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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

黒緑感染:新ファイレクシアの恐るべき“毒性”!(モダン)

岩SHOW

 おいおいおい、毒カウンターがまたやってきたぞ?『ファイレクシア:完全なる統一』のプレビューで毒に関するカードが公開された時はビックリだったね。考えてみれば新ファイレクシアの勢力が初めてカード化された『ミラディンの傷跡』でも数年ぶりに毒に関するカードが登場して驚かされたなぁ。毒カウンターを10個与えられたプレイヤーはゲームに敗北する。ヘビやサソリなどの猛毒を持った生き物がプレイヤーに戦闘ダメージを与えた際に、毒カウンターを与えるものがマジック黎明期に作られた。

 これらはライフを0にする以外の方法で勝つという、当時における数少ない手段。僕のようなマジックに対して天邪鬼な人間にとっては、なんともそそられるもので……毒殺デッキを作ろうと幾度もトライしたわけだが、古き時代のものはあまりにも貧弱過ぎた!同じマナ総量のクリーチャーと比べてスペックがかなり低く、そもそも攻撃を通すのが至難の業。対戦相手の繰り出す非毒性のクリーチャーにボコボコにされるのがお約束であった……思い出しただけで泣けるぜ。

 そこから10年以上経って、『ミラディンの傷跡』ブロックにて感染能力が登場。プレイヤーにダメージを与える際は毒、クリーチャーに与える際は-1/-1カウンターを乗せるというかなり強い形で毒が帰ってきた。これらのクリーチャーはダメージ効率にも優れており、多くのプレイヤーが感染デッキを手にしたものだ。

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 2023年最初のセットが連れてきた毒に関するクリーチャー、それらは新能力「毒性」を持つ。これを持ったクリーチャーが対戦相手に戦闘ダメージを与えたら、追加で設定された数値分の毒カウンターも与える。感染よりは毒効率は良くはなく、戦闘でクリーチャーを弱体化させることも出来ないが、毒デッキが再び組めそうなのはマニアには嬉しいね。対戦相手が毒カウンターを3個以上持っている場合はボ-ナスを得られる堕落という能力も同時に登場したので、毒を与えつつ別の手段で勝つというテクニカルな運用が出来そうだ。

Cyle Yambo - 「感染」
$20K RCQ SCG CON New Jersey 15位(10-3) / モダン (2023年1月13日)[MO] [ARENA]
4 《吹きさらしの荒野
2 《草むした墓
2 《花盛りの湿地
3 《育成泥炭地
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《ペンデルヘイヴン
4 《墨蛾の生息地
2 《
-土地(21)-

4 《下賤の教主
4 《ぎらつかせのエルフ
4 《疫病のとげ刺し
4 《ファイレクシアの十字軍
2 《水晶壊し

-クリーチャー(18)-
3 《思考囲い
3 《致命的な一押し
1 《四肢切断
4 《巨森の蔦
4 《古きクローサの力
4 《厚鱗化
2 《蛇皮のヴェール
-呪文(21)-
4 《忍耐
3 《夏の帳
2 《窒息
2 《活性の力
2 《自然の要求
1 《嵐の乗り切り
1 《残忍な切断
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 こちらは現モダンでの感染デッキの一例だ。《ぎらつかせのエルフ》《ファイレクシアの十字軍》ら優れたスペックの感染クリーチャーを用いてスピーディーな決着を狙う。

 感染持ちは《巨大化》のようなカードでパワーを上昇させてやれば、通常のクリーチャーを強化するよりも対戦相手に与えるダメージ効率が2倍になる。それを活かした、コンボチックなビートダウンといったところかな。

 本デッキは《古きクローサの力》のような低コストでクリーチャーのサイズを大きく修正する呪文をたっぷりと採用している。特に注目は《厚鱗化》。1マナでパワーが6になるとんでもソーサリーで、これでワーム化した感染クリーチャー2体で攻撃したり、それをさらに強化すれば毒殺完了!このスピード感は感染デッキならでは。

