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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:CTG~タルモゴイフから思い出すこと~(過去のフォーマット)
戦績や流行といったものもデッキ選択においては重要なことではあるが、コンボのビジュアルがカッコいい、デッキリストが綺麗だ、構築にこだわりを感じる……そういったクールな要素もまた大事なことじゃないか。
そういう思いを込めてクールなデッキを紹介している金曜日の当コーナー。今週はCoolなカードから思い起こされる昔話をさせていただこう。
そのカードとはMTGアリーナ独自のセットである『ヒストリック・アンソロジー6』に収録された1枚、《タルモゴイフ》だ。
タルモはまさに時代の象徴、それ自体が時代だった。初登場は『未来予知』。それまでのマジックと一線を画すクールな枠を与えられた未来からやってきたカードとして鮮烈にデビュー。ゴイフと名のつくクリーチャーということで《ルアゴイフ》の一族に属し、それまでのゴイフたちが墓地の特定のカードの枚数を数えてパワー/タフネスとするのに対して、タルモはカード・タイプを数えるという未来的かつクールなデザインが施されていた。
ミニマムは0/1であるがマックスは8/9、多くのゲームで3/4とマナ総量で見ると優れた数値のクリーチャーとして活躍。4/5ともなれば4マナ圏のクリーチャーと殴り合っても勝てるような値である。
スタンダード時は《思考囲い》で相手の戦力を削ぎながらサイズを上げるという戦術が非常に効果的だった。また、{1}{G}と色拘束が少なく決定力があるということでタルモのためだけに緑を足すという構築も多々見られた。今考えれば非常にクールなことである。
そんな《タルモゴイフ》を最も良く目にしたのは……2008年頃かな。当時僕はレガシーなるフォーマットに手を出し始めたところ。その時期のレガシーで絶対的な存在だったのが「CTG」だ。
「Counter Top Goyf」の略で、デッキのキーカード3枚がそのままデッキ名になっている。《相殺》の能力が誘発したところで《師範の占い独楽》を起動、対戦相手が唱えた呪文と同じマナ総量のカードをトップに仕込んで公開して打ち消す……というロック戦術でコントロールし、《タルモゴイフ》で殴り勝つ、ビジュアルも強さも兼ね備えたクールすぎるデッキであった。
この強者のデッキを倒すため、あれやこれやと構築やプレイングを工夫したのはクールな思い出である。入り浸っていたコミュニティではこの「CTG」に魅せられたプレイヤーが少なくなく、彼らとともに研鑽を積むというのが週末の楽しみであった。
そして2009年。ついに第1回となる日本レガシー選手権が開催される。日本各地のご当地大会が盛り上がり見せていた日本レガシー黎明期における一大イベントだ。日本最強を決める、そのシンプルにして甘美な響きは僕らのようなプレイヤーも「我こそは」とその気にさせてくれたものである。
日本選手権の併催イベントであり、会場は広島県福山市。いつも一緒にプレイしていたコミュニティのメンバー10人ほどで、車で遠征だ。ガソリンと高速代をみんなで割っての遠征、懐かしすぎてクールにも程があるよ。
僕は当時CTG系のデッキに対して有利に戦えるデッキのひとつである「ゴブリン」を持ち込んだ。最終戦績は2敗、最後ID(同意の上での引き分け)できずに決勝ラウンドのチャンスがかかった試合を落としてしまうという悔しい結果だ。しかしながら遠征した仲間から2人もトップ8に入賞と、十分すぎる戦果を大阪に持ち帰ることとなった。
4 《島》 3 《Tundra》 3 《Underground Sea》 3 《Tropical Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 -土地(21)- 4 《闇の腹心》 4 《タルモゴイフ》 2 《粗石の魔道士》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 2 《思案》 4 《剣を鍬に》 4 《師範の占い独楽》 4 《相殺》 4 《目くらまし》 2 《ヴィダルケンの枷》 4 《意志の力》 1 《仕組まれた爆薬》 -呪文(29)- |
3 《翻弄する魔道士》 2 《トーモッドの墓所》 2 《青霊破》 2 《水流破》 2 《流刑への道》 2 《大祖始の遺産》 2 《クローサの掌握》 -サイドボード(15)- |
今日のデッキは記念すべき日本初のレガシー選手権トップ8入賞デッキの一つであり、かつ僕がこの大会に臨む際に最も練習相手を務めてくれたプレイヤーの「CTG」を紹介しよう。
CTGと一口に言っても、キーカード3つを採用していればそのバリエーションはいくらでもあった。このリストは青と緑に加えて《剣を鋤に》のために白、《闇の腹心》のために黒を追加した形だ。
腹心は手札にカードを加える際にはライフを失うが、それをCTGのT、《師範の占い独楽》で操作して土地などの軽いカードを持ってくることで極力リスクを抑える。これらのカードのために色を足したことで《仕組まれた爆薬》をX=4まで唱えることが可能にもなっている。
そしてそれらの色マナを供給する土地は《Tropical Island》《Tundra》《Underground Sea》といずれも島である。なので《ヴィダルケンの枷》でクリーチャーを奪うことも容易い。
上記の枷やCTのシステムを揃えてどっしりと戦うコントロールデッキであるため、多くのマナを必要とする。それでいて自分の土地を減らすことになる《目くらまし》が採用されているのは、なんというかレガシー黎明期って感じで、今見るとクールに思えるなぁ。
それだけ最序盤の攻防が激しいものだったということ、そしてまだ《否定の力》はおろか《呪文貫き》すらなかった時代だ。《意志の力》以外にも低マナ・コストの打ち消し呪文を求めた結果このような構築になっていたんだろう。当時はこういったリストが当たり前だったが、今見ると他に選択肢はなかったのかなと不思議な感じがする。これもまた長くマジックをプレイしていると味わえるクールな現象だろうね。
ちなみに同トーナメントを堂々と優勝したのもCTGの一派閥である「Supreme Blue」。足す色を赤にすることで《炎渦竜巻》という軽い全体除去を獲得、ゴブリンなどのデッキに耐性を高めた形で、まさしく当時の最先端の構築だった。
このリストとは本当にしっかりと時間をかけてぶつかり稽古を繰り返したものである。練習の甲斐あって、こちらは予選で当たったCTG系のデッキには全勝。このリストも確かゴブリンに負けずに決勝ラウンドまでたどり着いたんじゃなかったかな。
お互いに練習が活きたねと喜びを分かち合ったのをうっすら覚えているが、何せもう13年も前の話だ。当時のメンバーで集まってあれこれ話せば記憶も段々と鮮明になっていくんだろうな。僕にとっては間違いなくクールな思い出だ。
みんなもデッキリストを見た時に、いや、もう《タルモゴイフ》のようにカード単体を見た時に、当時のことをあれこれ思い出せる、そんなマジックライフを送ってほしい限りだね。それこそが最もクールなものなのだから。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool!! Back to Goyf!!
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