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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
プリズン・トロン:恐怖の監獄実験(モダン)
2つの概念を融合する。デッキ構築を楽しむ上で、チャレンジしがいのある試みだ。あまりにも相反するコンセプトは難しいだろう、土地を一切用いない「マナレス・ドレッジ」と打ち消しや除去を用いるどっしり構えたコントロールを融合!なんかは無茶苦茶な話であるが、まあこれは極端な例として(笑)。ちょっと重なりそうな部分がある2つのデッキ、2つの概念、2つの流派……それを融合して一つのデッキとして仕上げるのはとても有意義なもので、デッキ構築の醍醐味である。
強いデッキ同士をかけあわせて良いとこどりのハイブリッドを狙うもよし、クセのあるデッキの弱点をカバーする新たなアプローチを模索するもよし。今回も2つのコンセプトが同居するデッキを紹介しよう!まずはリストをご覧あれ。
4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 4 《ウルザの塔》 4 《ウルザの物語》 1 《宝石の洞窟》 1 《爆発域》 3 《発明博覧会》 1 《島》 -土地(22)- 4 《呪文滑り》 4 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(8)- |
4 《探検の地図》 4 《血清の粉末》 4 《神秘の炉》 4 《虚空の杯》 3 《罠の橋》 3 《石の脳》 1 《地獄料理書》 1 《真髄の針》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《バジリスクの首輪》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(30)- |
3 《四肢切断》 3 《溶接の壺》 2 《漸増爆弾》 1 《罠の橋》 1 《液鋼の塗膜》 1 《真髄の針》 1 《隔離するタイタン》 1 《石の脳》 1 《倦怠の宝珠》 1 《取り憑かれた扉》 -サイドボード(15)- |
モダンのデッキであるが……まず正真正銘の無色デッキ!有色のカードはサイドボードの《四肢切断》3枚のみという徹底っぷりだ。そしてリストを眺めてまず目に飛び込んでくるのは「ウルザの」タイプを持った土地。《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》そして《ウルザの塔》。これら3種が戦場に揃った時、それぞれが無色マナを大量に加える土地に大化けする。
この3枚をいち早くそろえて《解放された者、カーン》のような高コストな無色カードを早期ターンより叩きつけて勝利する……そんなデッキを「トロン」と呼ぶ。このアーキタイプ名は実験室的な意味合いで、ウルザが彼の施設に籠って火花を飛ばしたりしつつアーティファクトなどを作り出すさまをイメージしてつけられたものなのだろう。トロンとはとにかく重くパワフルなカードを使う、という概念。
このリストでこのトロンと同居するもう一つの概念は「プリズン」だ。牢獄という意味の英単語だが、マジックにおけるプリズンの概念はその名の通り対戦相手を閉じ込めるもの。古くは《ハルマゲドン》で土地を破壊したり、《冬の宝珠》などのアンタップ阻害を用いつつ《氷の干渉器》で土地をタップなんかして対戦相手のマナの支払いをなりたたくさせる=何もさせないことを狙うデッキのことだ。
最近のプリズンは《罠の橋》で攻撃を禁止、《血染めの月》で基本でない土地を機能不全に、《虚空の杯》でオート打ち消し……などの要素を備えたデッキをプリズンと呼ぶね。
さて、トロンとプリズン。土地を3種類そろえて爆発的なマナを得る概念と、相手の行動を縛り続けるという概念……プリズンの土地を山にしたりアンタップ阻害などの要素はトロンと相反するものではあるが、何もそれだけがプリズンの手法ではない。
このリストでは無色のカードを用いて、トロンによる大量のマナで牢獄に封印するという戦術を用いている。マナがあるということは《虚空の杯》はかなり強く使える。これをX=0~2で設置するデッキは多いが、トロンであれば6マナ以上を支払って3マナ以上の呪文も完封してしまうことも狙える。
そしてもう1枚、《大いなる創造者、カーン》は重要なプリズン要素だ。大量のマナを生産できるデッキであれば選択肢に上ってくるこのカード、状況や相手のデッキに併せてサイドボードからアーティファクトを手札に加えてゲームを優位なものとする環境を問わず活躍する無色カードの代表格だ。
このデッキがサーチしてくるプリズン要素は、まずはやっぱり《罠の橋》。メインに3枚、サイドに1枚。カーンが4枚という構成にすることで実質的に《罠の橋》が7枚という防御性能に長けたデッキの完成だ。
そして《液鋼の塗膜》はカーンと組み合わせる超定番。対戦相手のアップキープに土地やクリーチャーやプレインズウォーカーなどをアーティファクト化させ、カーンの常在型能力でそれらの能力起動を阻止する。
土地が能力を起動できなくなるってことはマナを加えられなくなるってこと。こちらはトロンでブンブン、相手は常に1マナ抑えられているという格差をもたらそう。《隔離するタイタン》で土地を破壊しておけばなおのことこのマナロックは機能してくれることだろう。
これらのマナロックをさらにプッシュ、相手の戦場がどんどんと弱くなっていくのを後押しするのが《取り憑かれた扉》!プレイヤーはカードを引けなくなる!悪魔じみたドローロックに加えて、各ターンの終了に全てのプレイヤーに対して手札を捨てるかパーマネントを生け贄に捧げるかを迫ってくる。えげつないロック性能に、対戦相手は悶絶すること間違いなし。
{8}と重いコストもトロンであれば設置可能で、少ない枚数の土地で十分なマナが得られるこのデッキなら多少土地を生け贄に捧げても痛くはない。ドローは飛ぶが、こっちはカーンの能力で手札にカードを「加える」という形で資源を確保するワルっぷり。いやぁ、こんなアーティファクトを出されたらたまったもんじゃないね。トロンだからこそできるパワフルなプリズン、カッコいいじゃないか。
相手の盤面が空っぽになれば、この門を自身の能力で生け贄にしてこちらは悠々と立て直していけば良い。対戦相手のリカバリーは《石の脳》で重要カードを引っこ抜いて阻害だ。閉じ込めて勝つ、何も出来ない相手には負けるはずがないのだ。
このデッキの特徴を最後にもう一つ。たっぷり採用された《呪文滑り》だ。呪文や能力の対象をこれに変更するという特異な能力を持っているこのカードで、《罠の橋》《虚空の杯》などのキーカードをがっちりと保護するのが狙いだ。
そしてサイドボードの《溶接の壺》!これがいっぱい用意されているのは、カーンで持ってきて《呪文滑り》の横に並べて、アーティファクト破壊の対象を滑りに変更、壺で再生することで盤面保持を継続させるのだ。
特に現モダンで飛び交う《耐え抜くもの、母聖樹》を意識したチョイスなんだろうね。この土地はアーティファクトだけでなく、トロンの心臓とも言えるウルザの土地すらも破壊してくる。《虚空の杯》で打ち消せない方法で干渉してくるこの厄介な古木に対してのアンサーが《呪文滑り》&《溶接の壺》!
絶対防護を用意して、後は監獄の扉を開くのを待つのみだ。さあ、ウルザの研究室でマナを得て対戦相手を完封せよ!
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