す。そして能力を打ち消されたパーマネントは、その能力をすべて失ってしまう。フィーチャーで印象的だったのは《策謀の予見者、ラフィーン》の謀議を打ち消し、この厄介極まるスフィンクスが完全に無力化された瞬間だ。他にも《黙示録、シェオルドレッド》だったり《放浪皇》だったり、打ち消して無力化してやる対象に困ることはない。《眠らずの小屋》のようなクリーチャー化する土地は攻撃すると誘発する能力を持っている。これを打ち消してやれば、ターン終了時に土地に戻ったそれは全ての能力を失っている。マナすら出せないどうしようもない存在に!このティシャーナで相手のスクーナーを沈黙させたりと、とにかくこのカードを強く使うことこそがアゾリウスの勝利への道であるなと、オープンを通じてそう感じたね。
青の強力カードの追加により、全く新しい形のアゾリウスが隆盛。トップ8でも存在感を放ち、イクサラン環境のスタンダード=アゾリウスというイメージが色濃いものになった。この勢いがそのまま続くのか、別のカラーリングが立ち上がってくるかは……これからじっくりスタンダーをプレイしながら、拝見していこうじゃないか。
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