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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
親和、再びの隆盛(モダン)
マジックには様々な能力がある。様々……というか夥しい数と言うべきかな(笑)。能力の中には飛行やトランプルのように、ありとあらゆるセットで用いられる常盤木/Evergreenと呼ばれるものと、特定のセットでのみ用いられる限定的なものとで大別される。
常盤木でなくても、デザインの幅があって何度も再録されるものもある。代表的なもので言えばサイクリングかな。逆に、強すぎたり独特過ぎて再録のタイミングになかなか巡り合えない能力もあったり。『ファイレクシア:完全なる統一』環境の現行スタンダードは、かなりの能力が再録されているのが特徴である。その理由はファイレクシアにて数々の能力が再録されたからである。しかも結構予想外だったやつがね。
かつてミラディンだった次元が新ファイレクシアになったことを示すためのフレイバー的側面も強い能力再録の中でも、初見で最もビックリしたのは「親和」。これはかつて『ミラディン』の時代に一世を風靡したもの。親和(○○)と表記され、その○○をコントロールしている数だけ唱える際のコストが軽減されるというもので、親和(山)といった具合に特定のカードを多く採用したデッキで輝くカードとしてデザインされた。そんな中でも最も強かったのは親和(アーティファクト)!親和と一緒にやって来たアーティファクトタイプを持った土地を並べることで、あっという間にパーマネントがズラリと並んだ戦場を作ることが可能だった。
スタンダードセットに再録された親和能力はかつてのものよりは調整されたデザインになっており、支配的な存在にはなっていない。懐かしの能力が帰ってきたなぁと感慨深くなれる感じにまとまっているね。
かつてのそれは現スタンダードのようなものじゃなく、「親和」というアーキタイプは最大勢力として君臨していたものだよ。スタンダードから去った後はモダンなどに戦場を移していたが、自ずと「親和」というアーキタイプから親和能力を持ったカードは抜けていった。先述のように再録されることがなく、アーティファクト・土地も完全に使えるわけではないモダンにおいて、アーキタイプ名と軽いアーティファクトを連打して戦うという精神だけが残り、親和能力を目にする機会はほとんどなくなっていた……のだが。最近ではまた親和カードが復権の兆しか?
4 《ダークスティールの城塞》 4 《霧霊堂の橋》 2 《糸絡渦の橋》 4 《ウルザの物語》 1 《天上都市、大田原》 3 《島》 -土地(18)- 4 《羽ばたき飛行機械》 2 《メムナイト》 1 《機能不全ダニ》 3 《金属ガエル》 4 《滞留者の相棒》 4 《思考の監視者》 -クリーチャー(18)- |
4 《物読み》 3 《現実の強奪》 3 《金属の叱責》 4 《バネ葉の太鼓》 3 《頭蓋囲い》 2 《溶接の壺》 1 《上天の呪文爆弾》 1 《探検の地図》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 1 《影槍》 -呪文(24)- |
4 《四肢切断》 4 《仕組まれた爆薬》 2 《大祖始の遺産》 1 《墓掘りの檻》 2 《溶接の壺》 1 《狼狽の嵐》 1 《頑固な否認》 -サイドボード(15)- |
というわけでモダンの「親和」最新リストをご紹介。『モダンホライゾン2』でちょろっと増えた親和カードがなかなか強くて、アーキタイプが名ばかりでなく真の親和を取り戻すことになった。《思考の監視者》は親和という能力の価値を一気に引き上げたね。《物読み》とこれが合わさることで、アーティファクトの大量展開→ドロー→再展開という動きが安定して狙えるようになった。
さらにさらに!《現実の強奪》という実質的に親和(アーティファクト)と印刷されているカードもここに加わる。ライブラリーの上から7枚見て2枚のアーティファクトを手に入れる、まあつまりはデッキ内の何でも手に入るってわけだな。これだけの手札補充が揃っていれば、何も躊躇することはない。《バネ葉の太鼓》と《羽ばたき飛行機械》や《メムナイト》を組み合わせることで、最序盤から親和呪文を唱える準備はOKだ。
親和デッキの象徴であった《金属ガエル》もモダンの表舞台に返り咲いた。高確率で0マナ2/2!そして次なる親和のためのカウントを稼いでくれる。かつての相棒である《マイアの処罰者》は……サラマンダーに姿を変えて帰ってきた。《滞留者の相棒》!3マナ以下で唱えられれば4/4というスペックは破格のものになる。2ターン目なんかに出せれば最高だ。アーティファクト・土地サイクリングというオプションもいざという時に狙うことも。
そのサイクリングで持ってくる土地、以前から鉄板チョイスの《ダークスティールの城塞》と、色マナが出る《霧霊堂の橋》などのタップイン土地を組み合わせるのが今のトレンド。これらの土地の中でも青マナが出るものはやはり評価が頭抜けているという印象、色マナと親和カウント、ある種の2マナ土地のように扱える頼れる存在だ。
それからカード自体はアーティファクトのタイプを持たないが、《ウルザの物語》もカード1枚でアーティファクトのカウントを2つ以上稼いでくれる可能性アリ。アーティファクト・土地が並んでいるだけでこれが生成する構築物のサイズはえげつないものになり、文字通り土地だけで勝ててしまうゲーム展開もあったりするだろう。
親和デッキと言えば忘れちゃいけない装備品、《頭蓋囲い》!このカードをモダンのデッキリストでまた目にする機会が増えてきて、オールドファンとしてはなんだかベテラン選手の再起を見るような気持ちに。装備しているクリーチャーのパワーをアーティファクトの数だけ強化する、シンプル故に秀でた破壊力!《羽ばたき飛行機械》や《思考の監視者》に装備させて空から強襲をかけ、地上は滞留者や構築物で固める。これが現在の親和デッキの必勝パターンだ。このプランを貫き通すため、対戦相手のプランを崩すためにも《金属の叱責》で要所を打ち消す、青いデッキならではの強みも活かして勝ちに行こう。
親和という能力がまたスタンダードセットで見られるとは思わなかった。今後のセットでも、見慣れないキーワード能力が突如として出てきたなら……過去のカードにそれが書かれていないか検索してみるのも良いかも。その能力をテーマにしたデッキがモダンなどでは未だに現役、なんてこともあって面白い発見になるかもね。
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