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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ソルカナー、裏切らせないテクニック(スタンダード)
前回でも触れたが、「ジャパンオープン2022」はミッドレンジ(中速デッキ)大決戦の場となった。
中でも脚光を浴びたのは黒! 黒がど真ん中をのし歩いた結果、トップ8進出デッキはすべて黒! ファイレクシアの侵攻のごとく黒に染まった決勝ラウンドとなった。
黒単色はもちろんのこと、優勝したエスパーにマルドゥにジャンドにと……黒に他の色を1~2色足した構成のデッキがズラリとひしめき合う形に。
各々が何を求めて色を足しているのか、それによって同じ黒いカードを使っていても毛色は全く異なるものに仕上がっている。今回はその中でもトップ8に1名を送り込んだグリクシス(青黒赤)カラーのリストを振り返ってみよう。
2 《沼》 1 《山》 4 《ザンダーの居室》 1 《ラフィーンの塔》 4 《難破船の湿地》 3 《シヴの浅瀬》 3 《嵐削りの海岸》 2 《憑依された峰》 3 《硫黄泉》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(26)- 4 《税血の収穫者》 2 《しつこい負け犬》 4 《死体鑑定士》 2 《復活したアーテイ》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《穢れたもの、ソルカナー》 -クリーチャー(17)- |
3 《電圧のうねり》 1 《呪文貫き》 2 《冥府の掌握》 2 《かき消し》 1 《否認》 4 《鏡割りの寓話》 2 《食肉鉤虐殺事件》 2 《勢団の銀行破り》 -呪文(17)- |
2 《黙示録、シェオルドレッド》 3 《強迫》 1 《切り崩し》 2 《削剥》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《魂転移》 1 《食肉鉤虐殺事件》 1 《勢団の銀行破り》 1 《未認可霊柩車》 1 《不笑のソリン》 -サイドボード(15)- |
グリクシスをやる理由、とはなんだろう。その簡単な答えがこのリスト上で4枚強気に主張している。《穢れたもの、ソルカナー》!
まさかの《沼地の王ソルカナー》のその後の姿がカード化だ。もともとは森を守るスピリット、その森が不浄の沼地となったことでソルカナーも堕落してデーモンに。さらに長い年月を経て、エレメンタルの要素も手に入れたようだ。
多元宇宙の悠久の歴史を感じさせるエピソードであるが、年月はカードとしての性能も大きく変化させることになった。ソルカナーはターン終了時に誘発する能力持ちで、4つのモードからまだ選ばれていないものを解決していく。その中には対戦相手にコントロールが移るというものがあり、しかも一度追放されるので能力はリフレッシュされる。寝返ってこちらにワルさをしてくるということで、簡単には手懐けられないデーモンらしいデザインが施されているのだ。
このモードだけはご勘弁願いたいが、あとの3つはドローに除去にドレインにと戦況をコントローラーの有利に導く火種となるものが揃っている。5マナ5/5というマッチョボディも相まって、中速デッキ同士がぶつかり合う戦場に大きなインパクトを与えてくれるクリーチャーである。
このソルカナー、寝返る前にゲームが終われば問題はないが……ロングゲームになりがちな現環境では裏切りの4ターン目を迎えてしまうかもしれない。これを防ぐには《冥府の掌握》などで除去する手もあるが、美味しくはないよね。
そういう理由もあって4枚採用されているということなんだな。伝説のクリーチャーであることを利用し、モードを使い切ったソルカナーがいるところに新しく2枚目を投下。レジェンド・ルールにより古い方を墓地に送ることで、この悪党に心機一転、真面目に仕事をやり直してもらうという寸法だ。
あるいはワルには別の悪で迎え撃つという作戦も。《復活したアーテイ》だ。
彼の能力もモードを選ぶ。クリーチャーかプレインズウォーカーの破壊、あるいは呪文か能力の打ち消し。これを行った後に破壊されたパーマネント or 打ち消されたもののコントローラーはカードを1枚引く。便利すぎる能力なので多少の対価は払うぜというファイレクシアの余裕といえようか。
