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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
イゼット・フェニックス:1マナドロー、何枚でも大歓迎!(パイオニア)
ことあるごとに耳にするようになった「なんぼあっても良いですからね」。これは他のジャンルでは何とも言えないが、少なくともマジックにおいては間違いない。マジックの構築フォーマットには、多人数戦やごくごく一部の特殊過ぎるものを除けば、デッキを組む際に同名のカードは基本土地を除いて各々4枚しか採用できないルールが適用されている。これが実にバランスの良い数字で、60枚以上のデッキに同じものを4枚しかとれないので、特定のカードを全く引けないゲームがあったり、あるいは複数枚引けることもあったり。この引きムラ、良い意味でのランダム要素がこのゲームを再現性の低い、ゲームごとに体験する盤面が異なるというエキサイティングさをもたらしている。
そんな中で似たような効果のカードというものは、何枚あっても良いものなのである。《稲妻》4枚だけじゃなく《稲妻の連鎖》もあれば、バーンデッキはより安定して1マナで3点ダメージを与えられる。手札破壊デッキは《思考囲い》だけでなく《コジレックの審問》もあれが1ターン目からガンガン妨害をかましていける。このように、特に軽い呪文で類似した働きをするものが増えれば増えるほど、動きが安定するアーキタイプがいくつか存在する、今回はこの秋になんぼあっても良いものが増えたデッキの紹介だ。
4 《尖塔断の運河》 4 《蒸気孔》 4 《河川滑りの小道》 1 《嵐削りの海岸》 1 《天上都市、大田原》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 2 《島》 -土地(18)- 4 《帳簿裂き》 4 《弧光のフェニックス》 -クリーチャー(8)- |
4 《考慮》 4 《選択》 4 《手練》 4 《パズルの欠片》 3 《宝船の巡航》 4 《稲妻の斧》 4 《焦熱の衝動》 1 《棘平原の危険》 2 《呪文貫き》 2 《感電の反復》 2 《時間への侵入》 -呪文(34)- |
2 《否認》 1 《若き紅蓮術士》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《宝船の巡航》 2 《削剥》 1 《イゼット副長、ラル》 2 《崇高な工匠、サヒーリ》 2 《霊気の疾風》 1 《神秘の論争》 2 《兄弟仲の終焉》 -サイドボード(15)- |
こちらはパイオニアの「イゼット(青赤)フェニックス」の最新のリスト。フェニックスとは《弧光のフェニックス》。4マナ3/2飛行&速攻、墓地にこれがある状態でインスタント化ソーサリーを同一ターンで3回以上唱えた場合、戦闘開始時にこれは戦場に戻ってくる。平たく言えばマナを払わずに戦場に出す手段を内蔵しているクリーチャーということで、青や赤の手札を捨てたり切削・諜報などする呪文と組み合わせたデッキがパイオニアやモダンで愛されている。
一時期はパイオニアという環境を定義するデッキの一つであったが、最近は使用率が減少していた。しかし『エルドレインの森』の再録カードがこのアーキタイプの使用率を一気に向上させ、トーナメントで上位入賞するリストがグングンと増えてきている。
増えたスタッフは“1マナドロー”だ。そのまんま1マナでカードを引く、或いは手札に加えると書かれているインスタントやソーサリーのこと。これまでは諜報でフェニックスを落とすことも狙える《考慮》を筆頭に、占術により欲しいカードを引き込みやすい《選択》とがこのポジションを担当。いずれも手札の総枚数が増えるわけではないが、デッキを回転させるには使い勝手の良い、文句のない品質だ。これらを連打してフェニックスを墓地に落として復活させるために必要な呪文をかき集め、また枚数を切り詰めた土地を確保する。
ここにエルドレインから加わったのが《手練》!このタイミングでこのようなカードが再録されるとは意外だった。モダンなどのフォーマットでは『第9版』などのセットに収録されているので使用可能だったのだが、それらが範囲外のパイオニアにはなかった新たな刺激の登場だ。モダンではストームデッキなどで使用された実績があり、これもまた呪文を連打するデッキにおいて使い勝手の良いものであることは証明されている。なのでフェニックスデッキにも追加の1マナドローとして、疑いなく4枚フル投入することができたというわけである。おかげでフェニックスデッキは以前よりも滑らかに動くようになり、また第一線に戻ってきたというわけである。
《考慮》以外に墓地にフェニックスを落とす手段は……定番の《稲妻の斧》!1マナ5点除去でパイオニアの厄介なクリーチャーらに簡単に対処しつつ、フェニックスを捨てる無駄のない動きが実現。《パズルの欠片》は手札を増やしつつ墓地に3枚もカードを送り込めるので、これで1ターン準備を挟んで次のターンに一気に攻めるプランが立つ。またフェニックス以外のクリーチャーである《帳簿裂き》もやりよる1枚。1ターンに2回目の呪文で謀議が誘発、サイズアップしていくのでフェニックスに頼らずとも殴り勝てるデッキに仕上がっている。
上記のカードらはフェニックスを落とすだけでなく、単純に墓地の枚数を増やす手段としても優秀だ。これらでたっぷり貯まった墓地は、探査呪文のコストに用いる。《宝船の巡航》が使えるのはパイオニアならではで、探査のためにカードを最大まで追放できれば青マナ1つで3枚ドローという驚異的なマナ効率のドローに!そして同じく探査呪文で要注目なのは《時間への侵入》!11マナとめちゃくちゃ重いが、これもMAXで青マナ3つまでコストが軽減される。その効果は追加ターン!フェニックスや《帳簿裂き》らを複数並べて追加ターンを得れば、そのまま殴り勝つことは確定しているようなものだ。
さらに!これらの探査呪文を輝かせるためにコピーしてやろう。《感電の反復》の出番だ。普通に唱えても良し、或いは墓地に落ちたものをフラッシュバックしても良し。これで探査呪文をコピーして6枚ドロー、あるいは追加2ターン!5マナくらいでこのビッグアクションを可能にする、パイオニアのフェニックスデッキはすごいのだ。
《手練》が加わり1マナドロー12枚体制となった「イゼット・フェニックス」。いくらあっても困らない、何枚あっても良いカードが増えたデッキは……シンプルに強くなっている。以前のままのフェニックスと侮っていると、その高まった安定感に圧倒されてしまうだろう。また昔のカードで《手練》を持っているよ、という方はこれを機会にフェニックスデッキを組んでパイオニアデビューしてみる、なんてのはどうかな?新セットのもたらした変化、パイオニアでも体感しよう!
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