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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
新カードから考えるスタンダード:黒&赤、ネズミ編(スタンダード)
前回でも触れたように、もう『エルドレインの森』環境がスタートを切ろうとしている(新カード自体は既にプレリリースの開始日から使える)。今からしっかりデッキ案を考えて、練って練って練りまくって、新環境の覇者となれ……るかは難しいかもしれないが、とりあえずカードの真価が把握できていない中でデッキを作るという作業、これぞマジックの醍醐味。スタンダードを楽しむ上で見逃せない旬である!
このタイミングを堪能してこそ、ということで今回も前回から引き続き、新カードの中から使いたくなったものをピックアップしてそれを主役としたデッキ作りを目指していこう。今回は黒と赤の2色から私の注目カードを紹介だ。
黒と赤と言えばスタンダードでは一時期無敵のカラーリングだったね。プロツアー上位の大半を占めたのも記憶に新しい。クリーチャーなどのパーマネントの処理能力に長け、こちらのパーマネントもまた強い。ミッドレンジ(中速)やアグロ(高速)など、攻撃的なデッキを組めばこの色がピカイチ。生け贄を主体にしたりアーティファクト中心だったり、デッキ構築のバリエーションも豊富なのがラクドス(黒赤)の魅力だ。『エルドレインの森』でもラクドスには新たな引き出しが……。
今セットの黒と赤のテーマの一つがネズミ!一般的には害獣として嫌われるあの生き物だ(かわいがられる方はハツカネズミとなっている)。1/1とちっぽけでブロックにも参加できないネズミ・トークン。これにまつわるカードが複数枚見られる。
《もつれる群体》は、このセットのネズミをうまく表現している。この尻尾が絡まって1体の生物のようになっている姿、これはラットキング現象と呼ばれ超常現象やUMAの類が好きな人間に知られている。昔よりホントかウソか、こういった尻尾が団子になった個体群が発見され、ヨーロッパ各地の博物館に標本として展示されているという。見るからに不気味なこの現象は凶兆であるとされ、人々は異様なネズミの姿に飢饉や疫病、洪水が起こることを恐れたのだとか。エルドレインの世界観、1枚のカードだけでも色々と伝わってくるね。
この《もつれる群体》、パワー3で攻撃されるのを嫌ってうかつに大きいクリーチャーでブロックしてしまうと、うじゃうじゃとネズミが湧いて余計にややこしい戦場になりそうで、なんともいやらしい(誉め言葉)。これに見られるように、ネズミを生成する手段は他のトークンよりも効率が良いデザインになっている。ブロックに参加できず、時間稼ぎを狙えるものではないがゆえの寛大なサービスということか。中でも個人的にめちゃ注目しているのが……。
《トーテンタンズの歌》!このソーサリーのマナ効率、か~な~り良い。《火の玉》のようなX火力の亜種とも言えるカードであるが、マナを払った分だけトークンが生成できるのはかなりの大盤振る舞い。それらもまとめて全クリーチャーに速攻が与えられるので、一気に殴ってライフを攻める!ブロックされて失ってしまう、そんなこと恐れなくて結構!数体通ってライフを攻められれば十分だ。このソーサリー、他にネズミとシナジー(相互作用)を形成するカードと組み合わせれば額面以上の強烈なカードに成り上がる。たとえばこれ。
《ネズミの王、カルモニクス》!スタンダードにネズミの選択肢がそれほど存在しなかったため、その実力を発揮できずにいた、という印象が強いネズミの王。これはファイレクシアンらしく、ネズミに毒性1を与える。トーテンタンズが謳っておびき出したネズミの大群が、対戦相手に毒カウンターを与える疫病の媒介者に!他のネズミを呼ぶカードと組み合わせれば、たかだか1/1、されどこれの攻撃10回分で勝利できる、そんなデッキが組めるのではないだろうか?
