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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ディミーア・サードパス:進め第三の道(パイオニア)
4年前、2018年にリリースされた『ドミナリア』。新メカニズムとして目玉であった英雄譚、その初見時の衝撃は今でも忘れることはない。
縦長のテキストにアートという特殊なデザインの枠、3つの章を経由する能力はドミナリアの過去のイベントを表している。歴史を語る上でこの上ない新タイプの出現に胸が躍ったものだ。
その後テーロスや神河といった歴史ある次元が舞台となるたびにこの英雄譚は再録された。『ドミナリア』1回こっきりじゃない、それにもビックリしたよね。
『団結のドミナリア』では前作では描き切れなかったドミナリアの歴史を再度英雄譚でカード化。よりマニアックなチョイスがたまらないラインナップとなっている。
今回はその中から《第三の道の創設》について解説しよう。
「第三の道」というのはフェルドンが参加した運動だ。遥か昔、ウルザとミシュラの兄弟がお互いの技術をぶつけ合う戦争を開始。ドミナリアの工匠たちはどちらかの勢力に属する形なったが……その双方に与することなく戦火に耐えながら技術力を高め、機があれば兄弟両陣営も倒してしまおう!という一派が第三の道と呼ばれた。ここにフェルドンも加わり、ウルザともミシュラとも異なる魔法と科学技術の研究が行われた。次のセット『兄弟戦争』でそのあたりも今一度描かれそうで、このカードはいわば予告編的な存在も兼ねているんだね。
カードとしての能力は、プレビュー時に勘違いされたことでも有名になったね。Ⅲ章能力により墓地のインスタントかソーサリーを追放、そしてそれをコピー。そのコピーを唱えられる……というものだが、このコピーを唱えるのには当たり前なのだがコストの支払いが必要だ。コピーする=コストが踏み倒されて唱えられていると思ってしまいがちだが、それは唱えられている呪文をコピーした時の話だね。唱えられていない状態のカードをコピーするという処理は過去にも例が少ないので、慣れないと正しい挙動を把握できないのも仕方ないことかも。コストの支払いが不要な時にはⅠ章能力のようにしっかりとそれが明記されているので、気を付けてテキストを読んでいれば間違えることはないはずだ。
そんな《第三の道の創設》は上手く使えばアドバンテージが獲得できる、墓地とインスタント&ソーサリーに関係する1枚。Ⅱ章能力の切削の対象を自身にすることで墓地を増やしてⅢ章能力の選択肢を広げられる。結局のところ手札や墓地の状況に左右されるカードなので、常に同じ挙動をしてくれるわけではないのだが……だからこそデッキ構築のやりがいもあるってもんよ。
今日はこの英雄譚を主役にしたデッキを紹介だ!
2 《島》 1 《沼》 4 《湿った墓》 3 《難破船の湿地》 3 《清水の小道》 2 《ロークスワイン城》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 2 《寓話の小道》 -土地(22)- 4 《帳簿裂き》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《トレイリアの恐怖》 -クリーチャー(12)- |
4 《考慮》 4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 2 《血の長の渇き》 2 《選択》 4 《第三の道の創設》 4 《真実の視認》 2 《パワー・ワード・キル》 -呪文(26)- |
1 《墓地の侵入者》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《スカラベの神》 2 《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《真っ白》 2 《神秘の論争》 2 《絶滅の契機》 1 《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
パイオニア環境の青黒2色デッキ……これまで同環境ではあまり見ることのなかったタイプの作りだ。
《血の長の渇き》《思考囲い》など軽くて強い呪文を使いまわすことで、気軽にアドバンテージを稼ぐ戦法を用いる。
特に《致命的な一押し》はⅢ章能力で英雄譚が墓地に落ちることで紛争能力を引き出すこともできて相性◎。
そして、相性という点で格別なのが……《真実の視認》!
普通に手札から唱えればライブラリーの上から3枚見て1枚手札に加えるだけだが、それ以外の領域から唱えられればその3枚を全部まとめてプレゼント! 2マナで手札が2枚増える効率の良さに比肩する呪文はそうそうないぞ。
この《真実の視認》本気モードを引き出すために《第三の道の創設》のⅢ章能力を用いるのだ。これが決まれば圧倒的な手札の枚数差をつけることができる!
《真実の視認》はⅠ章能力で唱えたりⅡ章能力で切削したりはもちろん、《帳簿裂き》や《考慮》も駆使してスムーズに墓地に送り込みたい。
《ヴリンの神童、ジェイス》はこれを助けるとともに、《束縛なきテレパス、ジェイス》に変身すればこれでも墓地から視認を唱えられるぞ。
《第三の道の創設》は先読という能力を持ち、どの章からでも能力を誘発させられる。《真実の視認》が墓地にある時にトップデッキしたら、いきなりⅢ章能力から使って手札をホクホクに満たそうじゃないか。
《第三の道の創設》×《真実の視認》などの美味しい再利用を活かすために墓地を肥やす要素が増えているので、フィニッシャー枠は《トレイリアの恐怖》!
このリストであれば1マナで唱えるなんてことも簡単だろう。視認から大量に引き込んだ海蛇でノックダウン!
《黙示録、シェオルドレッド》もジェイスや《帳簿裂き》、《考慮》《選択》と何かとドローを行うこのデッキではもりもりとライフを回復させてくれる。構築を歪ませる要素抜きでライフ回復手段を得たのは本当に大きい収穫だ。
この手の工夫して手札を増やす類の青いデッキはいわゆるテンポデッキと呼ばれるもので、線の細いクリーチャーで勝利する構成のものが多い。上記の2大フィニッシャーはそんなありきたりを無視したパワフルさで対戦相手をコテンパンに叩きのめしてくれることだろう。細いと見せかけて隠れマッチョ!
《第三の道の創設》、これはなかなかに奥が深いカードだ。青い墓地利用デッキの新たな選択肢、この英雄譚を活かすにはとにかく構築へのこだわりが重要。このパイオニアのリストはまさしくお手本と呼べるもので、カードの並びの美しさには思わず見入ってしまうレベル。気になったらまずはこのリストを真似するところから始めて、黒以外にも相性の良い色はあるか?とか、各自のアイディアを炸裂させてほしい。新たな道を発見せよ!
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