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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラフィーンのアップデート:確立されたデッキに、さらなるゲーム体験を(スタンダード)
『イクサラン:失われた洞窟』リリース、それはスタンダードの新環境の開始の合図。『エルドレインの森』によりスタンダードが盛り上がって、僅か2ヶ月でもう次の刺激が投入された。そしてこのセットは……ド派手なところからシブいところもカバーする、超刺激!何だこのセットは?日を重ねるにつれ引き出しが一つ一つ開けられ、セットの実力が判明していく様は、まさしく洞窟探検だ。
そんな新カードに沸くスタンダードではあるが、毎度おなじみのお約束も。新カードを採用したデッキは魅力的だが、単に勝つなら前環境のデッキをそのまま用いた方が手っ取り早い、ということ。これは当然のことである。デッキを練り上げるのにかけた月日が違うのだ。前環境でランク戦や競技イベントの数々を経て、最適な形に研ぎ澄まされた珠玉のデッキリスト。新カードを実験的に採用したデッキ相手に、そうそう遅れを取ることはないのである。なので、新環境の開幕直後、純粋に勝ちたい・戦果を挙げたいというのであれば、既存のデッキをそのまま使用するのは一つのアプローチとして確立されている。一つのデッキをを好んで、じっくり使い込んで延々とプレイしていくスタイルのプレイヤーは特にこの傾向にあるね。実際に発売週のイベントで優勝したのは前環境のデッキそのまんま、なんてのはよく目にすることだ。ここしばらくのスタンダードではエスパー(白青黒)カラーのミッドレンジなんかはその傾向が強い。
《策謀の予見者、ラフィーン》は初登場時からずっと一線級、これを中心に据えたデッキは1年半以上の期間、高い使用率を誇り続けている。本人が3マナにしては高タフネス、護法で除去耐性アリ、飛行持ちと高水準のスペック。そして自他問わず攻撃クリーチャーを強化できる謀議能力。数値が大きければ大きいほどクリーチャーのサイズが上がり、また手札も入れ替わるので様々な状況に対処可能となる……マジックプレイヤーがクリーチャーに求めるもの。そのいくつかがラフィーンにはある。
謀議はクリーチャーが並んでいればいるほど強い。《婚礼の発表》と《忠義の徳目》とがその強みを大いに後押しする。徳目と《放浪皇》などもそうだが、トークン戦術にプラスして、瞬速持ちとインスタントに強力なものが多く見られるエスパー・カラー。この色の組み合わせの持ち味を活かして、対戦相手が何をしてくるか様子を見てから動く、という後だしじゃんけんが可能なデッキ。《かき消し》などインスタント・タイミングで動いて裏目を極力抑えれば、そりゃ強い。マジック上級者が好むスタイルということもあって高いシェアを獲得している。
MTGアリーナにてイクサランがリリースされた直後、ランク戦には新カードを取り込んだデッキよりも従来のラフィーン系デッキが多く分布していた。代り映えがしないのは事実がだが、やっぱり土台がしっかりしている分、強い。これらと勝負できなければならないという新デッキに課せられたハードル、それはそれで乗り越えていくのが楽しい作業だ。
そして1日、1日と確実に時が進む中で、ラフィーン側にも新カードを採用したリストが見られるようになってきた。元のデッキが強いからこそ、アレンジして新ゲーム体験を盛り込む余裕もあるってことだ。あとは従来のデッキ同士での対戦に差をつけるのであれば、新戦力で戦い方を変えるということも重要なのは論じるまでもないだろう。では、そんなイクサラン勢を招き入れて変化しつつあるラフィーン型のリストを見てみよう。
3 《ラフィーンの塔》 1 《アダーカー荒原》 2 《地底の大河》 1 《コイロスの洞窟》 2 《金属海の沿岸》 4 《闇滑りの岸》 2 《さびれた浜》 4 《砕かれた聖域》 1 《不穏な投錨地》 2 《英雄の公有地》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《平地》 -土地(26)- 4 《大洞窟のコウモリ》 2 《敬虔な新米、デニック》 2 《フェアリーの黒幕》 4 《策謀の予見者、ラフィーン》 1 《下水王、駆け抜け侯》 2 《復活したアーテイ》 -クリーチャー(15)- |
2 《切り崩し》 2 《喉首狙い》 1 《失せろ》 2 《かき消し》 4 《婚礼の発表》 4 《忠義の徳目》 2 《地底のスクーナー船》 2 《放浪皇》 -呪文(19)- |
3 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 2 《強迫》 1 《痛烈な一撃》 1 《苦痛ある選定》 1 《切り崩し》 1 《危難の道》 2 《邪悪を打ち砕く》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《放浪皇》 -サイドボード(15)- |
このエスパーに採用された新カード……最も目立つのは4枚投入された《大洞窟のコウモリ》!このコウモリ、初代『イクサラン』の《帆凧の掠め盗り》を思い出させる。黒に時折現れる、一時的な手札追放クリーチャーだ。これが戦場に居る限り、という条件付きではあるが対戦相手の手札を1枚追放できる。土地以外なら何でもOKという大盤振る舞いっぷり、これはなかなか強力!タフネス1とあらゆるダメージで死亡する虚弱なボディではあるので、追放してしまったからと言って過信は禁物。しかしながらこれに除去を使わせたり、対戦相手が次のターンに本来やりたかったと思っていた行動を阻害し、時間稼ぎをするだけでもゲームに与える影響は大きい。
また1/1とはいえ飛行に加えて絆魂を持っているのは見逃せない。ラフィーンデッキはクリーチャーの強化が容易だ。ラフィーンの謀議を始め、《婚礼の祭典》の常在型能力、《放浪皇》や《忠義の徳目》の乗せる+1/+1カウンター……それらでサイズアップしてやれば、攻撃する度にこちらと相手のライフの差がどんどん開いていく。アグレッシブなデッキとの殴り合い上等、ラフィーンのお供を長く務める《敬虔な新米、デニック》に並んで、新たな2マナ域として良い仕事をこなすことが期待されている。
2マナ域と言えば《地底のスクーナー船》も要注目。この機体、まず搭乗コストが安い!パワー1でクリーチャー化させられるのはなかなか他にないね。クリーチャー化すれば3/4と攻防両方任せられるナイスサイズ。そして攻撃した際には搭乗したクリーチャーが探検する。土地が捲れれば手札が増え、単に土地としてだけでなくラフィーンで入れ替えるためのリソースが手に入って良し。《敬虔な新米、デニック》のような墓地に落としても利用可能なカードが捲れたら、落とすことでむしろ得するので良し。乗り込んだクリーチャーのサイズも上がる可能性があり、是非ともコウモリを乗せたいところ。あるいは2ターン目スクーナー船→3ターン目ラフィーンから登場して攻撃……このブン回りに耐えられるデッキ、そうそうないぞ。
他にも《失せろ》や《不穏な投錨地》といった細かなパーツの獲得で、これまで出来なかった技が増えているラフィーン型のエスパー。以前はスタンダードでこのアーキタイプをプレイしていたよという方も、ちょこっと新戦力を加えながらまたラフィーンの強さを実感してみるというのはどうかな?あるいは従来のラフィーンで満足していたプレイヤーも、1・2枚からでも新カードを投入して感触を確かめてみることを強くお勧めしたい。完成度が既に高いデッキを、新環境にフィットさせる。いざ、アップデート!
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