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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
《再鍛の刃、ラエリア》がやってきた! 赤いデッキ2選(ヒストリック)
個人的な考えとして、各フォーマットそのものの強弱を比較することはあまり意味がないと思っている。
たとえばレガシーとヴィンテージ。使用可能なセットの範囲は同じながら、両者には禁止・制限カードの違いがある。一見すると《Ancetral Recall》らパワー9などレガシーで禁止となっているカードが使用可能なヴィンテージの方が強く感じてしまうが、逆にレガシーでは当たり前のように4枚使える《渦まく知識》や《思案》が1枚までの制限カードとなっている。
そのあたりを考えると、この両者のフォーマットの間でデッキの強弱を考えることにはあまり意味がない、というのがわかってもらえるかな。
これはよく耳にするフレーズであり、また実際にその光景を何度か目にしたこともあるが、スタンダードのアグロデッキがヴィンテージのデッキを瞬殺したり、なんてこともあるんだよね。それぞれのデッキはそのフォーマットで勝つために作られているため、このような現象が起きるわけだ。
フォーマットやそれぞれの環境のデッキを比べることには意味はないのだが、ただ「このフォーマットはアレより強い!」と感じてしまうものもある、というのもまた事実だ。
MTGアリーナのオリジナルフォーマット、ヒストリック。これは当初、スタンダードの枠から外れたカードのアリーナ内での受け皿的フォーマットとして制定され、そして同時にこのフォーマットならではの特殊な再録カードが用意され、パイオニアやモダンとはまた異なる多様なカードでのマジック体験を提供する環境としてスタートした。
かなり古いカードがプレイ可能なのは刺激的で、また《夢の巣のルールス》や《信仰無き物あさり》などモダンでもプレイできないカードもバリバリ現役だったりする。
またデジタルのみでカード化されているものも加わって、かなり混沌というか……強力カードがぶつかり合うオンリーワンの激しいマジックが楽しめるようになっている。
この夏は『ヒストリック・アンソロジー6』がリリースされ、新カードが20種類追加された。その中にはレガシーで注目のあのカードの姿が……《タルモゴイフ》? 《虚空の杯》? いいや、《再鍛の刃、ラエリア》だ!
彼女はスピリットとなった際に、自分が仲間の兵士に裏切られて死んだことを知り激怒。しかしその怒りをぶつける相手もとうの昔に死んでいるので、その激情をロアホールド大学の生徒への指導に活かしているのだとか。
『統率者(2021年版)』で登場したこの赤いスピリットは3マナ2/2と標準サイズでありながら、速攻持ち。攻撃するとライブラリーの一番上のカードを追放、そうすることでもうひとつの能力が誘発して+1/+1カウンターをゲット。また、この方法で追放したカードはそのターンにプレイすることができる。アドバンテージを得ながらもサイズアップしていく、攻撃すればするほど勝利に近づく超強力なクリーチャーなのだ。
これがヒストリックにやって来たのはなかなかに衝撃的な刺激。レガシーでは《古えの墳墓》などのマナ加速から最序盤に叩きつけてゴリ押す戦略がとられるが、果たしてヒストリックではどのような運用がされるだろうか?
13 《山》 4 《バグベアの居住地》 4 《ラムナプの遺跡》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(22)- 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》 4 《損魂魔道士》 4 《再鍛の刃、ラエリア》 -クリーチャー(12)- |
4 《熊野と渇苛斬の対峙》 4 《火遊び》 4 《ショック》 4 《静電破》 4 《静電気の放電》 4 《舞台照らし》 2 《勝負服纏い、チャンドラ》 -呪文(26)- |
4 《溶鉄の衝撃》 3 《絞殺》 2 《魂標ランタン》 3 《乱動する渦》 1 《未認可霊柩車》 2 《勝負服纏い、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
まずは多くの人が思いつくであろう、シンプルにバーン・デッキに採用した形。
ヒストリックには《舞台照らし》や、このフォーマットならではの《静電破》など、カード1枚で2枚以上を得られるアドバンテージ源になるカードがあるので、バーンデッキも途切れにくい攻めをしぶとく続けられるようになっている。
バーンの弱点は息(手札)が切れて攻められなくなることだから、ここをフォローしてくれるカードは大歓迎。《再鍛の刃、ラエリア》はまさにうってつけ。
殴れば殴るほどダメージが増えるので、彼女の能力でめくったダメージ呪文を投げつけてクリーチャーをどけつつ、ノンストップで攻撃し続けて圧倒だ。
3 《森》 3 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《熔融林の橋》 3 《岩山被りの小道》 2 《バグベアの居住地》 1 《ハイドラの巣》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《大瀑布》 2 《ダークスティールの城塞》 1 《廃墟の地》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ラノワールのエルフ》 3 《血に飢えた敵対者》 4 《砕骨の巨人》 2 《再鍛の刃、ラエリア》 2 《長老ガーガロス》 2 《鋸牙の破砕獣》 -クリーチャー(21)- |
4 《浄化の野火》 4 《静電気の放電》 3 《石の雨》 2 《神々の憤怒》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《目覚めた猛火、チャンドラ》 -呪文(16)- |
2 《漁る軟泥》 3 《溶鉄の衝撃》 2 《削剥》 2 《丸焼き》 1 《自然に帰れ》 1 《神々の憤怒》 1 《焼けつく双陽》 2 《運命の神、クローティス》 1 《目覚めた猛火、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
こちらは《石の雨》などで土地を破壊するグルール(赤緑)。
こういった中速のデッキにもラエリアのもたらすアドバンテージと打点はまさにうってつけ。とりあえず感覚で入れておいて問題ないね。
《鋸牙の破砕獣》と《浄化の野火》は対戦相手の土地を破壊するためだけでなく、自分がコントロールしていて破壊不能を持ついくつかの土地に対しても用いる。
野火はドローしつつ土地を増やすマナ加速として、破砕獣は3/3のビーストを増やして盤面をよりにぎやかにできる。《エルフの神秘家》《ラノワールのエルフ》でエルフ8枚体制になったことで安定して2ターン目に3マナ呪文を唱えられる。ラエリアでどんどこアドバンテージを稼ぐべし!
《再鍛の刃、ラエリア》は現在進行形でレガシーで活躍中の1枚。それがやってきたヒストリックは、明らかにモダンやパイオニアとは異なる環境となった。それぞれのフォーマットならではの味わいを楽しもう。刺激的なヤツを求めるなら、ヒストリックはおあつらえ向きだぜ。
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