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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:オークの弓使いが環境を変える!?デルバー&イニシアチブ!(レガシー)
やってきました、クールな金曜日。マジックは30年も続いている、その時点でクールすぎるコンテンツだ。このファンタジー世界を描いたカードゲームは、歴史においても世界観においても、大先輩と呼ぶべきコンテンツとのコラボを果たす。『指輪物語:中つ国の伝承』、あの20世紀を代表する文学作品との夢のコラボである。クールすぎるぜ!
「指輪物語」は初版が1954年に出版され、以来世界中の人々に愛され続けている。圧倒的なスケールで描かれたファンタジー世界での冒険譚は、後発のファンタジー作品に多大なる影響を与えている。たとえば……オーク。人間のようなシルエットを持つ、粗暴で邪悪な種族として様々な作品で描かれているこの種族。その定義やオークという呼称は指輪物語が元祖である。指輪物語の作者であるJ・R・R・トールキンが他作品のゴブリンの設定より影響を受け、それをベースに作り上げた種族に、古き時代の言語における悪魔などを意味するOrcから借用して名付けたものなのだとか。
オーク、マジックでもお馴染みの種族ではあるね。マジック黎明期においてはゴブリンとの区別があいまいで、イラストでも両者は同じ様に描かれているものが多い。ゴブリンよりもオークの方が多く収録されたセットもあったりしたのだが、段々とゴブリンにシフトしていって……オークのタイプを持つカードは作られることが皆無になった時期もあった。が、タルキール次元のように一部の次元には生息しており、時折その狂暴な姿が赤や黒のカードに見られる。しかしながらゴブリンに比べるとデッキの主役になるというレベルのオークは出現せず、というのがマジックにおけるオークの歴史。
これを塗り替えるのが『指輪物語:中つ国の伝承』!オークを世に広めた作品とのコラボ、もちろん強力なオークが収録されている。リリース前から最も注目を集めているのが《オークの弓使い》だ。名前は平凡に思うかもしれないが、こういうのがクールなカード名と感じるのがクールな感性というもの。このオークは戦場に出るか、相手が毎ターンの通常のドロー以外の形でカードを引くと誘発する能力を持つ。
その内容、これがかなり強い。対象に1点のダメージを与え、オーク動員1を行うという……まさかここにきて動員がリメイクされて再登場するとはね。動員を行う際に、軍団のタイプを持つクリーチャーの上に指定された数字の数だけ+1/+1カウンターを乗せる。軍団をコントロールしていなかったらそのトークンを生成するという、数を増やすのではなくサイズが上昇していくというトークン戦術の一種だ。オーク動員はオーク・軍団・トークンを生成し、さながら指輪物語の作中に登場する折り重なるほどに群がったオークを再現することが可能になっている、と。つまりこの弓使いは、とりあえず戦場に出たら1/1+1点ダメージ+1/1の軍団、とパーマネント2つにパーマネント除去ができる可能性を持った1枚であるということ。そして対戦相手がドロー呪文を多用するデッキであれば、バスバスとダメージを飛ばしつつモリモリと軍団が成長する。ドローと言えば……レガシー環境に目を向けてみよう。
レガシーを代表するドローといえば、なんだかんだいってやっぱり《渦まく知識》。1マナで3枚引いて手札を2枚ライブラリーに戻す。手札の枚数自体が増えるわけではないが、ライブラリーからカードを手繰り寄せて強引に状況を打開する、青いデッキの必需品である。このブレストこと《渦まく知識》を唱えるのに対して、瞬速を活かして《オークの弓使い》を割り込ませると……3点ダメージ+オーク動員3!ライフか盤面を攻められた上に上質のトークンが出現するという、決まればクールすぎて目がチカチカしそうな光景が。レガシーには他にもドローが溢れているため、こりゃ強いだろ!ということで発表と同時にレガシーで暴れることを期待されていた。今週はそんな新風、《オークの弓使い》を用いたクールすぎるレガシーのデッキを紹介しよう!
