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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
オープン上位リスト、赤単に何を“タッチ”?(スタンダード)
「プレイヤーズコンベンション横浜2023」帰りのため、同イベントからのデッキ紹介が続いている。今回も3月頭に横浜がマジックに染まった2日間より、スタンダードオープンの上位入賞デッキを紹介しよう。2つのリストを紹介するが、いずれも赤単タッチαなリストだ。
本編に入る前に、まずタッチという概念の説明から。これは日本において2色以上のデッキに対して使われる表現で、デッキの大多数を占めるわけではないがちょいと足された色を「タッチ○○」と表現する。「黒単タッチ白」「赤緑タッチ青」みたいな具合に表記してあると、ああメインカラーじゃないけど分け合ってちょっと色足してあるんだなと。その色が足された理由なんかを、デッキリストを見ながら推測していくのもまた楽しいね。では、2つの赤単、それぞれ何がタッチされているか見てみよう!
6 《山》 4 《銅線の地溝》 4 《カープルーザンの森》 4 《落石の谷間》 4 《ミシュラの鋳造所》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《ミレックス》 -土地(24)- 4 《僧院の速槍》 4 《フェニックスの雛》 3 《血に飢えた敵対者》 3 《ロノムの発掘家、フェルドン》 3 《迷宮壊し、ミグロズ》 1 《無謀な嵐探し》 1 《シヴの壊滅者》 -クリーチャー(19)- |
4 《火遊び》 4 《稲妻の一撃》 1 《抹消する稲妻》 4 《熊野と渇苛斬の対峙》 1 《勝負服纏い、チャンドラ》 3 《焦熱の交渉人、ヤヤ》 -呪文(17)- |
2 《絞殺》 3 《抹消する稲妻》 3 《引き裂く炎》 2 《燃え立つ空、軋賜》 2 《未認可霊柩車》 2 《勢団の銀行破り》 1 《勝負服纏い、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
こちらは11位入賞の、赤単に緑をタッチしたもの。《僧院の速槍》《フェニックスの雛》ら1マナクリーチャー、そして赤単の動力源である《熊野と渇苛斬の対峙》らでゲーム開始。速攻持ちのクリーチャーと対戦相手に直接ダメージを与える手段を駆使して、最序盤からライフに一直線でプレッシャーをかけていく。
対戦相手の体制が整う前に逆転不能なライフ差をつけて押し切るのが赤単アグロの古典的かつ揺るがぬ戦法だ。速攻クリーチャーもただダメージを与えるだけでなく、《血に飢えた敵対者》や《ロノムの発掘家、フェルドン》などの呪文を唱える機会が得られるカードが採用出来るのが現スタンダードの赤のセールスポイントだね。
他の色に比べるとアドバンテージの獲得は苦手なものだが、これらのクリーチャーで攻めながらほんのりとアドバンテージを稼げたらそれが勝負の決め手になり得る。特に敵対者で《火遊び》《稲妻の一撃》を使いまわすのは重要だ。なるべく対戦相手のクリーチャーの除去のために使いつつ、いざという時は本体に撃ち込んでライフを削る直接火力と呼ばれるこれらの呪文。どう運用するか、選択をミスると取り返しのつかないカードではあるのだが、敵対者で後から拾えるならその迷いも軽減されるというものだ。
この赤単に緑を足した理由は……《迷宮壊し、ミグロズ》、これのためだけというわかりやすいものだ。
3マナ4/4、速攻は持っていなくとも十分な攻めに向いたボディ。そして赤単色ではまず得られない警戒。これを得る能力があるので、攻撃一辺倒でブロック役不在という状況が防げる。油カウンターを消費してこれを得るのだが、同時に威迫も得られるのが攻防一体で素晴らしい。《放浪皇》で除去されない、打点として計算できるナイスガイだ。さらに油とマナの消費量を増やせば、サイズアップにアーティファクトorエンチャント破壊と、選択肢はたっぷり。
単純にマナ効率の良い打点のパワフルさと、《勢団の銀行破り》《鏡割りの寓話》《婚礼の発表》と環境に蔓延るあらゆる置き物を捌けるテクニカルさとが合わさって最強に思える。これのためだけに緑を足すのも納得。赤単の良い動きを崩さず、美味しいところだけ受け取るタッチは大歓迎だな。
