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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
赤単エルドラージ:アンソロジーがもたらす無色軍団!(パイオニア)
これを書いているのは『エクスプローラー・アンソロジー2』のリリース直前。
2022年は夏の予選から11月末の本戦まで、チャンピオンズカップ関係でパイオニアのシーズンが続いていた。自身でプレイしたり、あるいは動画で観たりしてパイオニア熱が大きく高まったプレイヤーは少なくないはず。
MTGアリーナにはまだパイオニアは導入されていないが、その土台となるべくエクスプローラーが設けられている。今後このフォーマットで使用可能な過去のセットが「リマスター」などでリリースされて、最終的にはパイオニアへと移行する予定だ。
セットがリリースされるためには時間を要するので、パイオニアで使用されるカードを抜粋して特殊再録した「アンソロジー」をリリースすることで環境が変化することを狙っているというわけだ。
前回のアンソロジーは……いちユーザーとして正直なところ、パイオニアに近づくにはやや力不足に感じるラインナップだった。それを踏まえてか、今回は待望の《ニクスの祭殿、ニクソス》や《変わり谷》が収録!
《サテュロスの道探し》《万神殿の兵士》といったシブい脇役も収録され、エクスプローラー環境がよりパイオニアに近づくことが期待される。
そして遂に、エルドラージがアリーナに本格参戦! 既存の《絶え間ない飢餓、ウラモグ》に続く形で、『ゲートウォッチの誓い』に収録されているエルドラージが5種類収録されている。いずれも無色マナを含むコストや能力を持ち、当時のマジックの常識を塗り替えたものだ。
これらのカードは現行のパイオニアのトーナメントにおいて主役級の活躍をしているか、というとそうでもない。ただ、根強いファンがいることもまた事実だ。エルドラージが使えるからパイオニアをプレイしているという根っからのエルドラマニアも少なくないはず。
今回はパイオニアのリストを見てみよう。エクスプローラーにおけるエルドラージ使用デッキを考えるアイディアの元になれば幸いだ。
7 《山》 2 《バグベアの居住地》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 4 《大瀑布》 4 《ダークスティールの城塞》 4 《廃墟の地》 1 《爆発域》 1 《屍肉あさりの地》 -土地(24)- 4 《砕骨の巨人》 4 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 2 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(14)- |
3 《棘平原の危険》 4 《浄化の野火》 3 《溶岩コイル》 1 《次元の歪曲》 4 《鏡割りの寓話》 3 《領事の旗艦、スカイソブリン》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(22)- |
1 《双弾の狙撃手》 1 《不屈の巡礼者、ゴロス》 1 《焼却の機械巨人》 1 《隕石ゴーレム》 1 《トーモッドの墓所》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《魂標ランタン》 1 《減衰球》 1 《風化したルーン石》 1 《王神の立像》 1 《影槍》 1 《キランの真意号》 1 《未認可霊柩車》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
「赤単エルドラージ」、『兄弟戦争』リリース前のリストなので《溶岩コイル》が採用されているが、この枠は《抹消する稲妻》に置き換えて考えよう。
このデッキは要するに赤単色で組まれたミッドレンジ。《砕骨の巨人》のようなコスト比に優れたカードを採用し、相手の速度によって攻めにも受けにも回れるアーキタイプだ。
単色と言えど《鏡割りの寓話》《大いなる創造者、カーン》《領事の旗艦、スカイソブリン》とパイオニアの他のデッキでもバキバキに活躍中のパワーカードがズラリ。
赤単色でまとめることで色事故のリスクを極力抑えつつ、無色土地を採用する余裕があるので無色マナ要求エルドラージを運用可能に。無色カードを考えれば、単色と言うものの「1.5色」くらいの感覚かな。
このリストに見られるエルドラージは2種類、ちょうどアンソロジーに収録される《作り変えるもの》&《難題の予見者》だ。
《作り変えるもの》は死亡時に誘発する能力で、自身と同じ3マナ相当のパーマネントを戦場に残す(かもしれない)1枚。パワー3のクリーチャーは攻防両面で無視できない存在なので除去したいものだが、下手するとこれから《鏡割りの寓話》のようなより強いカードに化けてしまう可能性も。
そういうモヤモヤした迷いを生じさせるだけで3マナのクリーチャーとしては十分な働き、たとえめくれたのが土地だったとしてもパーマネントが増えるという事実はゲームに影響を及ぼすし、4マナ以上のカードだったりパーマネントじゃないカードが公開されたとしてもそれは手札に入るので、アドバンテージは確実に稼いでくれる。
対して《難題の予見者》は相手の手札を1枚抜き去る能力持ち。コンボパーツやフィニッシャー、アドバンテージ源など最も厄介なものを抜き去ってプランを崩しつつ、4/4というナイスボディで攻めろ!
死亡時にカードを1枚引かせてしまうデメリット付きだが、追放した手札は帰ってこないので細かいことは気にしない方向で。どちらのエルドラージも《キキジキの鏡像》でコピーすれば対戦相手にとってはこの上なく厄介なものでもある。無色クリーチャーならではのカードパワーで圧倒せよ!
このデッキのテクニックとして触れておきたいのが無色土地の活かし方。《大瀑布》《ダークスティールの城塞》と破壊不能を持つものがたっぷりと。
これらと《浄化の野火》の組み合わせが秀逸だ。
土地を破壊してその代わりになる基本土地を提供する野火、対戦相手の《変わり谷》のようなクリーチャー化する土地に撃ち込んでも良いが、自身の破壊不能土地を対象にすると……破壊されないのでノーリスクで基本土地を1枚増やしつつ、カードを1枚引くので手札の損失もナシ! 実質無料のマナ加速でカーンや《栄光をもたらすもの》などの重めのカードを唱える基盤を作っていこう。
そのカーンから持ってくる《不屈の巡礼者、ゴロス》と《大瀑布》で物量差で押し込む! フィニッシャーにも繋がる素敵な土地なのだ。
エルドラージの襲来はアリーナをさらに刺激的なゲームへと引き上げてくれる予感。初出から7年近く経つカードなのだが、今見ても色あせない革新的なデザインの無色マナ要求カードたち。その魅力を、この機会に徹底的に味わい尽くそう!
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