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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス・ミッドレンジ:ノーンとウラブラスク、実は仲良し?(スタンダード)

岩SHOW

 マジックには背景ストーリーが設けられており、カードからはその世界観の断片が見えてくる。数えきれないほどのキャラクター、それらが織り成す勢力。それらの力を駆使して勝利を目指すゲームであるわけだが……皆さんご存知の通り、ストーリー上の設定がどうであるからといって、デッキを組む際にそれを考慮しなければならないという縛りはない。ストーリー上ではバチバチに火花を散らして敵対する関係にある者同士を同じデッキの主軸として戦場に並べたりするなんてのは、日常茶飯事。プレイヤーはよほど抗争の間を取り持つのが上手いプレインズウォーカーなのだろう。相容れない、油と水のような存在も我々プレイヤーの手にかかれば同じデッキのムジナである。

 今回紹介するデッキも、そんな敵対関係にあるカードを上手く噛み合わせて勝利を目指す、交渉力のたまものとも呼べるリストである!

Landlord Fabless - 「ボロス・ミッドレンジ」
Swiss Bo3 @ NBL トップ4 / スタンダード (2023年7月8日)[MO] [ARENA]
4 《日没の道
4 《戦場の鍛冶場
10 《平地
7 《
-土地(25)-

4 《栄光のドミヌス、モンドラク
-クリーチャー(4)-
2 《エルズペスの強打
4 《兄弟仲の終焉
3 《家の焼き払い
4 《集団失踪
2 《運命的不在
2 《冥途灯りの行進
4 《婚礼の発表
4 《ノーンの水源
4 《ウラブラスクの溶鉱炉
2 《華やいだエルズペス
-呪文(31)-
3 《火遊び
3 《稲妻の一撃
3 《削剥
1 《家の焼き払い
2 《運命的不在
3 《ダニの監視者
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 スタンダードの白赤2色のミッドレンジ(中速デッキ)。流行りのリストではあまり見ないカードも含まれているが、それらがストーリー的には相反する面白い組み合わせになっている。《ノーンの水源》そして《ウラブラスクの溶鉱炉》、それぞれエリシュ・ノーンとウラブラスク、新ファイレクシアの法務官の名を冠するアーティファクトだ。新ファイレクシアの頂点に君臨するのは、邪魔者を悉く粛清したノーン。これに対してウラブラスクは、シェオルドレッドら黒の勢力の助力を得て反乱を起こした。つまりノーンとウラブラスクは決して混じりあわない敵同士!それでありながら、彼らのアーティファクトは好相性だったりする。

 自軍のクリーチャーが死亡すると占術が行え、2回分の誘発で貯まった油カウンターを消費してドローも出来る《ノーンの水源》。これの誘発を推し進めるのに《ウラブラスクの溶鉱炉》はもってこい。戦闘が来るたびに油カウンターを置いてそれに等しいパワーに速攻とトランプルを持ったトークンを生成。これはターン終了時に生け贄となる制限時間付きの使い捨てアタッカーだが、その賞味期限は水源の油を増やせるというポジティブな捉え方もできるのだ。もちろんブロックされて死亡してもOK。溶鉱炉を設置さえすればあとはコスト不要でフルオートでトークンを射出し、与えるダメージがどんどん上がっていく。もっと使用されても良い強カードであり、これで水源というマニア好みのカードをサポートする。このミッドレンジのメインエンジンは相容れない法務官のタッグにより成立しているのだ。それぞれが複数枚ずつ並んだら、手札も盤面もパンパンで滅茶苦茶なことになるな。

 これらの法務官アーティファクトはいずれもマナ総量が3以下なので《華やいだエルズペス》で戦場に出すことも狙える。これもよくよく考えたら背景ストーリー的にあり得ない組み合わせではあるな。特にエルズペスがノーンの力を提供するなんて……《エルズペスの強打》のイラストを見ればマジであり得ない話ということが伝わるだろう(笑)。いずれにせよエルズペスの能力で戦場に出たこれらのエンジンは盾カウンターも乗っており、対処がかなり難しくなる。またノーンの領域に発生した《栄光のドミヌス、モンドラク》もまた《ウラブラスクの溶鉱炉》との相性は抜群。毎ターン2体のトークンで殴りかかれば、相手のガードが強固であったとしてもいずれぶち抜けるというものだ。モンドラクが破壊不能を得るためのコストであるクリーチャー2体の生け贄も、溶鉱炉と並べれば無から生まれてくるのだから完璧だ。

 ストーリー的に全く仲良くないキャラや勢力がカードではめっちゃ仲良し。このマジックあるある、デッキを組む際に意識してみるとよりゲームが楽しめるかもしれない。あり得ない共演が勝利を呼び込む。これって人生にも活かせる教訓かも?なんでも組み合わせてみないとわからないよな。レッツトライ!

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