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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
悪役こそがマジックの華!ヒールな黒単コンボ(レガシー)
マジック以外の趣味、何がある?僕は映画鑑賞やプロレス観戦が長年の趣味になるかな。これらに共通していることは……悪役(ヒール)の存在が不可欠ということ。アクション映画には主人公と敵対する悪がいなければ戦いは起きないし、プロレスは傍若無人なヒールにブーイングすることが最高に楽しいのだ。悪役なくして盛り上がりなし、ヒールあってこそのコンテンツ。マジックだってそうだろう、多元宇宙がただただ平和にのどかな時間が過ぎていくのであれば、武器も魔法も必要がなく、僕らが対戦するためのカードが存在しなくなってしまう。悪がいて戦いが起こるからこそ、マジックは成り立っている!これは暴論じゃないはずだ。
先日行われたマジックの2024年以降に関するアナウンスにて、マジックの悪役が集うセット『サンダー・ジャンクションの無法者』が発表された。今からこのセットが待ち遠しいって!
そして次なるスタンダードセット『サンダー・ジャンクションの無法者』にて、我々は新たな次元を訪れることになるでしょう!
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2023年8月5日
カウボーイハットと銃を手に、ご準備を。#MTGThunder #mtgjp pic.twitter.com/ZauIcI1lXU
公開されたアートを見るに、このシルエットはあのキャラだよな……と思わせるものが。結構先の話にはなるけど、悪役を愛する自分としてはたまらないね!待ち遠しいッ!というわけで今回は実に悪役っぽいデッキを紹介するぞ!フォーマットはレガシー!
3 《古えの墳墓》 1 《裏切り者の都》 2 《不毛の大地》 3 《ウルザの物語》 4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 7 《沼》 -土地(20)- 4 《ダウスィーの虚空歩き》 3 《オークの弓使い》 3 《敵対工作員》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(13)- |
4 《金属モックス》 4 《暗黒の儀式》 3 《突然の布告》 1 《毒の濁流》 4 《虚空の力線》 3 《Helm of Obedience》 1 《不正利得》 2 《一つの指輪》 1 《改良式鋳造所》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(27)- |
3 《疫病を仕組むもの》 3 《虚空の杯》 3 《虚空の鏡》 1 《ダークスティールの城塞》 1 《罠の橋》 1 《Helm of Obedience》 1 《マイコシンスの格子》 1 《漸増爆弾》 1 《一つの指輪》 -サイドボード(15)- |
海外の大規模なチーム戦にてレガシー担当のプレイヤーが使用していたリスト(他にモダン・パイオニアと3人そろって対戦する。絶対楽しい!)。これを見た時「バチバチにヒールだな!」とあまりのワルっぷりに感動したものだ。黒単、この時点でもうワル!ピュアブラック、漆黒、悪の証。良いねぇ~レガシーで黒単使っている人には皆それぞれこだわりを感じるよ。黒は影・闇・夜・死……ヒールに必要なものが全部ある色。カードとしてもワルの限りを尽くしてくれる。
まずレガシーの醍醐味であるドロー。《渦まく知識》に《思案》、《グリセルブランド》や《鏡割りの寓話》……カードを引くという最高に楽しい瞬間を台無しにする《オークの弓使い》&《黙示録、シェオルドレッド》!正真正銘のワルだぜコイツらは。本来カードを引けば引くほど有利になっていくのに、それがライフを失ったりダメージをばら撒かれたり軍団が肥大化したり……悲惨な事象への引き金になる。黒単と言えば《思考囲い》などの手札破壊によるコントロールが思い浮かぶが、このリストではそれを捨ててドロー自体に制限をかける不自由を強いる。
またドローではなくライブラリーからカードを探す、サーチにも待ったをかける。《敵対工作員》、もうカードネームが敵対って言い切ってるもんな。完全に悪役で御座います。サーチするカードをこちらが選ぶことになり、それを追放して丸ごといただくことになる。《石鍛冶の神秘家》や《緑の太陽の頂点》のようなサーチ呪文は元より、《樹木茂る山麓》などの土地を探すフェッチランドを潰せるので、対戦相手にとってはこの上なく邪悪な1枚だ。いや、ある意味でドローもサーチもせずに毎ターンの通常ドローだけで正々堂々やろうぜ!という真っすぐな心意気なのかも。
全くそんなことなかったわ、正直すまんかった。《一つの指輪》で思いっきりドローもするし、《大いなる創造者、カーン》でゴリゴリにサーチする。こっちだけアドバンテージ得るんだよ、それの何が悪い!素晴らしいね、この姿勢。指輪のドローはシェオルドレッドと組み合わさってライフになるのはモダンでもお約束のコンボ。そしてカーンでサイドボードから持ってくるアーティファクトは、モダンよりもさらに凶悪。《マイコシンスの格子》でありとあらゆるものをアーティファクト化することで、対戦相手のすべてのものの起動型能力を完封!土地が起動できなくなればマナを得られない、ということでロック状態に持ち込んで一方的にボコる!人質を取って高笑いする悪の組織の幹部、手錠で捕まえて悪行の限りを尽くすヒールレスラーのごとし。
カーンで持ってくるカードの中で、直接的にゲームを終わらせるものは《Helm of Obedience》。一体このややこしそうなアーティファクトは何をするのか?これは対戦相手のライブラリーを1枚切削する。これによりクリーチャー・カードあるいは何かしらのカードX枚が墓地に置かれるまで、同じ工程を繰り返す。そうやって墓地に落ちたクリーチャーをこちらのコントロール下で戦場に戻すという特殊な挙動を見せる。わ・け・だ・が。このデッキではそのような説明書通りの使い方はしない。《虚空の力線》と組み合わせてコンボにするのだ。力線により対戦相手の墓地にカードが置かれるなら、それは追放される。つまりHelmをX=1で起動すれば……カードが墓地に置かれることがないので、切削がノンストップで継続。対戦相手のライブラリーが全て追放されてしまう。そのままライブラリーからカードが引けなくなった対戦相手は敗北条件を満たしてしまい、決着と相成る。えげつない凶器攻撃、これの確立を上げるためにメインデッキとサイドボードに分散させ、カーンで水増しするのである。
この力線Helmコンボ自体はレガシーでも古くから目にするものだが、このリストにはさらなる極悪要素が盛り込まれている。《不正利得》!カード名、悪でしかないッ!このソーサリーはお互いの手札を捨てさせて、それぞれに墓地からカードを3枚回収して手札にするという手札リセット兼墓地再利用カードなのだが……そう、力線で対戦相手の墓地が空っぽ&捨てた手札も追放という状況であれば、このソーサリーで手札を3枚確保できるのはこちらだけとなる。凶悪、最悪、極悪とはこのことだ。
悪役を演じられる、ヒールを従えられるというのもまたマジックというゲームの醍醐味だと思うね。現実では誠実・実直そのものなあの人が、意外とワルなデッキを使っていたりするものだ。さあ、君も悪の魅力に目覚めたら、デッキを組んでみるべし。悪の美学に触れろ!
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