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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

The Rock:現代編(エクスプローラー)

岩SHOW

 「ザ・ロック」とか「○○Rock」とか、デッキ名表記で目にしたことはないだろうか。

 マジックにおいてこれが何を意味するかというと、黒と緑を用いた中速デッキのことである。黒は今さら説明するまでもなくクリーチャー除去に秀でた色。その正反対の色である緑はクリーチャー以外のパーマネントを直接的に破壊するのに長けている。

 つまりこの2色が絡むとなると、パーマネントは何でもバキバキに破壊できるということ。対戦相手がこちらを攻めようとしてあの手この手で展開してくるものを何でも片っ端から叩き割る! 無慈悲なまでのボード(盤面)コントロールを敢行しつつ、ドローや墓地回収でアドバンテージを得て、サイズに優れたクリーチャーを展開して勝つ……これがロックと名の付くデッキの基本戦術だ。

 今このアーキタイプがアツいのは、エクスプローラー!

Cam - 「ザ・ロック」
MTGアリーナ ミシック・ランク達成 / エクスプローラー (2022年8月10日)[MO] [ARENA]
3 《
2 《
4 《草むした墓
1 《インダサのトライオーム
2 《森林の墓地
1 《死天狗茸の林間地
4 《闇孔の小道
1 《ロークスワイン城
1 《ハイドラの巣
2 《目玉の暴君の住処
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
2 《寓話の小道

-土地(25)-

4 《楽園のドルイド
1 《怪物の災厄、チェビル
1 《漁る軟泥
4 《墓地の侵入者
3 《不屈の追跡者
1 《茨橋の追跡者
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
3 《長老ガーガロス

-クリーチャー(19)-
4 《致命的な一押し
4 《思考囲い
1 《血の長の渇き
1 《暗殺者の戦利品
1 《古き神々への拘束
1 《ハグラの噛み殺し
2 《ゴルガリの女王、ヴラスカ
1 《死者を目覚めさせる者、リリアナ
1 《怪物の代言者、ビビアン

-呪文(16)-
2 《スカイクレイブの影
2 《変容するケラトプス
2 《強迫
2 《真っ白
2 《屍呆症
2 《選別の儀式
2 《絶滅の契機
1 《戦争の犠牲

-サイドボード(15)-
Cam氏のTwitter より引用)

 

 パイオニアと同様の構築ルールながら、MTGアリーナに未実装のカードが多くあるためやや異なるデッキが用いられている環境、それがエクスプローラー。

 ここに一石を投じる特殊再録セット『エクスプローラー・アンソロジー1』。そこに収録されたのはロック系デッキを組みたくなってしまう2つのパワーカード! 《不屈の追跡者》《ゲトの裏切り者、カリタス》だ。

 どちらもスタンダード現役時はもちろん、他のフォーマットでも活躍した経歴を持つ名カードである。追跡者は土地を出すと手掛かり・トークンを得られ、それを生け贄に捧げるとサイズアップ。手札を満たしながら圧倒的なサイズで対戦相手を打ちのめす、それだけのポテンシャルを3マナという軽量コストに秘めているのが凄いところ。

 カリタスも4マナでありながら3/4絆魂と素のスペックが優秀、さらに対戦相手のクリーチャーが死亡するとそれを墓地に行かせずに追放、同時にこちらの戦場にゾンビが追加される。頭数で立ち回っても良し、そのゾンビを生け贄に捧げてカリタスを育てても良し。どちらも現実的なコストで、中盤から終盤まで盤面を支配する力を持ったパワーカードだ。

 パイオニアよりもカードが限られ、どちらかというと真面目に展開するフェアデッキが多いエクスプローラーにおいて、これらのクリーチャーを使えるロックは良い立ち位置ってわけだ。

 クリーチャーは他にも《漁る軟泥》《怪物の災厄、チェビル》《茨橋の追跡者》と優秀なものがバリエーション豊かに採用されている。

 中でもエクスプローラーを象徴するものが2つ、まずは《墓地の侵入者》。

回転

 墓地を追放できる能力は《大牙勢団の総長、脂牙》や《弧光のフェニックス》などこの環境に数多ある墓地利用デッキへの対策となり、そして護法によりタダでは死なない単体除去耐性を誇る、どんなデッキに対しても有用な3マナ域だ。

 同じくどんな相手にとっても脅威となるのが《長老ガーガロス》。

 戦闘するたびにカードを引いたりトークンを生成したり……地味ながら回復できるのも強い。同じ中速デッキ相手にもアドバンテージで勝負でき、コントロール相手には1枚で致命的な盤面を作り上げ、アグロデッキ相手に追い詰められたライフを潤す……隙がないね。5マナ6/6でトランプルに警戒・到達とわけのわからない戦闘力の時点でカードパワーについては語るまでもなかったかもね。

 これらのベストクリーチャーに追跡者&カリタスが加わり、いかに盤石の布陣かというのが伝わったはず。

 エクスプローラーにおけるロック系の隆盛により再評価されつつあるカードが《ゴルガリの女王、ヴラスカ》。

 まず[-3]能力はロックを体現するパーマネント除去。3マナ以下で土地でないものを潰せる、範囲の広さが魅力的だ。再利用できるプレインズウォーカーの能力なので、《墓所の侵入者》を対象にして手札を捨てても1:1交換に抑えられ、同じ黒系中速デッキ相手に優位に立てるのが素晴らしいね。

 また[+2]能力も地味ながら優秀。単に忠誠度をスピーディーに増やすだけのものではなく、ライフと手札を提供してくれるので勝負を分ける働きを見せることも。この恩恵を受けるためにはパーマネントの生け贄が必要だが、それには余った土地の他に追跡者やカリタス、《怪物の代言者、ビビアン》から得られるトークンを回すという手もある。この方法で手掛かりを生け贄に捧げても《不屈の追跡者》の能力が誘発するのを忘れずに!

 相手の仕掛けをバシバシと捌いて、こちらも強力なパーマネントを展開して力押ししていく……さながら横綱相撲的な強さを見せる黒緑中速デッキ、通称「ザ・ロック」。相撲で例えたが、しかしながらこのデッキ名のルーツは別の格闘技にある。では次回はそんな「The Rock」の歴史を振り返ろう。妙技を味わえ!

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