2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 2 《霧深い雨林》 4 《Volcanic Island》 3 《Underground Sea》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》 3 《オークの弓使い》 3 《濁浪の執政》 -クリーチャー(14)- |
2 《ミシュラのガラクタ》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《思考囲い》 4 《目くらまし》 4 《意志の力》 1 《軽微なつまづき》 4 《稲妻》 2 《殺し》 -呪文(27)- |
2 《否定の力》 2 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 1 《水流破》 1 《相殺》 2 《外科的摘出》 2 《溶融》 1 《火の中へ投げ捨てる》 1 《シェオルドレッドの勅令》 1 《狡猾の宮廷》 -サイドボード(15)- |
まずはこちら、「グリクシス(青黒赤)デルバー」。デルバーこと《秘密を掘り下げる者》を《昆虫の逸脱者》に変身させるインスタント主体デッキで、変身したデルバーや昂揚を達成した《ドラゴンの怒りの媒介者》といった低コスト高パフォーマンスのクリーチャーを《目くらまし》《意志の力》などの打ち消しで護りつつ殴り勝つ。スタイリッシュでクール、レガシーを代表するアーキタイプだ。
このデッキこそまさしくブレストデッキと言える。土地の枚数を減らし、そのスロットにブレストや《思案》などの低コストドロー呪文を採用することで、手数で勝負するデッキに仕上げられている。このデルバーの同型戦において、《オークの弓使い》は劇的な働きを見せる。呪文の応酬からブレストで打開策を探しに行った対戦相手に、弓と軍団の追い打ちだ。デルバーや媒介者といった低タフネス集団も撃ち落とせるというのは、同型戦においてかなりのプレッシャーになる。《水流破》《紅蓮破》も受け付けない黒という色もクールで、これは対デルバー戦ではキーカードとして猛威を振るいそうな予感!
4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 4 《魂の洞窟》 1 《無声開拓地》 1 《カラカス》 2 《平地》 1 《沼》 -土地(17)- 4 《オークの弓使い》 4 《選定された平和の番人》 4 《エメリアのアルコン》 2 《敵対工作員》 4 《練達の地下探検家》 4 《レイヴンロフトの冒険者》 3 《悲嘆》 3 《孤独》 -クリーチャー(28)- |
4 《金属モックス》 4 《水蓮の花びら》 4 《虚空の杯》 2 《精霊界との接触》 1 《アガディームの覚醒》 -呪文(15)- |
4 《虚空の力線》 3 《剣を鍬に》 2 《疫病を仕組むもの》 2 《封じ込める僧侶》 1 《聖戦士の奇襲兵》 1 《第三の道のロラン》 1 《敵対工作員》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -サイドボード(15)- |
一方こちらは「オルゾフ(白黒)イニシアチブ」。イニシアチブ能力を持ったクリーチャーで地下街を探索しゲームを優位に進めていくクリーチャー主体のデッキだ。イニシアチブ能力持ちのクリーチャーを複数採用するために2色の構成になることが多く、このリストでは《練達の地下探検家》《レイヴンロフトの冒険者》を用いる。これらはどちらも4マナで、レガシーでは重いコストになるため、早いターンに唱えられるように《古えの墳墓》《裏切り者の都》ら2マナ土地が標準装備。それらの土地と《金属モックス》などのマナ加速を活かしてイニシアチブを取りに行くわけだが、このマナ加速を多く盛り込んだ構築と相性の良い《虚空の杯》も採用。対戦相手の低コストをシャットアウトしながら、3マナ以上のカードパワーでねじ伏せるという戦い方がクールなアーキタイプだな。
このデッキでは相手のブレストなどの軽いドローを《虚空の杯》で打ち消すことを狙うが、もし杯が打ち消されたり破壊されたりして機能しない状況下で相手が悠々とそれらのドローを用いてきたら、狙いすました弓使いでスナイプしてやろうという魂胆だ。二段構え、どんなデッキにも備えておきたいクールな要素。
またこのリストにおける弓使いは、あまり効果的に働かない状況であれば《悲嘆》の想起コストにも充てられて、黒という色が活きてくる。想起で唱えたインカーネーションを《精霊界との接触》の魂力で追放して戻すという、イニシアチブ系デッキのクールな基本テクも盛り込まれている。この魂力、もちろん弓使いを対象にして出し入れしても良いので、低タフネスクリーチャーを削り落としたりブロックされた軍団をデカくして一方的に討ち取るなどのクールテクニックを炸裂させてほしいね。サイド後には《第三の道のロラン》の能力で対戦相手に無理やりドローさせて、むしろこちらが得するなんて展開も!?
《オークの弓使い》のポテンシャル、伝わっただろうか。オークという概念を生みだした「指輪物語」からやってきたオークは、マジック界のオークの地位を一気に上昇させる1枚になりそうだ。スタンダードやパイオニアでは使えないものの、モダンやエターナル・フォーマット、MTGアリーナならアルケミーやヒストリックと様々なフォーマットで活躍するんじゃないかな。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Orcs are coming!!
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