4 《硫黄泉》 4 《黒割れの崖》 4 《憑依された峰》 2 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 4 《沼》 4 《山》 -土地(23)- 4 《もつれる群体》 2 《ぼろぼろのネズミ飼い》 4 《下水王、駆け抜け侯》 4 《ネズミの王、カルモニクス》 1 《駆け抜け侯の解体屋》 4 《レッドキャップのどぶ住まい》 2 《ねじれた下水魔女》 1 《オーガの囀王》 -クリーチャー(22)- |
4 《塔の点火》 1 《シェオルドレッドの勅令》 2 《胆液まみれ》 4 《トーテンタンズの歌》 4 《崩老卑への貢納》 -呪文(15)- |
-サイドボード(0)- |
というわけで今回提案するのは「ラクドス・ラット」。戦場にネズミをうじゃうじゃ群がらせる恐怖のデッキだ。《トーテンタンズの歌》と《ネズミの王、カルモニクス》によるフィニッシュを軸に、効率よくネズミをばら撒くカードを集結させた。新カードであれば《下水王、駆け抜け侯》は外せないな。このエルドレインのネズミの親玉は毎ターン、マナもライフも不要でネズミを生成。ちっぽけなブロック不可のトークンとはいえ、こうも簡単に戦力を得られるなんてたまらないな。そしてネズミが戦場に出れば対戦相手の墓地を漁ってカードを1枚追放する。メインデッキからナチュラルに墓地対策できるというのもこのご時世には嬉しい話だ。
そして既存のカードであれば《崩老卑への貢納》が2マナで2体分のネズミを用意できる。一度は対戦相手に預ける形になるが、最終的にそれらのコントロールを得られる。このネズミはブロックに参加できるものなので混同しないように注意したいところ。《死者の嘆きの残響》はそうやってコントロールを得たネズミらを生け贄に捧げてドローに変換できる。駆け抜け候の提供するものが実質ドローになるという素敵な組み合わせだ。
赤のネズミカードからは《レッドキャップのどぶ住まい》《オーガの囀王》をチョイス。レッドキャップはカード1枚でクリーチャー3体分、アップキープに他のクリーチャーの生け贄でレッドキャップ本体がサイズアップしつつカード1枚分のアドバンテージも得られる。威迫も持っているので積極的にネズミを生け贄にして打点を高めつつ攻撃を仕掛けよう。オーガの方はドラフト・ブースターからは出てこない隠しカード的な存在。攻撃する度にネズミが2体増え、それらが計5体以上なら全ネズミのパワーが2点膨れ上がる!ちっぽけとはもう笑えない、えげつない打点で対戦相手を圧倒しようぜ。
他にもネズミのダメージを高める手段は色々と。まずネズミを容易にブロックさせなくする《ぼろぼろのネズミ飼い》。これがいればブロックされたネズミのパワーが2上昇。対戦相手もタダ同然で湧いてきたネズミとかわいいクリーチャーの相討ちは望まない。だったら大人しく1点喰らっておきなさいと、選択肢を潰しにかかる厄介な人間だ。《ねじれた下水魔女》は5マナと重めなカードだけあって、その能力は強烈。ネズミ1体を生成後、全ネズミにひねくれ者・役割・トークンをつける。単純に+1/+1修正で打点がアップ、そしてひねくれ者となったネズミが戦場を離れればこのオーラが墓地に置かれ、対戦相手にダメージが飛ぶ。これが結構重要で、ネズミが死亡すると誘発するってわけじゃないんだよな。オーラが墓地に置かれた時に誘発するので、《太陽降下》などで追放されたりバウンスを受けたりなどしても、トークンは戦場を離れて役割は墓地に置かれる。躊躇なく魔女でネズミを強化し、対戦相手の喉元へと殺到させよう!
最後に協約呪文についても。《塔の点火》、1マナ2点の平均的なダメージ除去が、トークンを生け贄に捧げることで3点に底上げ&占術1のオマケが付いてくる。こうなるとかなり優秀なインスタントだ。トークンがOKということはネズミを餌にして勿論OK!他にも気になる協約呪文があれば、皆もネズミと組み合わせてそのポテンシャルを試してみて欲しいね。
とりあえずネズミデッキ、超楽しそう。皆も良いリストが思いついたら、共有してちょうだい!
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