これを自分のソルカナーに用いることで……裏切る能力を避けつつ自分がカードを1枚引くという、どこまでも貪欲で果てしなく強欲なコンボを内蔵している。コンボを抜きにしてもアーテイは単純に強い打ち消し兼除去なので、上手く使ってゲームの支配権を手繰り寄せよう。
《鏡割りの寓話》を筆頭に《税血の収穫者》《死体鑑定士》とグリクシスの強いところをたっぷり採用。
ソルカナーに頼らずともこれらだけでも勝ててしまうデッキパワーの高さがセールスポイントだ。
この純粋なグリクシスに対して、さらに色を足してデッキパワーを限界まで引き上げているリストも見つけたので、そちらも併せて紹介しよう。
1 《島》 1 《沼》 1 《山》 1 《森》 1 《貴顕廊一家の劇場》 1 《土建組一家の監督所》 3 《ザンダーの居室》 3 《ジアトラの試練場》 2 《死天狗茸の林間地》 2 《難破船の湿地》 1 《シヴの浅瀬》 1 《嵐削りの海岸》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《夢根の滝》 2 《硫黄泉》 1 《憑依された峰》 1 《カープルーザンの森》 1 《落石の谷間》 -土地(26)- 1 《しつこい負け犬》 4 《死体鑑定士》 3 《ウィンドグレイスの魂》 2 《穢れたもの、ソルカナー》 2 《産業のタイタン》 -クリーチャー(12)- |
4 《かき消し》 2 《冥府の掌握》 2 《麒麟の教え》 2 《羅利骨灰》 4 《鏡割りの寓話》 2 《ギックスの残虐》 1 《食肉鉤虐殺事件》 4 《勢団の銀行破り》 1 《金色の大帆船》 -呪文(22)- |
1 《怪しげな統治者、スクイー》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 2 《切り崩し》 2 《羅利骨灰》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 2 《食肉鉤虐殺事件》 2 《未認可霊柩車》 1 《漆月魁渡》 1 《敵対するもの、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
グリクシスにタッチ緑か、あるいはジャンド(黒赤緑)にタッチ青か。白抜きのワガママ4色デッキの登場だ。
ソルカナーと同じく3色の伝説クリーチャーサイクルである《ウィンドグレイスの魂》とで2枚看板という作りだ。
ウィンドグレイスの墓地から土地を戻す能力でマナ加速し、ミッドレンジの重いカードをぶつけ合う戦いを勝ち抜くランプ寄りの構成だ。
そのマナから《産業のタイタン》を叩きつけるというわけだが、ウィンドグレイス&タイタンと、さらにはソルカナーと相性の良い1枚がリストに潜んでいる。《金色の大帆船》!
これにクリーチャーを搭乗させて攻撃すれば、それらのクリーチャーは追放されてまた戦場に出る。いわゆるブリンクと呼ばれる、戦場に出た時の能力を再利用するシステムだ。
ウィンドグレイスもタイタンも、帆船に乗って降りてで能力おかわり。簡単にアドバンテージを稼げるうえに、ソルカナーは船旅中に思い直して裏切りを取りやめるという……絵面が面白いうえに強い、実用性にあふれたコンボがたまらない。大帆船は今後、マニアのための楽しいデッキを量産してくれるに違いない。
最後に、ベクトルが似ているようで異なるこれらのデッキに共通するポイントに触れておかねば。どちらも土地が26枚。たっぷり目で、ゲーム開始時の手札に3枚以上の土地が含まれることが見込める。
現行のスタンダードはご存知の通り、4~5マナのカードを唱えることで得られる恩恵が非常に大きい。なので、これを一方が唱えている間にもう一方がマナが止まってもたついていると、取り返しのつかない差が生じてしまう。土地を引かないマナスクリューは絶対に起こしてはならない、土地を引き過ぎるマナフラッドの可能性が上昇してでも土地を引かなきゃ話にならない。そういった強い意志が26枚、あるいはもっと多い土地をデッキに採用させているのだ。
フラッドした際には《鏡割りの寓話》や血・トークンで捨てられるので安心、土地が有り余る状況のおかげで《食肉鉤虐殺事件》でむっちゃデカいクリーチャーも除去できるかもしれないですよ、と。
皆も《穢れたもの、ソルカナー》のような高マナ域のカードで勝負するデッキを組む際には、26枚以上のたっぷりの土地を検討してみてね!
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