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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

The Rock:過去編 His Millions(過去のフォーマット)

岩SHOW

 前回はエクスプローラー環境で脚光を浴びている現在の「The Rock」を紹介した。

 ところでこのデッキ名はどこから来たのだろうか。岩? ロックンロール? 答えは……このアーキタイプが誕生した2000年当時、一世を風靡したプロレスラーのリングネームがその由来だ。僕も当時The Rockに魅せられた者のひとりだった。ロック様は圧倒的なカリスマで我々のハートを鷲掴みにした。唯一無二のマイクパフォーマンスは伝説として語り継がれている。

 そんな決め台詞のひとつに「The Rock and his millions(ロック様と100万のしもべ)」というものがある。そして最初のロック系デッキの始祖のデッキは、このフレーズをそのままつけられたものだった!

Sol Malka - 「The Rock and his millions」
スタンダード (『基本セット第6版』『ウルザズ・サーガ』~『ネメシス』)[MO] [ARENA]
11 《
6 《
4 《樹上の村
2 《黄塵地帯

-土地(23)-

4 《極楽鳥
1 《ラノワールのエルフ
4 《アルビノ・トロール
4 《ヤヴィマヤの農夫
3 《ヤヴィマヤの古老
4 《錯乱した隠遁者
4 《ファイレクシアの疫病王
1 《木裂獣

-クリーチャー(25)-
2 《吸血の教示者
4 《強迫
3 《急速な衰微
1 《平穏の樹林
2 《悪魔の隷従

-呪文(12)-

 

 『ネメシス』当時のスタンダード環境にて、ソル・マルカ/Sol Malkaによって組まれた黒緑2色デッキである。キーカードは《ファイレクシアの疫病王》。

 クリーチャーを生け贄に捧げることで相手のクリーチャーにマイナス修整を与えて除去する、圧倒的な盤面掌握力を誇る強力カードだ。

 この疫病王と組み合わせたいカードNo.1が《錯乱した隠遁者》!

 カード1枚でクリーチャー5体分、-5/-5修整はあらかたのクリーチャーを薙ぎ払う。この疫病王が小さなクリーチャーを投げつける様が、「ロック様と100万のしもべ」というフレーズを思い起こさせたということだ。

 今見ると「しもべ」テイストのある《悪魔の隷従》が入っているのもなんだか説得力があるな。このカードが隠遁者と愛称抜群なのもイイね~。

 疫病王エンジンで相手の戦場を壊滅させ、《アルビノ・トロール》などで攻撃して勝つ。《木裂獣》《平穏の樹林》《黄塵地帯》などさまざまなパーマネントに触れる手段を持ち、これを《吸血の教示者》でサーチして相手に合わせて使い分ける……後のロック系デッキの精神が既に確立されているね。

 そしてマルカ謹製のこのデッキの特徴として《ヤヴィマヤの古老》の採用がある。

 死亡すると基本土地を2枚手札に加えられ、また自身の能力で生け贄に捧げてドローも可能。クリーチャー1体が3枚の手札になるので大きなアドバンテージを得られる、コモンとは思えぬ名カードだった。当時は戦闘ダメージをスタックに置いてから生け贄にできたので、自身や疫病王の能力で投げつつダメージも与えるという荒技も可能だった。手に入るものの大半が基本土地とはいえ、確実にアドバンテージを積み重ねることが勝利への道。大切なことを教えてくれるシブいデッキだったな。

 さらに時代が進むことで待望の扱いやすい2色土地《ラノワールの荒原》が登場。

 同セット『アポカリプス』には「The Rock」が求めるパーマネント除去および大型クリーチャーも収録されており、エクステンデッドでこのデッキはついに大舞台にて戦果を挙げることとなった!

Darwin Kastle - 「The Rock」
プロツアー・ヒューストン2002 3位 / エクステンデッド (2002年10月8~10日)[MO] [ARENA]
7 《
7 《
4 《ラノワールの荒原
4 《樹上の村
1 《黄塵地帯

-土地(23)-

4 《極楽鳥
4 《ラノワールのエルフ
4 《ヤヴィマヤの古老
2 《魂売り

-クリーチャー(14)-
4 《吸血の教示者
4 《強迫
4 《陰謀団式療法
4 《悪魔の布告
1 《チェイナーの布告
1 《生ける願い
1 《帰化
4 《破滅的な行為

-呪文(23)-
1 《黄塵地帯
4 《貪欲なるベイロス
1 《顔なしの解体者
1 《マスティコア
1 《要塞の監督官
1 《起源
1 《魂売り
1 《次元の狭間
2 《帰化
1 《消えないこだま
1 《生ける屍

-サイドボード(15)-

 

 パーマネントを根こそぎ流し去る《破滅的な行為》!

 このエンチャントの登場は黒緑をボードコントロール最強の色へと押し上げることになった。この使いやすくパワフルな除去で相手の戦場をぺんぺん草も生えない状況に持っていって……《魂売り》で殴る!

 当時では規格外だった5マナ6/6、色が変わることでプロテクションや色対策をものともせず、再生持ちなのも自身の《破滅的な行為》と併せて使いやすい。

 ゲームを即座に終わらせる完璧なフィニッシャーを手に入れたことで、《ヤヴィマヤの古老》でアドバンテージを取るデッキは一大勢力として注目を集めるようになり、短縮した名称として「The Rock」、プロツアーで活躍したジャンク(寄せ集め)デッキとして「PT Junk」、マルカ式の《生ける屍》デッキ「Malka Death」……などなど、さまざまな派生系を生み出しつつも今日にその名をアーキタイプ名として残している。こうやって振り返ると20年以上の歴史があって、普通にビビるね。

 黒と緑。生と死、深淵と新緑、破壊と再生……相反する色の組み合わせに魅せられたプレイヤーは、この2色デッキの代表格、カリスマである「The Rock」系デッキの歴史を各々で振り返ってみると、何か発見などあるかもしれない。Know your roll! Just bring it!!

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