 さらに《水晶壊し》はパーマネント破壊の妨害手段でもあり、変容させたクリーチャーのサイズを4/4に引き上げながらトランプルも与える攻めのカードとしても隙がない。毒殺が狙えない、あるいは自身のライフを失わせるようなデッキ相手にはこれを素出ししてダメージでの勝利を狙えるのも嬉しいナイスチョイスだ。

 この手のクリーチャーを強化するコンボは、クリーチャー除去に弱いのが世の常。強化!→じゃあそれにインスタント除去!と動かれると、クリーチャーとそれを強化する呪文とで1:2交換を取られて大損だ。そこから立て直すのは大変なんだけども、感染デッキはクリーチャー強化の呪文枠に《巨森の蔦》《蛇皮のヴェール》などのクリーチャーに呪禁をはじめとする除去耐性を与えるカードを採用することで耐性を高めている。

 また《墨蛾の生息地》も搭載しており、《神の怒り》などでクリーチャーを一掃された返しにもこれを飛ばして毒投与を途切れなく決行。瞬殺系でありながらも実は意外と粘り強いデッキでもあるってわけだね。

 さて、そんな感染デッキに新しい毒関連のカードが加わるだろうか?『ファイレクシア:完全なる統一』の毒性と堕落、それぞれの能力を持ったカードを眺めると……どうしても目が留まるのは《敬慕される腐敗僧》だな。

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 1マナ1/1で毒性1、《ぎらつかせのエルフ》より毒効率は劣るが、最低限の毒攻め要員になる。そして自身のクリーチャーが呪文の対象になるたびに毒を与えるという、戦闘をせずとも毒を与えられる恐るべき能力!感染デッキなら上述のように自身のクリーチャーを対象とするのは簡単だ。ブロック役が無数にいたり、《罠の橋》などでさえぎられた状況下でも毒を与える手段として白羽の矢が立ちそうな予感だ。

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 また《種子中枢》も要注目。感染および毒性を持つクリーチャーはすべてファイレクシアンのタイプを持っている。そのためこの土地は、毒殺WINを狙うデッキの多色化を大きく後押ししてくれる。緑を中心に、黒か青と組み合わせた2色にまとめられてきた感染デッキだが、この5色土地の参入で3色以上の可能性も開けたか?今セットには白などにも毒性および堕落のカードが見られるので、新しいモダンのアーキタイプを君の手で構築してみよう。ただの色マナの安定化だけでなく、堕落の条件を満たせば1/1のクリーチャーのパワーを2も上昇させる起動型能力まで持っており、《墨蛾の生息地》などと組み合わせて最後の一押しをねじ込むのもむちゃくちゃ強そうだなぁ。

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 個人的に注目しているシブい1枚は《病毒の繁殖》。3マナで3/3のトークン生成、フラッシュバックで再利用可能なソーサリーと《獣群の呼び声》を思い出す。息切れ防止、毒殺ではない殴り勝ち要員にもなるのでサイドボードから投入して消耗戦を競り勝つ……みたいなことをしてみたいね。

 上記のカードはモダンの感染デッキの新戦力なだけでなく、もちろんスタンダードでも新しい「毒性」なるアーキタイプを確立してくれるだろうなと、大いに期待しているよ。

 そして3月に開催予定のプレイヤーズコンベンション横浜2023、オープントーナメントのフォーマットはモダンとスタンダードで行われることが発表された。当日会場にて、毒カウンターが飛び交うゲームを観るのが今から楽しみだ。地球上の様々な毒には血清が作られているものもある。ファイレクシアの毒に立ち向かうにはどのようなカードが存在するか?各自脳裏に留めながら新環境に備えよう。

 余談だが、大昔には《Leeches》なんていう毒を無効化するカードも作られた。

 これは弱すぎるカードを議論する際に度々取り上げられる1枚だ(笑)。デッキにはいることはほぼないだろうが、新環境で毒にやられないようにお守り感覚でコレクションに加えても良いかもね!

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