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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ジョークル・プリズン(レガシー)
レガシーというフォーマット、その最大の魅力は……やはり思い出のカードを使うことが可能という点に尽きるのではないかな。
《表現の反復》とか《河童の砲手》など、ここ最近に作られたカードを使いそのポテンシャルを最大限に発揮してやるのも楽しいことだとは思う。しかし、長らくこのゲームをやっていると、思い出のカードを今この時代も使うことができるということが、この上なくありがたいものに感じられてくるというもの。
20年以上前のスタンダードで使用していた愛着のあるカードをプレイするというのは、長らく再会していない友人と酒を酌み交わしながら当時を振り返るような体験である。時代を気にせずに好きなカードで遊ぶ、これ以上の喜びがあるかね?
なので自分でプレイする際には強さとか環境とかを気にせずに使いたいカードを優先してしまいがち、同じような考えで組まれているデッキを見るとそれだけでテンションが上がって1日がちょっと豊かなものになる。使っていて楽しいという感情を満たしつつ、ゲームにしっかりと勝つことができたらそれは「最高」としか表現できないな。
今回紹介するデッキもそんなレガシーというフォーマットの魅力が爆発している。じゃあ、リストを拝む時間だ。
5 《冠雪の山》 4 《燃え柳の木立ち》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 -土地(17)- 4 《猿人の指導霊》 -クリーチャー(4)- |
4 《金属モックス》 4 《罰する火》 4 《血染めの太陽》 3 《罠の橋》 2 《三なる宝球》 4 《ジョークルホープス》 4 《髑髏砕きの一撃》 4 《虚空の杯》 4 《反逆の先導者、チャンドラ》 4 《大いなる創造者、カーン》 2 《炎の心、チャンドラ》 -呪文(39)- |
1 《大焼炉》 1 《激情》 1 《トーモッドの墓所》 2 《紅蓮破》 1 《液鋼の塗膜》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《罠の橋》 3 《虚空の力線》 1 《焦熱の合流点》 1 《マイコシンスの格子》 2 《目覚めた猛火、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
このリスト自体は近年人気を集める「赤単プリズン」というアーキタイプに分類される。プリズン=牢獄の名の通り、対戦相手を閉じ込めて自由に暴れ回らせないという形でゲームを掌握していくデッキだ。
レガシーが誇る2マナ土地《古えの墳墓》《裏切り者の都》で最序盤から対戦相手とマナの差をつけていく。
《虚空の杯》で1~2マナ圏の呪文をシャットアウト。
《三なる宝球》も用い、さらに《血染めの月》で土地からも満足な色マナを得られなくする。
最終的には《大いなる創造者、カーン》から《液鋼の塗膜》や《マイコシンスの格子》で土地からマナを得ることすら許さずに完封。
クリーチャーも《罠の橋》で抑え込み、対戦相手の勝利を限りなく困難にさせた後に《反逆の先導者、チャンドラ》などのカードで悠々と勝ちに行く。
このリストはそんなプリズンに強烈な懐かしカードを組み込むことで唯一無二の雰囲気を醸し出している。《ジョークルホープス》!
かつて基本セットにも続けて収録されていた、赤の盤面リセット呪文である。アーティファクト、クリーチャー、そして土地をすべて破壊! その圧倒的な殲滅っぷりに当時の僕らは震え上がり、また絶体絶命の状況をちゃぶ台返ししてくれる雄姿に胸を躍らせたものである。
このカードがデッキリストに名を連ねているのを目にするのは……一体いつぶりだろうか? しかも4枚だぞ、4枚。隠し味にチョロっと忍ばせるなんてもんじゃない。完全にデッキの主役だ。プレインズウォーカーは破壊しないので、カーンやチャンドラを展開してからこの氷河が引き起こす大洪水でザッパーンと流して無人の荒野にただひとり、という理想的な状況を作りだそうという魂胆だ。
自分の土地やアーティファクトも消え去ってしまうが、対戦相手に壊滅的な被害を与えられるのであれば些細なことは気にしていられない。粗野で大雑把、いかにも昔の赤のソーサリーというデザインがたまらない。
そしてそのジョークルに付随して、このプリズンにはもうひとつ独自色が色濃く打ち出されている。先述した赤いプリズンの標準装備である《血染めの月》をなんと不採用。代わりにこの枠に《血染めの太陽》が搭載される形になっている。
マナ能力以外の能力を失くすという土地へのアンチカードであり、月と異なり《Underground Sea》などを無力化するということはできない。《新緑の地下墓地》、《不毛の大地》や《暗黒の深部》といったマナを出す以外の目的を持った土地はこれで無力化してしまえるので効果は十分。そこに1枚ドローが付いているのが太陽の強みである。
で、なぜ月じゃなくて太陽なのか? これはジョークルを唱えるために6マナが必要というところが繋がってくる。《古えの墳墓》《裏切り者の都》が《山》になってしまうと、真面目に6マナ揃える必要が出てくる。これはなかなかレガシーにおいてはちょっと難しいことでもあるので、自分の土地の加速力を損なわない太陽で土地対策を行うというわけだね。
《裏切り者の都》の生け贄に捧げることになるデメリットが消えつつも、得られるマナはそのままなので、かなりデッキに噛み合ったチョイス。こういう構築を見ると痺れるね!
在りし日、遠い青春と現在とをリンクさせる。これがレガシーの、ひいてはマジックの魅力だと思う。いや、青春のカードが今でも使えるってことは……それはもう今現在も青春が続いているってことじゃないのか? マジックやってりゃ生涯青春、これが我らのスローガン! いつまでも心はフレッシュでありたいものだね。
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