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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ターボ工作員:Cheat and Steal(パイオニア&エクスプローラー)
楽してズルしていただきだってぇの!
マジックというゲーム、コツコツ真面目に勝利を目指すのはもちろん推奨したいところだが、同時にそんな相手の真面目さを利用してしまうちょいワルな戦法もあるということも知ってほしいなと。
ガチガチに真っ当なやり方で……というのは、どんな世界においても時に息苦しさを覚えてしまうというもの。肩の力を抜いて、ちょっとズルして美味しい思いをしたって良いじゃないか。マジックはそんな懐の深い、真面目さにつかれた現代人のオアシスなのかもしれない。
丁寧にクリーチャーやプレインズウォーカーを展開し、戦闘を行い、20点のライフを減らして勝つための攻防を行う。そういうデッキを「フェアデッキ」と呼ぶ一方、そんなルールブック通りのマジックから逸脱して勝利を目指すデッキは「アンフェアデッキ」と呼ばれることがある。
今回紹介するのは、MTGアリーナにおけるパイオニアの前身フォーマット、エクスプローラーにおけるアンフェアデッキだ。真面目に向かってくる相手の足元をすくう、その戦い方を見てみよう!
2 《島》 1 《山》 4 《ドワーフの鉱山》 4 《ケトリアのトライオーム》 1 《ラウグリンのトライオーム》 4 《繁殖池》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(25)- 4 《裏切りの工作員》 -クリーチャー(4)- |
4 《絞殺》 4 《急使の手提げ鞄》 4 《表現の反復》 4 《鏡割りの寓話》 3 《神々の憤怒》 4 《異形化》 4 《サメ台風》 4 《エシカの戦車》 -呪文(31)- |
2 《削剥》 2 《霊気の疾風》 2 《轟く叱責》 4 《神秘の論争》 2 《プリズマリの命令》 1 《神々の憤怒》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
このデッキのキーカードは《異形化》。
これはクリーチャー1体をライブラリー内の別のクリーチャーと入れ替える、その名の通り異形の怪物へと変身させる可能性をもたらすソーサリーだ。
相手のクリーチャーに撃てばドラゴンがちっぽけなゴブリンに生まれ変わるなど面白い絵面を演出したり、あるいはもっと最悪な大怪獣が出てきたり……という何が出てくるかわからないというランダム性の高い呪文なのだが、構築ではこれを自分のクリーチャーに唱えて任意のクリーチャーを確実に得る、という方法で用いられている。
どういうことかというと、まず《異形化》から絶対に出したいクリーチャーを用意する。それ以外は絶対にデッキに入れてはならない。その上で《異形化》の的となるクリーチャーを、非クリーチャーカードで用意する。つまりはトークンを生成するってわけだ。トークンを異形化させれば絶対にそのお目当ての1枚が戦場に飛び出す、というトリック。
このデッキは《異形化》から《裏切りの工作員》を絶対に出すという強い意志で構築が施されている。
パイオニア環境にひしめくクリーチャーの中でも最強格に位置づけていい至高の存在だ。戦場に出れば対戦相手のパーマネントのコントロールを得る! 一番強いパーマネントをいただいて一転攻勢。対戦相手はチャンスだと思っていたら大ピンチに。
この手のパーマネントを奪う青いカードは、そのカードそのものが戦場を離れるとコントロールが戻るものが多い。しかしこの工作員は抜かりなし、奪ったものは決して返さない。ズルい、ズルすぎる! 早いターンで叩きつけることができれば、土地を奪って対戦相手のプランを大きく崩してしまうという作戦も。パーマネントを出さないデッキなんてパイオニアにはない。奪って奪って奪いまくれ!
トークン生成の手段は《異形化》デッキでは定番の《ドワーフの鉱山》から。
《蒸気孔》《踏み鳴らされる地》など山タイプを持った多色土地がたっぷりの環境なら、この土地を4ターン目に出してドワーフを生成しつつ工作員へと育てる、流れるようなムーブが可能だ。
《鏡割りの寓話》もゴブリンという餌を用意しつつ、そこから出てきた工作員を《キキジキの鏡像》がコピーという鬼の所業を楽しめる。
この無茶苦茶っぷりこそがアンフェアデッキの醍醐味。真面目に盤面を作る対戦相手に感謝しつつ良いものイタダキマス!
アンフェアデッキにおいて大事なのは、そのアンフェアな部分をがっちりと対策された際にどう戦うか? このデッキの他のトークン生成カードはその問題点へのアンサーにもなっている。
青いトークンカードの最高峰と言えば《サメ台風》。
サイクリングしてオマケで得たトークンを《異形化》するカードではあるが、そもそもデカいサメを出して殴り勝ったり、あるいはそのまま戦場に出してトークン量産から圧倒するなんて手も。
緑を使う理由もこのトークン用意&勝ち手段でもあるカードを使うため。《エシカの戦車》は2体のトークンを用意しつつ、これ自体が1枚で勝てるパワーカード。鏡像でコピーした工作員トークンをエシカでコピーした時は笑いが止まらなかった。このオーバーキルこそが……ね!
《急使の手提げ鞄》はトークンと宝物の同時出しが可能で、3ターン目にターボ異形化を可能にする。速さだけを追求したカードではなく、ゲームが間延びした際には他の宝物から5色のマナを用意して3枚ドローとしても運用可能だ。
物量勝負を後押しするためにこっそり《ラウグリンのトライオーム》が入っているんだね。《ジアトラの試練場》も入れちゃっても良いかもね。ズルするためには真面目な下準備が大事だ。
真面目に戦うのも良い。ズルして勝利をかっさらうのも良い。マジックはとにかく自由を許してくれる。ルールは正々堂々守り、マナーは紳士的に、盤面では楽してズルしていただきだってぇの! この精神で今日も心を満たしていこう!
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