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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スタンダードを振り返る&考える:アゾリウス・コントロール(スタンダード)

岩SHOW

 さあスタンダードの振り返りと新カード確認のお時間だ。時に、コントロールと聞くと皆は何色を思い浮かべるかな?スタンダードを取って見ても、相手に妨害を行いつつ長期戦重視のデッキ=コントロールというアーキタイプとするならば、かなりのバリエーションが確認できる。それこそ4色コン、5色コンなんかもあるしね。

 でもやっぱりコントロールというアーキタイプに色を付けるなら……アゾリウス、白青2色と答える人が多いんじゃないかなと。マジック黎明期から、30年に渡ってこのイメージはあらゆる世代に浸透し続けている(と思う)。とりあえずこの2色にはコントロールに求められている者が揃っているから……かな。

 コントロールとは対戦相手に攻め切らせないデッキである。向こうが「こうやって勝つぞ」と考えているプランを崩して崩して、その願望を達成させない。白はそんな生き残りに最適の色だ。クリーチャーを始めとするパーマネントの除去。とくに破壊だけでなく追放するという点で見れば白はナンバーワンの色だ。ライフ回復も白の得意とするところで、白いカードを使えば負けないゲームプランを実行できる。

 対戦相手を勝たせないという点では、青の打ち消し呪文も非常に効果的だ。唱えられた呪文が解決される前になかったことにされる、打ち消しで思い通りのゲーム展開を防がれ続けた苦い思い出、マジックプレイヤーなら誰もが経験することだ。青には白のような直接的な除去はないが、対戦相手の手札にパーマネントを戻す、バウンスと呼ばれる手段もあり、緊急事態にはこれが良い時間稼ぎになる。そして青と言えばドローなど、手札を増やすアドバンテージ獲得呪文にも長けている。これで白の除去や回復、打ち消しや更なるドローなどなど引き込んで、長期戦で手札が切れて負けてしまうのを防ぐのだ。

 これら白と青の長期戦向けのカードで構成されたコントロール。現スタンダードにおける一例はこちら。

「アゾリウス・コントロール」
Construído do TorTo 2位 / スタンダード (2023年8月21日)[MO] [ARENA]
2 《ラフィーンの塔
4 《さびれた浜
2 《金属海の沿岸
2 《アダーカー荒原
2 《天橋塔
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
2 《ミレックス
2 《廃墟の地
4 《平地
4 《
-土地(26)-

2 《金属の徒党の種子鮫
-クリーチャー(2)-
4 《かき消し
3 《否認
2 《雲散霧消
1 《運命的不在
2 《冥途灯りの行進
2 《一時的封鎖
3 《太陽降下
1 《告別
2 《衝動
3 《記憶の氾濫
1 《銀の精査
3 《放浪皇
1 《完成化した精神、ジェイス
2 《時間の旅人、テフェリー
2 《永遠の放浪者
-呪文(32)-
1 《金属の徒党の種子鮫
2 《大都市の改革家
2 《軽蔑的な一撃
4 《黄昏の享楽
2 《邪悪を打ち砕く
1 《運命的不在
1 《船砕きの怪物
1 《告別
1 《一時的封鎖
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 《金属の徒党の種子鮫》を用いた「アゾリウス。コントロール」。除去や打ち消し、ドローを用いて対戦相手の攻めを捌きつつ、種子鮫の培養を誘発させ、戦場に培養器を並べる。インスタントを構えて対戦相手の動向を監視し、何かしてくれば対処・何もしてこなければ培養器を変身させる、という具合に後だしじゃんけん的に戦っていく。自身のターンでは極力ドローして土地を置いてターン終了宣言、じっくりじっくりと盤面づくりを行っていくのでデッキ内の土地の総数は多め。これぞコントロールという教科書通りのサンプルだ。

 コントロールと言えばプレインズウォーカーというイメージも。4マナ以上の重いカードなので、積極的に出していくのはリスクは伴うが、盤面を掌握しきって対戦相手が息切れしているところに降臨させるプレインズウォーカーの支配力は、一度味わうとヤミツキになる。《時間の旅人、テフェリー》や《永遠の放浪者》など、ドローや除去とコントロールの求めるものを持ちつつ、クリーチャーも展開できるプレインズウォーカーはゲームを終わらせるフィニッシャーとして申し分ない。非クリーチャー呪文なのでもちろん種子鮫との相性も◎!

