READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:夜警と祭壇、頑強コンボ!(ヒストリック)

岩SHOW

 やあやあクールな金曜日!今週もやってきた~Cool Deckのお時間だ。『ファイレクシア:完全なる統一』が日本にてリリースされて一週間。世界的には今週末が発売週末になり、本格的に盛り上がりだすタイミングだ。週明けには紙のカードを用いた大会結果も出始めて、各フォーマットの熱量がグッと増していくことになるだろう。されどこの回を作成しているのは日本における発売日前日。締め切りの関係上仕方がないが、だからと言ってクールなデッキが紹介できないわけではない。『兄弟戦争』環境におけるデッキを紹介する最後の回、そう考えればこれもクールなものだよ。

 今週のデッキは『兄弟戦争』がもたらしたカードによって成立したものだ。それじゃあクールにいってみよう!

MTGArenaOriginalDecks - 「黒単ミル」
ヒストリック (2023年1月28日)[MO] [ARENA]
19 《
3 《ファイレクシアの塔
-土地(22)-

4 《墓所破り
4 《よろめく怪異
4 《朽ちゆくゴブリン
-クリーチャー(12)-
4 《切り崩し
4 《命取りの論争
4 《ウォーロック・クラス
3 《願い爪のタリスマン
3 《不気味な教示者
4 《スランの夜警
4 《狂気の祭壇
-呪文(26)-

-サイドボード(0)-
AetherHub より引用)

 

このクールなデッキは?

 ヒストリックの《スランの夜警》コンボ!全く同じリストをレガシーで、《ファイレクシアの塔》を他のカードに置き換えればモダンでも再現可能だ。

 自分のターンにクリーチャーが墓地を離れると能力が誘発するという、特殊な引き金を持った《スランの夜警》。『兄弟戦争』のカードの中でもあまり使われていないカードではないかな。このエンチャントがもたらすのはクリーチャーに+1/+1カウンターを置くという、戦闘を重視したデッキには嬉しいボーナスだ。

 ただこのカードはそれだけではなく、コンボのお供でもある。死亡すると墓地から戦場に戻るという頑強能力。これは夜警の能力を即座に誘発させる。頑強はクリーチャーに-1/-1カウンターが乗っていない状態で死亡した際にのみ誘発し、戻すクリーチャーには同カウンターが1つ乗っている状態になる。-1/-1カウンターが乗ったクリーチャーが戦場に戻り、クリーチャーが墓地を離れたことで夜警が誘発。これでそのクリーチャーを対象にして+1/+1カウンターを置くと……これらのカウンターは相殺する。つまりカウンターが乗っていない真っ新なクリーチャーが復活した形になるね。これをまた死亡させる手段があれば?もう1回頑強で戻ってくる。その手段が使える限り、いくらでも戦場に戻ってくるというわけだ。

 これは要するに、マナを支払わずにクリーチャーを何度でも生け贄に捧げられる能力があれば、クールな事態に発展するってわけだな。このデッキがそのために選んだのは……

 《狂気の祭壇》ッッ!

 クリーチャーを生け贄に捧げ、それのパワー分だけ対象のプレイヤーのライブラリーを切削させる。初出は『テンペスト』、かれこれ25年以上の歴史を持った名アーティファクトだ。これがヒストリックで使えるのは『兄弟戦争』にて旧枠版アーティファクトとして再録されたためだね。マナが不要でクリーチャーを生け贄に捧げられるパーマネントのことを一部のプレイヤーは“サクリ台”と呼んでいる。サクリは生け贄の意味の英単語、サクリファイス/Sacrificeの略。そして台とはまさに生け贄を捧げる祭壇、このカードのようなもののことを指している。正真正銘のサクリ台!

 このクールなカードに《朽ちゆくゴブリン》を無限とも思えるほど捧げて、ゴブリンは永遠の死を繰り返す。そんな光景を見せられたプレイヤーが狂気に蝕まれるのも納得。対戦相手を対象にしてそのライブラリーを完全切削し、カードを引けない状況に陥らせて勝負ありッ!クールすぎる瞬殺コンボ、必要なカードは《狂気の祭壇》《朽ちゆくゴブリン》《スランの夜警》が3枚揃えば、それで勝てるというシンプルさ。さあ、夜警の目をかいくぐってゴブリンを祭壇へ!!(狂気の表情)

Ayase - 「アブザン厳粛」
ヒストリック (2023年1月25日)[MO] [ARENA]
4 《秘密の中庭
4 《花盛りの湿地
4 《寺院の庭
3 《草むした墓
3 《陽光昇りの小道
2 《枝重なる小道
1 《コイロスの洞窟
1 《低木林地
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《平地
-土地(24)-

4 《朽ちゆくゴブリン
-クリーチャー(4)-
3 《致命的な一押し
2 《神の怒り
2 《暗殺者の戦利品
4 《豊穣な収穫
4 《チーム結成
4 《牧歌的な教示者
4 《厳粛
4 《九つの命
4 《狂気の祭壇
1 《虚空の力線
-呪文(32)-

-サイドボード(0)-
AetherHub より引用)

 

このクールなデッキは?その2

 こちらは先ほどの《スランの夜警》コンボの発展版というところ。海外のデッキリスト掲載・投稿サイトなどではGreedy ○○というような表記を目にすることがある。「欲深い」という意味が示す通り、それらのデッキは欲張りなあれもこれも取り入れた詰め合わせリストになっていたりする。このリストはまさにGreedy!欲を追求すること、それもまたクールな姿勢だ。

 《狂気の祭壇》と《朽ちゆくゴブリン》での無限眼鏡を狙うのは同じだが、第3のコンボパーツに夜警以外のものを採用している。それは《厳粛》。このエンチャントはプレインズウォーカー以外のパーマネントにカウンターの類が一切乗らなくなる。これにより頑強の制約はなくなり、死亡したら真っ新な姿でゴブリンが帰ってくることになるのだ(朽ちてはいるのだがね)。

 この《厳粛》といえば、《九つの命》ともコンボを形成することで有名だ。ダメージを全て軽減する代わりに具現カウンターが増えていき、9個乗ると追放されてゲームオーバー。しかし横に《厳粛》があれば具現カウンターは乗らず、九つどころか永遠の命を得ることになる。ライフで敗北しなくなるので、相手の攻撃を無視して後は祭壇一式が揃うのを待つのみ。コンボのための時間稼ぎをコンボで行う、クールすぎる発想!コンボパーツが被っているからこそ許される異形の構築には痺れるね!

 ヒストリックであればサーチも豊富なのでコンボも成立させやすい。クリーチャーをゴブリン4枚のみに絞ることで《豊穣な収穫》で確実に手に入れられるのはスマートかつクール。キーカードがエンチャントなので《牧歌的な教示者》も万能だ。

 そしてモダンやパイオニアには存在しない、ヒストリックだからこそのカード《チーム結成》!デジタルならではの面白いサーチであり、4枚採用しているカードであれば概ねみつかるような、そうでないようなバランスが味わい深い。

 このデッキはコンボには緑が一切絡んでいないが、これらの優秀なサーチ及び《暗殺者の戦利品》のために白苦との2色ではまとめずに貪欲3色構造となっているのだ。欲に忠実に組まれたコンボ、クールじゃないか。

クールなまとめ

 今回は『ファイレクシア:完全なる統一』前の環境のデッキを紹介させてもらった。来週掲載分からは新環境!クールなカードが大挙して押し寄せてきて、マジックはどう変わるのか?一つ言えることは、世界に新たなクールが生まれることは間違いないって!それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Ready for completion!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索