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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
サヒーリ金床:意外なようで納得の選出(スタンダード)
『兄弟戦争』というセットについて発表されてからリリースまでの約1年。とにかくいろいろ考えていた。
なぜこのタイミングでドミナリアの歴史をさかのぼるのか?というこのセットの存在理由、背景ストーリー的な意味合い。そして収録されるカードはどんなものになるのか、ゲーム上でどんなセットとしてこの魅力的な時代を再現するのか。
カードについて考えた時に悩んだのは「プレインズウォーカーってどうなるんだ?」と。
ウルザとミシュラの兄弟戦争時にはプレインズウォーカーであるキャラクターは登場しない。決着がついたのちにウルザがプレインズウォーカーへと変化するわけだが……まずこのウルザをカード化するのかということ。そしてウルザ以外にプレインズウォーカーは出てくるのか?と。
ウルザは旧世代のプレインズウォーカーの中でも特に強者であるため、どのようにカードとして再現するのか? 下手したらぶっ壊れカードになるんじゃないかという危惧。
これはまさかの合体カード《プレインズウォーカー、ウルザ》が打ち砕いてくれた。
その手があったかぁ~と。ただ唱えるだけじゃなく条件の厳しい合体カードであれば、桁違いの強さを持ったプレインズウォーカーとしてデザインしても問題なし! 天才かよ。
そして後者の、他のカードは?という疑問。これにはまさかの現役世代のプレインズウォーカーからテフェリーと、そしてまさかのサヒーリが参戦する形に。
こうして『ゼンディカー』から続く、スタンダード経由の通常セットにプレインズウォーカーが収録される流れは維持されたのだった。
テフェリーはウルザと関係が深い、直弟子なので納得だったが、サヒーリは意外だった。サヒーリ? しかし彼女はテフェリーの魂を過去に送るためのキーアイテム、《時空錨》を製造するという重要な役目を担っていたので、このチョイスにも納得させられた。
アーティファクトに関するプレインズウォーカーというのもセットの他のカードとのシナジー(相互作用)が見込めて、隙のないグッドチョイス!
というわけで今回は『兄弟戦争』収録、《金線使い、サヒーリ》を用いたデッキを紹介しよう。今回も彼女のアイデンティティ・カラーである青赤2色のものとしてデザインされ、占術&ドロー、飛行機械・トークン生成、アーティファクト・クリーチャー強化&アーティファクトコスト軽減という内容。4マナという手ごろさでどのモードにも癖はなく、飛行機械には速攻もついているので対プレインズウォーカーにも強いという扱いやすい仕上がりだ。
特に[+1]能力を上手く使えてこそ本領を発揮する1枚で、これのためにタップする軽量アーティファクトを常時用意できるデッキに採用したい。
というわけで今回のオススメは……
2 《沼》 2 《山》 4 《ザンダーの居室》 4 《硫黄泉》 2 《憑依された峰》 2 《難破船の湿地》 2 《地底の大河》 4 《シヴの浅瀬》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 -土地(24)- 4 《税血の収穫者》 3 《第三の道の偶像破壊者》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(8)- |
4 《ミシュラの研究机》 4 《電圧のうねり》 2 《実験統合機》 1 《踊り食い》 4 《鬼流の金床》 3 《喉首狙い》 4 《鏡割りの寓話》 2 《勢団の銀行破り》 4 《金線使い、サヒーリ》 -呪文(28)- |
3 《強迫》 2 《切り崩し》 3 《削剥》 1 《魂転移》 2 《未認可霊柩車》 2 《ヴェールのリリアナ》 2 《敵対するもの、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
スタンダード、黒赤の《鬼流の金床》デッキに《金線使い、サヒーリ》を組み込んだものだ。
アーティファクトを生け贄に捧げてライフを攻めつつ、構築物も生成する《鬼流の金床》。この強力な各種シナジー形成カードを用いて、《税血の収穫者》《実験統合機》《鏡割りの寓話》などと組み合わせてアドバンテージを得てじわりじわりと優位に立つ、そんな通好みのデッキが前スタンダード環境でも愛好家を生みだしていた。
継続したトークン生成とライフ吸収により。相手の攻撃をブロックで受け流しつつ気が付けばライフ逆転!という柔よく剛を制すを体現したデッキである。
金床が複数枚並べばアーティファクト1つの生け贄からワラワラと構築物が湧いてきて、たかが1/1とはバカにできないパワフルな盤面を形成する。
そんなデッキにサヒーリが組み込まれるのは自然な流れだね。彼女もまた飛行機械を生成して、金床のための生け贄要員を提供。また金床から出てきた構築物をタップしてドローし、その後金床で生け贄という無駄なく資源を最大限に活用する方法もある。
そして金床と好相性の《実験統合機》や各種トークンもサヒーリと組み合わせればその価値を大きく高められる。紋章を得れば構築物だって2/2で、これが毎ターンポコポコ出てきたらそりゃあたまったもんじゃないぜ。
トークンと言えば新たなアーティファクト・クリーチャー生成カードとして《第三の道の偶像破壊者》も見逃せない。
非クリーチャー呪文を唱えれば兵士を呼び出す、継続して盤面を作っていく、か~な~り、かなり強いクリーチャーだ。軽い非クリーチャー呪文が揃うモダンなどでの活躍が期待されているが、スタンダードでだってそのポテンシャルを発揮するぞ。ガンガンとトークンを量産し、戦場を機械の兵団で埋め尽くそう。
さらに1枚、この金床デッキを大きく強化するものを紹介しておこう。《ミシュラの研究机》だ。
ライブラリーからカードを追放してプレイできるようにする、赤得意の「衝動的ドロー」と呼ばれるアドバンテージ源だ。
《実験統合機》と同様の役割を担うが、この研究机の良いところは戦場に出た時にライブラリーを追放するわけではない、というところ。能力を起動してこそ、その衝動的ドローを行えるため、マナは余分にかかってしまうのだが……
戦場に出た時に誘発する《実験統合機》はマナなどの呪文を唱える体制が十分に整っていない状況でも必ず追放しなければならない。そのため《第三の道の偶像破壊者》の誘発やサヒーリのタップ役のために唱えた場合、能力がスカって活かせない場面が発生する。
それに対して《ミシュラの研究机》はとりあえず誘発やタップ要員として出しておいて、後から生け贄に捧げて衝動的ドローを行えるという、器用で無駄になりにくい1枚になっている。蘇生で再利用もでき、1枚で2回分の生け贄を発生させるので金床との相性も◎。さすがはミシュラ謹製の机! 彼の名を冠するカードは質の高いものが多く、この新製品も今後要注目な1枚だ。
サヒーリやその他新戦力が加わり大きく強化された《鬼流の金床》デッキ。アーティファクト好きにはたまらない、コツコツと盤面を作り勝利を目指す職人系デッキのトリコになるプレイヤー、『兄弟戦争』環境で続出しそうな予感だね!
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