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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:The Huntedと断れない提案(レガシー、ヒストリック)
今週もやってまいりましたッ、クールを語る金曜日!
あなたはどんなカードやデッキにクールを感じるのでしょう? 僕は……そうだなぁ。やっぱり、自分では使い道が分からなかった、正直に言うとめっちゃ弱いと思っていたカードを主役として昇華させた「うわぁ僕もこれやってみたい!」と思わせるようなデッキがクールだと思うなぁ。たとえば……
4 《Underground Sea》 4 《Volcanic Island》 1 《Badlands》 2 《汚染された三角州》 2 《血染めのぬかるみ》 4 《禁忌の果樹園》 4 《不毛の大地》 -土地(21)- 4 《闇の腹心》 4 《狩り立てられた恐怖》 3 《金粉のドレイク》 3 《狩り立てられた幻》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《神秘の教示者》 4 《刻印》 4 《陰謀団式療法》 4 《もみ消し》 2 《根絶》 1 《火薬樽》 1 《紅蓮地獄》 1 《仕組まれた爆薬》 -呪文(25)- |
2 《トーモッドの墓所》 4 《方向転換》 2 《ファイレクシアの炉》 2 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 1 《破壊放題》 1 《非業の死》 1 《Stench of Evil》 -サイドボード(15)- |
このデッキを初めて見た時には衝撃を受けた。今でもクールに感じるよ。2007年8月、アメリカで開催されたレガシー選手権にて第22位、「The Hunted」のお出ましだ。
いや~まずは古き良きレガシーの雰囲気にうっとり。ちょうど15年前、まだ『ローウィン』すらリリースされておらず、《思案》すらないレガシー環境のデッキリストは、なんというか古代生物の図鑑を眺めるようなクールさがあるな。
このデッキをクールに感じたのは……まずクリーチャー。《狩り立てられた恐怖》《狩り立てられた幻》、デッキ名の由来となる狩り立てられたサイクルだ。
いずれもマナ総量からは考えられないサイズやキーワード能力を持っており、戦闘面でかなり頼りになる……なんて良いことばかりではなく、対戦相手にもクリーチャー・トークンをプレゼントするというデメリット能力で釣り合いを取るデザインになっている。
《狩り立てられた恐怖》など、対戦相手に3/3のケンタウルスを2体提供、しかもそれらはプロテクション(黒)持ち! 普通に運用すると殴り合いに負けてしまうという、暴れ馬っぷりを誇っている。
このリストにも搭載されている《火薬樽》《仕組まれた爆薬》で吹き飛ばす、あるいはトークン生成する能力を《もみ消し》する……これも手ではある。
が、このデッキのクールさはそんなもんじゃ飽き足らない。《刻印》を使うのだ!
これ、『ウルザズ・サーガ』発売当初、マジックデビュー直後だった僕らにはこのカードが一体何をするためのものかよくわかっていなかった。カードの強弱などもある程度わかった後にテキストを読み返しても「奪われたパーマネントを返してもらうためにカードを1枚使う、うーん」と利用価値は見いだせなかった……のだが。
この2007年時点では、トークンのオーナーはそれを生成すると書かれたカードのコントローラーであった。つまり、狩り立てられたクリーチャーたちが対戦相手にプレゼントするトークンのオーナーは、あなた自身(だった)!
なので、狩り立て→《刻印》と動くことで対戦相手にいったん渡したトークンもまとめてこっちに寝返って、低コストで超強力軍団の結成だ! めちゃくちゃクールだよなぁ、デメリットをメリットに、毒が裏返ってパワーアップする……最高じゃないか。
《禁忌の果樹園》で対戦相手が得たスピリットや、対戦相手のクリーチャーと交換した《金粉のドレイク》もこの呪文で皆まとめて帰ってくる。どんでん返しデッキの極みッ!
後にルールが改正され、トークンは戦場に出た際のコントローラーがオーナーとなるようになり、《刻印》コンボは決まらなくなってしまった。
失われた遥か遠い時代のテクノロジーみたいでこれはこれでクールなメモリーに。この15年前のデッキを一つの模範として、普通に使ってもあまり強くなさそうなカードをアッと驚く方法で活躍させるデッキ、それこそがクールなものとして目に映るようになってしまった。ある意味で「The Hunted」ははじまりのCool Deckと言えるかもしれない。
そしてこの《刻印》のような使い道があまりわからないカードが輝いたように、同じ様なカードがスポットを浴びる、そのようなデッキを褒め讃え愛でていく。それがクールの伝道師の目指すべき道かな。
1 《島》 1 《山》 1 《ケトリアのトライオーム》 4 《蒸気孔》 2 《嵐削りの海岸》 4 《繁殖池》 1 《夢根の滝》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《落石の谷間》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《天上都市、大田原》 -土地(22)- 4 《庁舎の歩哨》 4 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(8)- |
4 《モックス・アンバー》 4 《否定の契約》 4 《トーモッドの墓所》 4 《野に降る》 4 《断れない提案》 4 《一攫千金》 1 《諜報強化》 1 《ぶどう弾》 1 《死の国からの脱出》 4 《創造の歌》 -呪文(31)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-相棒(1)- |
このリストは2022年夏に登場したヒストリックの《創造の歌》コンボ。
呪文を唱えればカードが2枚引ける。この能力を低コストの呪文連打でどんどん誘発させて、最後は《ぶどう弾》でフィニッシュ。
コストが{0}の呪文を相当に積んで、《一攫千金》のようなマナを得られる呪文で延々と連鎖させていくわけだが……ここに新たに加わったのが《断れない提案》!
これは《否認》のような非クリーチャー呪文への打ち消しで、たった1マナという軽さが強み。だがデメリットとして宝物を2つ、その呪文のコントローラーに与えてしまう。軽いのは良いけど相手のマナが増えるのはなぁ……ってことで正直、僕は使いたくない、使うことがないカードに分類していた。
しかしこのリストは、自身の呪文に対して唱えることでマナを増やすという、《暗黒の儀式》的なマナ加速へと昇華させている!
《モックス・アンバー》など、ハッキリ言ってその呪文そのものには意味がなく、《創造の歌》を誘発させ《ぶどう弾》のストームを稼ぐために「唱えた」という事実さえあれば後は何でも良い。なので、アンバーやそれに対して唱えた《否定の契約》などに対して《断れない提案》を投げつけて宝物を2つ確保! もちろんこれでも歌は誘発するので2枚ドローしつつ、次なる連打に繋げるってわけだ。
《刻印》《断れない提案》など、使い道が分かりにくかったりデメリットが大きかったりするカードでも、アイディア一つでクールなデッキを生み出すキーになる。マジックはこれだから面白い。
さあ、クールなデッキを携えて、さあ週末を楽しもう。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Brand your deck!!
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