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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
古のものデッキの探究!落魄グリクシス(スタンダード)
『イクサラン:失われた洞窟』では洞窟の深き果てに潜む神々がカード化されている。全部で6種、その中でもアクロゾズは他の単色の神のようなオヘル・○○という名称ではなく、浮いた存在となっている。彼はもともと神ではなく、オヘルを冠する現在の神々が誕生したその時、最後の一体を捕食し、その神としての力を吸収して自らのものにしてしまった。とんでもなく貪欲であれば、命に限りのある者でも神になるチャンスを掴むことができるということか。そしてこのエピソードはこれで終わらない。
この時に捕食されて力を奪われ、神になりそこねた者。それこそが本セット6枚目の神・クリーチャー、《古のもの》であるという。タイプとして神に分類されてはいるが、明らかに他5体の神とデザインの方向性が異なり、なんとも不気味な存在に仕上がっている。神としての力を全て有していないため、攻撃にもブロックにも参加できない状態になってしまうデメリット持ちだ。墓地に8枚以上のパーマネントが落ちていればこのデメリットは回避できる。つまりは少なくとも8枚の墓地が必要であるため、これを運用できるデッキは限られてくる。構築の時点で相当意識しなければならない。
しかし……そんなハードルを超えたくなる魅力が、この悲しき神にはある!なんせ2マナ8/8だ。2マナ8/8!とんでもねぇ。圧倒的なマナ効率は、なりそこねといえど神聖な存在だけのことはある。イラストでもこれを崇める人が描かれているが、ハートを持っていかれた《古のもの》ファンは早くも生まれているのではないかな。では、果たしてこの神を主役に据えたデッキとはどのようなものになるのか?なかなかの難題に見えるが、早速形にしたリストが登場!
2 《ザンダーの居室》 4 《闇滑りの岸》 4 《黒割れの崖》 2 《難破船の湿地》 2 《憑依された峰》 2 《嵐削りの海岸》 1 《不穏な浅瀬》 2 《不穏な火道》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《島》 1 《山》 -土地(24)- 4 《古のもの》 3 《しつこい負け犬》 3 《税血の収穫者》 2 《侵攻の伝令、ローナ》 1 《太陽の執事長、インティ》 3 《ヴォルダーレンの興奮探し》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(18)- |
3 《切り崩し》 4 《溶鉄の崩壊》 2 《アガサの魂の大釜》 1 《鉄面提督のトンネル掘削機》 4 《アモンケットへの侵攻》 4 《敵対するもの、オブ・ニクシリス》 -呪文(18)- |
-サイドボード(0)- |
《古のもの》を4枚採用、なんとしてもこの神で勝とうという意志が伝わってくるグリクシス(青黒赤)カラーのデッキだ。
どのように《古のもの》を運用するのか?最も分かりやすいのは《アモンケットへの侵攻》だ。3枚切削を行うこのバトルで墓地を増やし、古代より生き続けるものを解放する準備を行う。対戦相手も切削させられ、手札も捨てねばならない妨害手段でもあり、自身は1枚ドローで手札の損失なくこのアクションを行える。変身して《ラゾテプの改宗者》になると自身や対戦相手の墓地に落ちたクリーチャーを利用できる。これが所謂リアニメイト、墓地からクリーチャー・カードが離れるものではなくそれのコピーになるというのがポイントで、墓地の枚数が減らないので古のもののための8枚というカウントを減らさないのが偉い。バトルを1回の攻撃でひっくり返す古のもののスペックとも噛み合っているね。《侵攻の伝令、ローナ》も継続して手札を捨てることが可能で、伝説のクリーチャーとの相性も◎。
上記の青黒の既存カードと、赤の新カードを組み合わせて墓地にカードを送り落魄カウントを稼ぐ。《太陽の執事長、インティ》も《鉄面提督のトンネル掘削機》も手札を捨てる能力を持つ。インティは捨てることでクリーチャーを強化、捨てて終わりではなくそれによってライブラリーを追放して唱えられる、疑似的な手札入れ替えカードだ。これに対して掘削機は捨てた枚数+1枚ドロー、ダイレクトな手札交換であり一気に落魄を進めつつ、変身して《灼熱の裂け目、テクトラン》になると、発見を行える超強力な土地としてデッキの息切れを防ぐ。これらのカードも古のものと等しくデッキを組みたくなる魅力があるので、併せて使うのはスマートなやり方だ。
切削したり手札からカードを捨てることで落魄を起こせるので、このデッキのメイン除去は《溶鉄の崩壊》!クリーチャーかプレインズウォーカーを破壊するだけでもナイス、そしてごく限られたものではあるがエンチャントやアーティファクトに触れることもできる。落魄していればパーマネント2枚を打ち抜けるのでアドバンテージが取れる!スタンダードであれば《熊野と渇苛斬の対峙》《無鉄砲》、そして血や食物などのトークン……2枚抜きが出来るケースは限定的ではあるが、決まればかなり気持ち良くなれるだろう。
さて、ここまでは古のもののために落魄、墓地にパーマネントが8枚以上という状況を作っていくカードを紹介した。しかしそういった真面目な方法以外にもこのスピリット・神を活かす術はある。たとえば《ヴォルダーレンの興奮探し》!この吸血鬼の賛助能力でカウンターを乗せれば、その能力も与えられる。古のものを対象にすればパワー10で生け贄に捧げて10ダメージ!このムーブを2回を決めれば勝てる、シンプルかつなかなかに魅力的なコンボだ。
そして《敵対するもの、オブ・ニクシリス》!彼の犠牲能力で古のものを生け贄にすれば、忠誠度が8という巨大なニクシリスのコピーが誕生する。即座に[-7]能力を起動できるのはむちゃくちゃそそられる。自身を対象にして7枚ドローに酔いしれるも良し、対戦相手を対象にしてライフを7点攻めるも良し。どっちにせよゲームを大きく動かすもので、これが最速3ターン目に決まるというのは……すごい……っすね(語彙消失)。
《古のもの》。名前、イラスト、全体の雰囲気……人の心をつかんで離さない、魔性のカードだ。イクサランがスタンダードで使用可能な期間は、これを主役としたデッキが量産されるに違いない。君ももう魅入られているんじゃないか?さあ、今すぐ《古のもの》に捧げるデッキを組むのだ。
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