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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:未来の構築済みデッキ! 何事もバランス良く(スタンダード)

岩SHOW

 よっしゃ行くぞ! 今日は金曜日! Cool Deckの時間だぁぁぁァァッッ……はい、毎度おなじみ、いつも読んでくれてありがとう。岩SHOWです。

 今回はどんなクールなデッキを紹介しようか……毎週毎週、これがちょっとした課題になっているんだけど、ムキになって探すと巡り合えないのがクールってやつなんだよなぁ。

 そんなわけで、いったんクールなデッキのことは忘れて、純粋にマジックを楽しむことにした。さあ今日もMTGアリーナを起動して……っと、ちょうど「ミッドウィーク・マジック」が始まってるな。

 今週は構築済みデッキからひとつ選んで対戦か。なになに、「フューチャー・スタンダード」? なるほど、これは2022年秋のローテーション後もスタンダードに残るセットのみを用いた構築済みデッキなんだな。つまり『イニストラード:真夜中の狩り』から『ニューカペナの街角』まで、4セットのみを用いる特殊なスタンダードというわけだ。この秋のローテーション後は、もしかしたらここに取り上げられたデッキが初期配布のデッキになるのかも?

 そんな感じで、コモンとアンコモンを中心にレアや神話レアも1枚ずつ採用、いずれも2色デッキなのでレア2色土地もしっかり完備。スタンダードなど構築フォーマットをやる上で非常に重要な、レアリティの高い実用的な多色土地をこうしてプレゼントしてくれるのが歴代のアリーナ初期配布デッキの役目だった。次の初期デッキも、入門したばかりのプレイヤーのためにこのクールな伝統を引き継いでほしいね!

 で、参加費無料のミッドウィーク・マジックを実際にプレイしてみた。勝利する度に景品がもらえて最大3つのカードやサプライなどが手に入る。とりあえず白緑の「数の力」でBO1(1本勝負)をサクッとビートダウンで終わらせてやろうと思ったが、予想外になかなかビートが決まらず。

 仕方ない、名前が一番面白かったこっちのデッキにするか……と、次にプレイしてみたデッキが、おや? これって結構、クールじゃないか?

「何事もバランス良く」
フューチャー・スタンダード構築済みデッキ (『イニストラード:真夜中の狩り』~『ニューカペナの街角』)[MO] [ARENA]
10 《
9 《平地
1 《砕かれた聖域
4 《磨かれたやせ地
1 《道路脇の聖遺
-土地(25)-

1 《波止場の料理人
3 《神憑く相棒
1 《獅子の飾緒
3 《百節棍のムカデ
2 《回路の修理屋
2 《祝福刃の鼠
3 《恐るべき秘密の神
3 《秩序の柱、直美
1 《忘れられた大天使、リーサ
-クリーチャー(19)-
2 《払拭の斬撃
1 《梅澤俊郎の生涯
1 《魅知子の真理の支配
1 《魂転移
1 《永岩城の修繕
1 《精霊界との接触
2 《暗殺者の色墨
2 《ねじれた抱擁
1 《精霊の姉の召集
2 《市民の鉄梃
1 《無孤勢団の霊裂機
1 《謎めいたリムジン
-呪文(16)-
このクールなデッキは?

 未来の初期構築済みデッキになるかもしれない、白黒の「何事もバランス良く」。名前がもうクールだよな、人生の先輩からの格言って感じで。

 このデッキの主軸となっているの『神河:輝ける世界』の白と黒のカード。そこに他のセットから色の合うカードをサポートで、という形の構築だ。

 神河の白黒のテーマはエンチャントとアーティファクト。これの片方、あるいは両方をコントロールしていると何らかの形でボーナスを得られるという能力を持ったカードが複数存在する。元来、エンチャントはエンチャント、アーティファクトはアーティファクト、それぞれ別々のテーマとして扱われることが主流なのだが、時折、白を中心にこの両タイプを共存させることを促すカードがデザインされる傾向にあるね。そこに黒が加わったのがなかなかに珍しくクールなことだ。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:置き物が秩序をもたらす

 パーマネントの中でもエンチャントとアーティファクトのことはまとめて「置き物」と昔から表現される。《解呪》や《帰化》のように、昔からこれらへの対策カードは両者に効果があることが多かったので「置き物対策」と簡潔に表現するのが好まれたのだろうね。

 置き物系両者の共存を体現する1枚にして、このデッキの顔でもあるのが《秩序の柱、直美》だ。

 彼女はエンチャントとアーティファクトの両方をコントロールしている時に戦場に出る or 攻撃すると、侍・トークンを生成することが可能だ。《放浪皇》が生成するものと同じで、2/2警戒と質が高い。

 実際に直美を使ったのはこのイベントが初めてだったのだが、彼女なかなか強いね。5マナでキーワード能力を何も持たないことから敬遠してしまっていたが、置き物が揃っていればこれは5マナと軽い《墓所のタイタン》のようなもの。かなりの制圧力を発揮してくれて、大袈裟だけどなんか感動してしまった。まだまだ知らないクールな既存カード、あるねぇ!