5 《山》 4 《黒割れの崖》 4 《硫黄泉》 4 《憑依された峰》 4 《ミシュラの鋳造所》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《ミレックス》 -土地(23)- 4 《僧院の速槍》 4 《血に飢えた敵対者》 2 《苦難の影》 4 《墓地の侵入者》 2 《シヴの壊滅者》 -クリーチャー(16)- |
3 《火遊び》 3 《稲妻の一撃》 2 《削剥》 3 《喉首狙い》 4 《熊野と渇苛斬の対峙》 4 《鏡割りの寓話》 2 《焦熱の交渉人、ヤヤ》 -呪文(21)- |
2 《シェオルドレッドの勅令》 1 《削剥》 1 《喉首狙い》 4 《巨竜戦争》 1 《未認可霊柩車》 3 《勢団の銀行破り》 2 《強迫》 1 《金線の酒杯》 -サイドボード(15)- |
同イベント22位のリストは赤単をベースに比較的多めにメインから9枚の黒いカードをタッチしている型だ。黒が加わるとどうなるか?そりゃあもちろんクリーチャー除去の強化!赤にも十分に対戦相手のクリーチャーを盤面から取り去るカードの選択肢はあるのだけども、それらはダメージを与えるものなので高タフネスのクリーチャーは除去しにくいのがネック。特に《黙示録、シェオルドレッド》は目の上のたん瘤。タフネスが5もある上に、これが立ちはだかってにらみ合いが続いてしまうと、折角減らしたライフがドロー毎に回復していって逃げ切られてしまう。こりゃあたまったもんじゃない!
赤単は何とか5点以上のダメージを与えられる火力をサイドに用意しているものだが、だったらもう色足してタフネスどうこう言わない黒の除去使ってしまいなと。いうわけで《喉首狙い》!アーティファクトでないクリーチャーを破壊する、非常に有効範囲の広い2マナインスタントだ。シェオルドレッドだろうが《偉大なる統一者、アトラクサ》だろうが問答無用で墓地へ直行!そしてアーティファクト・クリーチャーに関しては《削剥》を採用しているので、《ファイレクシアの肉体喰らい》が出てこようが臆することはないぞ。
クリーチャーにも黒からの名スタッフが参入。《苦難の影》は余ったマナの使い道として、土地を引きすぎるゲーム展開に弱い赤単の弱点をカバー。《ミシュラの鋳造所》《ミレックス》と併せてマナを最後の最後まで打点として使い切る!
それから《墓地の侵入者》。このチョイスはシブいね。墓地を追放し、それがクリーチャーカードならライフを吸うという攻めの墓地対策。赤単のアグレッシブな戦術と噛み合いつつ、アトラクサを《ギックスの残虐》などでリアニメイトするデッキへの牽制として最適だ。トーナメントにおいてそれら墓地利用デッキが多いという読みからの黒タッチなのだろう、これが当たって7勝2敗の好成績に繋がったんだな。
どちらのデッキもコピーして実際に使ってみて、かなり勝てる強いデッキだった。《フェニックスの雛》や《鏡割りの寓話》などなど赤いカードの中でも両者のリスト間で採用カードの差異は見られるが、共通しているあるカードが赤いアグロの地力を大きく底上げしてくれていることを実感。《焦熱の交渉人、ヤヤ》!彼女は外せないね。
忠誠度の高いプレインズウォーカーで、4つの能力持ち。出してすぐに使える3つの能力が、どれも無駄にならず様々なゲーム展開にハマる。特に[+1]能力から入って、モンクで盤面作りながら[-1]能力でアドバンテージを取っていく……負ける気がしないゲームはヤヤがいないと始まらない!
というわけで、スタンダードオープンで活躍した赤単に1色タッチしたデッキを紹介させていただいた。どちらのデッキもMTGアリーナのランク戦でも勝てる、いきなり使っても大丈夫なオススメなリストだ。《銅線の地溝》《黒割れの崖》と3ターン目までならアンタップで出せる、ファストランドに赤絡みのものがあるからこそなデッキでもある。さあ、赤単に1色タッチして疾走感に柔軟性を併せ持ったデッキを組んでみよう!気持ち良くスタンダードを勝つなら赤がオススメ!
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