 さて、この古くから連綿と続く白と青の2色のコントロール。『エルドレインの森』環境でもお目にかかることになるだろうか?新カードを確認しつつその可能性を読み解こう。

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 まずはクリーチャー除去から……新カード、というかお帰り!再録カードの《ガラスの棺》!これぞ『エルドレインの王権』時代の白いコントロールデッキの定番除去。これがそのまま帰ってくるとは、想定外だったなぁ。3マナ以下に限られるものの、2マナでサクッと追放できるのは魅力的だ。特に対トークンにおいては、これが戦場を離れても戻ってこないノーリスクの確定除去として機能する。黒に頼らなくても序盤のガードがガッチリ強固なものになるな。

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 クリーチャー除去と言えば『エルドレインの森』ボックス購入特典プロモは《侵入者の放逐》。数字を指定することで状況によって全く異なる全体除去として機能するこのソーサリー。3を指定して対戦相手の大型クリーチャーを複数まとめて飛ばしつつ、《金属の徒党の種子鮫》は戦場に残すという動きはなかなかに魅力的だ。破壊ではなく追放で、かつ単体で培養を行える《太陽降下》と比べると、そちらを優先したくなるのは事実だが、より種子鮫にフィーチャーしたデッキを組むのであれば選択肢に加わることになるはず。

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 さらにクリーチャー以外なら何でも除去できるのも白のお家芸。《真夜中の一撃》は3マナのインスタントで土地以外ならなんでも破壊できるというかなりの広範囲を対象としてヤバい1枚!かわりに1/1の人間を与えることになるが、残りライフ1とかいう状況でもなければどうぞどうぞと喜んでプレゼントしていこうじゃないか。

岩SHOW - 「アゾリウス・コントロール(仮)」
スタンダード (2023年8月24日)[MO] [ARENA]
2 《ラフィーンの塔
4 《さびれた浜
2 《金属海の沿岸
1 《アダーカー荒原
1 《天橋塔
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
2 《ミレックス
2 《廃墟の地
5 《平地
4 《
-土地(25)-

4 《金属の徒党の種子鮫
-クリーチャー(4)-
4 《かき消し
2 《否認
3 《氷封
3 《ガラスの棺
1 《運命的不在
2 《冥途灯りの行進
2 《真夜中の一撃
2 《太陽降下
1 《侵入者の放逐
1 《告別
2 《衝動
3 《記憶の氾濫
2 《遠見の儀式
3 《放浪皇
1 《時間の旅人、テフェリー
1 《永遠の放浪者
-呪文(32)-

-サイドボード(0)-
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 上記の新除去を盛り込んだ白青2色のコントロール、サンプルリストだ。種子鮫で勝つことをより強く狙ってガッツリ4枚採用。これにより培養器を量産することが見込めるので、青の新カードからは協約能力を持ったものをピックアップしてみた。《氷封》は協約で唱えれば2マナの打ち消しになる。培養器をコントロールしている時に2マナ立てて、何か危ないものが飛んで来たら培養器を生け贄にこれを唱えて打ち消す。何も来なければ培養器をファイレクシアンに変身させて盤面を固める。この構えながら戦場を強くしていく戦い方はコントロール好きの心に刺さるのではないかな。

 同じく協約呪文である《遠見の儀式》は手札を増やすアドバンテージ源。コントロールにおける定番中の定番カード《記憶の氾濫》と比較すると、フラッシュバックがある分氾濫の方が優先したいカードにも思えるが、遠見は協約すれば4マナで8枚見てその中から2枚加えられるという、カードを探す範囲が非常に広大でピンチを脱出できる可能性を高めてくれる。培養器や役目を終えた《ガラスの棺》などをコストにして、いざという場面の解答を探しに行きたいね。

 伝統のコントロール・カラーであるアゾリウス。秋のスタンダード新環境の始動直後というのはコントロールが勝ちにくい時期ではあるのだが……今秋はスタンダードのルール変更により、ローテーションに寄るカードセットの入れ替わりが起こらない。《放浪皇》や《かき消し》などの強さが証明済みの土台があるまま新環境が始まるので、次期シーズンは開幕からコントロールも戦っていけそうな予感だ。

 コントロールにおいて最も大事なのは対戦相手の使用するデッキを把握して、それに勝たせないように対策するということ。ゲームを重ねて新環境のデッキ分布を理解し、最適解のデッキを組み上げよう!ゲームを支配(コントロール)するのは君だ!

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