 直美以外には置き物が揃えば接死と威迫持ちになる《祝福刃の鼠》、1枚ドローと1点回復付きになる《恐るべき秘密の神》、これまた侍を生成する《払拭の斬撃》、アドバンテージ差をグッと拡げる《魂転移》とバリエーション豊か。

 《道路脇の聖遺》も2枚ドローへとクールに大化けだ。

 これらのボーナスを得るためにエンチャントのタイプを持つクリーチャー、機体であるアーティファクト、オーラに装備品と戦場を形成するカードでナチュラルに条件達成を狙う。

 中でもクリーチャー化する英雄譚は強力で、特に《魅知子の真理の支配》は比較的線が細いこのデッキに爆発力をもたらすクールなエースだ。

回転

クールポイントその2:頼りになるのはお姉ちゃん

 この構築済みに収録されている神話レアは《精霊の姉の召集》。

 同じ構築済みデッキ同士の戦いにおいて、このエンチャントはむちゃくちゃ強かった! 《神憑く相棒》を生け贄に捧げて墓地からエンチャントを戦場へ、そして次のターンはそのエンチャントを生け贄に捧げて《神憑く相棒》を戻してドロー、というようにシステムが回りだすと、もうこちらの資源が尽きるということがなくなってしまう。

 《ねじれた抱擁》とのセットはまさしく鬼。クールなまでの無慈悲さで相手のクリーチャーを潰しつつこちらの手札が満たされていく。

 《回路の修理屋》を生け贄に捧げてドローしつつ《市民の鉄梃》を戻して対戦相手の置き物を破壊、オマケでついてきた市民・トークンを生け贄に修理屋を戻して……と。

 さまざまなバリエーションでグルングルンとパーマネントが戦場と墓地を行き来する。輪廻転生、精霊に祝福されて最も頼りになる姿に生まれ変わってまた会おう。

さらなるクールのために

 この「何事もバランス良く」は実際にバランスの良い構築済みデッキで、初心者にもマジックのクールさを体験してもらえるポテンシャルを秘めたものだ。

 せっかくなのでこのデッキがもし本当に初期デッキとして配布された場合、一部のカードを入れ替えてこういうデッキを組んでみようというリストをここに残しておこう。

 役に立つかははっきり言ってわからないが……僕が中学生のマジック始めたての頃の話。当時は基本土地がパックに収録されていなかったので、特定の土地をまとめて手に入れるには構築済みデッキを買うのが数少ない手段であった。新しいセットが出た際など、足りない基本土地の枚数を増やす意味合いも込めて構築済みデッキを買いに行ったもんだ。

 で、その構築済みデッキには紙のケースの中にカード以外にもう1つ、心ときめくクールなアイテムが。構築済みデッキについて書かれた小冊子である。マッチ箱くらいの大きさしかなく、非常に小さな字で印刷されているそれを指先でつまんでページを捲り、毎日のように何度も読んでいた。

 そこには構築済みデッキを用いてどのように戦うかの戦術指南と、そしてこのデッキをベースに一部のカードを入れ替えてこういうデッキを組んではどうか、という発展形のサンプルリストが載せられていた。それが魅力的だったのなんの……カード画像などもなくカード名しか書かれていないリストを眺めて、手持ちのカードにそれがないか探してテキスト確認。クールな思い出だよ。

 今の時代はネットでデッキリストが見れてカードの能力もバッチリその場で確認可能。良い時代だ。このコラムが現代における、あの思い出の「構築済みデッキの小冊子」の役目を受け継ぐ! これは何を隠そう僕自身にとってのクールな瞬間なのだ。

「何事もバランス良く・改」
フューチャー・スタンダード (『イニストラード:真夜中の狩り』~『ニューカペナの街角』)[MO] [ARENA]
8 《平地
8 《
4 《砕かれた聖域
2 《ラフィーンの塔
1 《道路脇の聖遺
1 《皇国の地、永岩城
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
-土地(25)-

4 《神憑く相棒
1 《獅子の飾緒
2 《回路の修理屋
1 《魅せられた花婿、エドガー
2 《秩序の柱、直美
-クリーチャー(10)-
3 《魅知子の真理の支配
2 《払拭の斬撃
2 《監禁の円環
2 《永岩城の修繕
2 《婚礼の発表
1 《魂転移
1 《精霊界との接触
2 《暗殺者の色墨
1 《ねじれた抱擁
3 《精霊の姉の召集
2 《市民の鉄梃
2 《勢団の銀行破り
1 《無孤勢団の霊裂機
1 《謎めいたリムジン
-呪文(25)-

 最もクールなキーカードである《精霊の姉の召集》だけは枚数を増やさせてもらったが、それ以外はレア以下のレアリティのカードと入れ替えさせてもらった。もちろん《放浪皇》など持っていればそれらを使うことをオススメするね。

 《魅知子の真理の支配》を増量し、各種トークンや機体をこれで強化して殴り勝つプランを押し進めつつ、《精霊の姉の召集》のループにてアドバンテージ獲得を楽しめる形にしてみた。他にクールなアイディアがわいたら、皆もそれを形にしてみてほしいね。

クールなまとめ

 ローテーション後、2021年秋以降のセットのみを用いた新しいスタンダードに対応した初期配布用の構築済みデッキ……よく考えたらそれが出回る頃にはセット自体がここからさらに増えているので、このリストのままのデッキが皆の手元にやってくることはないかもしれない……が、こういう企画に対して全力で受け止めて真面目に考えてみるってのもクールなマジックライフに繋がると信じている(切り替えが大事だ)。

 初心者やカジュアルなプレイヤーを中心に、読んでくれたあなたに何かインスピレーションをもたらすことができたならそれに勝る喜びはないね。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Balance in all things!!

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