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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ディミーア・コントロールの激シブ交換条件(モダン)

岩SHOW

 激シブ。これぞカードに対する最大限に評価(と個人的に思っているだけ)。ド派手で強いパワーカード、それも最高だ。誰でも・どんな状況でも楽しいファンカード、夢があって良い。しかしながら日々使い込み、擦り続けるのであれば……激シブカードではないか。派手さはなく、誰にとっても楽しいものではない。マニア、玄人の領域からすれば深いコクと香りが味わえる。ビターすぎるブラックコーヒー、ピート臭の強いウィスキー。そんなシブさ溢れる1枚をマイデッキのキーカードに据え、日々使い込む。嗚呼、これぞクールなひと時……というわけで今週もやってきました、クールなデッキを紹介する金曜日のこのコーナー。

 本日は特別にクールだ、何せ……「プロツアー・指輪物語」開幕!マジックにおいてこれほどクールなことがあろうか。競技プレイヤーが世界中から集い、技量を競い合う。今回はスペイン、バルセロナ。情熱の国で『指輪物語:中つ国の伝承』の新カードを迎えたモダンで対決。今回も有難いことにプロツアー実況参加させていただくので、クールな時間を皆と共有できるように、内に気合いを秘めていくぜ。

 というわけで今回の紹介デッキは、もしかしたらフィーチャーマッチに登場するかも?モダン環境の要注目な新デッキの登場だ。冒頭で触れたような激シブでクールなカード、採用されてるぜ。

nahuel10 - 「ディミーア・コントロール」
Magic Online Modern Challenge 優勝 / モダン (2023年7月16日)[MO] [ARENA]
4 《汚染された三角州
1 《霧深い雨林
3 《虹色の眺望
2 《湿った墓
1 《水辺の学舎、水面院
1 《ストーム・ジャイアントの聖堂
1 《天上都市、大田原
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
4 《
2 《
-土地(20)-

4 《オークの弓使い
4 《緻密
2 《黙示録、シェオルドレッド
2 《濁浪の執政
-クリーチャー(12)-
4 《致命的な一押し
2 《シェオルドレッドの勅令
1 《激しい叱責
4 《対抗呪文
4 《否定の力
2 《呪文貫き
3 《ロリアンの発見
4 《サウロンの交換条件
4 《一つの指輪
-呪文(28)-
2 《神秘の論争
1 《呪文貫き
2 《虚空の杯
3 《大祖始の遺産
2 《滅び
2 《仕組まれた爆薬
3 《漂流自我
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 モダンを劇的に変えたカードが2種。1枚目、《一つの指輪》。指輪物語の象徴である魔力を秘めたこの指輪、プレイヤーを一時的に(ほぼ)不死身にし、そして大量のドローをもたらす。無色のアーティファクトなのでありとあらゆるデッキで採用可能、兎に角色んなデッキがこれを採用してそのドロー力を試す日々が続いていた。起動するたびに増えていく重荷の分だけライフを削っていく、諸刃の剣である。が、この弱点は《黙示録、シェオルドレッド》がいればないようなもの。カードを引いた枚数×2点分のライフ回復により、対戦相手と圧倒的にリソース(ライフや手札、パーマネントなどの資源)の差をつける。黒いデッキの指輪はその禍々しさが倍増だ。

 そしてこの指輪のようなドローに対するアンチテーゼである、モダン環境を変えた2枚目のカードが《オークの弓使い》。今回のプロツアー、黒いデッキのことごとくに採用されているのではないかな。戦場に出るか対戦相手が通常ドローでない形でカードを引けば、狙撃からの軍団招集。低タフネスのクリーチャーを除去、ライフを攻め、そしてトークンがどんどんとサイズアップ。わざわざここで説明するまでもないかもしれない、モダンの台風の目。オークを中心にこの環境は動いている。使う側になるか、使われても気にしないデッキを選択するか?ひとまずタフネス1のクリーチャーを今モダンで使うのはあまり得策とは言えない状況になっている。

 これらのカードは冒頭で触れた激シブカードというわけではない(どう感じるかは人それぞれだけどもね)。様々なデッキで活躍中のこれら中つ国の主役がいる中で、マニアが使い込んでいる、一部の層にはグッとくるカードがこのリストには含まれている。そんなカードに触れる前にザクッとこのデッキの狙いを解説。《対抗呪文》《致命的な一押し》などのインスタントが主体で構築されており、対戦相手の動きを見てからそれに対応する動きをする、コントロールデッキに分類できる。弓使いや指輪などのパワーカードで攻勢に出るまで、つまり対戦相手が疲弊しきるまでは冷徹クールにコントロール。捌き切ったらこっちの思い通りだ。では、激シブカードの紹介と行こう。それは……。

 《サウロンの交換条》だ。まず絵がカッコイイ、青黒の多色呪文の枠もクール。このインスタントは対戦相手にこちらのライブラリーの上から4枚を見てもらう。その内容はこちらには明かされない。対戦相手はそれらを表向きの束と裏向きの束の2つに分ける。それらのうち一つを選んでこちらの手札に加える……古の人気カード《嘘か真か》が現代のカードパワーに合わせて調整されたものだ。3マナで手札が増える可能性があるアドバンテージ獲得カードであり、ドローではないので《オークの弓使い》を誘発させないという点もシブい。

 これ、たとえば《一つの指輪》とか《黙示録、シェオルドレッド》などのパワーカードが4枚のうちに含まれていると面白いことになる。対戦相手は絶対に上記のような強いカード、あるいは打ち消しや除去などの自分の行動を妨害するカードをあげたくない。それが含まれた束を選ばせないように慎重に束を分けなければならない。これ、慣れてないと本当に戸惑う!あまりにもこんがらがって、裏をかきすぎて相手にとってむっちゃ良い条件を提示してしまうなんてこともあるあるだ(笑)。プロツアーに参加しているようなクールなプレイヤー達なら動揺は見えないかもしれないが……捲れ方によっては勝負を分ける超ムズな選択肢を突き付けるクールな1枚である。

 あと忘れちゃいけないのが、このカードには「指輪があなたを誘惑する」と書かれている。オーク・軍団なんかを指輪所持者に指定して、高パワーのブロックをすり抜けるのもシブすぎる。2回目以降が決まればクリーチャーで攻撃するほど有利になっていくので、インスタントで対戦相手をいなしつつ隙あらばクリーチャーに指輪を持たせて攻撃しよう。

 《ロリアンの発見》もめちゃシブなクールカードだ。1マナで島タイプを持った土地を手札に加えられる島サイクリングの持ち主!相手の動きを伺いつつ、相手のターン終了時にマナが余っていればこれで土地を持ってこよう。この万能サイクリングのおかげでデッキの土地総数20枚という絞りに絞った構成が成立している。ゲームが長引いて消耗戦になったら、5マナで唱えて3枚ドローしたら良い。その瞬間はこの上なく味わい深いだろうな。

 さあ、プロツアー。どんなクールなデッキが飛び出すのか、フィーチャーマッチから目を離さずに。《サウロンの交換条件》が盤上に出てきたら「激シブカード!」とかコメントしてくれたら、実況している僕が喜ぶのでどうぞよろしゅう。それじゃあ今週はここまで。そしてここから、だな。Stay cool! Watch Pro Tour together!!

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